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ファンドレイザー奮闘記

2009年12月28日 17:11

日本フォスター・プラン協会 膳(かしわで)三絵さん

ファンドレイザー奮闘記
日本フォスター・プラン協会 膳(かしわで)三絵さん

財団法人日本フォスター・プラン協会(以下、プラン・ジャパン)は、途上国49ケ国で子どもたちが過酷な生活環境や貧困を乗り越え、たくましく生きていけるように継続的な地域開発プロジェクトを実行している国際NGOプランの一員です。

子どもたちが出生と同時に保障されるべき「子どもの権利」や「子どもの保護」を広く市民社会に訴え、プランの活動を支える資金を募る「ファンドレイジング」は私たちの最も重要な仕事の一つ。

プラン・ジャパンは1983年に創設され、今年で25年という節目を迎えました。

団体ホームページは、
http://www.plan-japan.org/home/

●1.ファンドレイジングの場面で直面した課題
収入の8割近くを占めるプラン・スポンサーシップ寄附金の推移を見ると、80年代の驚異的な伸びが90年代後半から鈍化しはじめ、1998年をピークに横ばいや減少という状況が続いていました。当時、日本はバブル崩壊後の長い経済不況が続き、月額5,000円という固定的な寄附金額が原因で支援者が増えないのではないか、あるいは継続的に寄附することが困難なのではないかという議論がありました。

そこで、20周年を迎えた2003年、寄附金の月額を3,000円、4,000円、5,000円から選択していただくという仕組みを導入。もう少し気軽に寄附を始め、続けることが出来るようにという考えでした。幸い支援者数は再び増加しましたが、大半の新規支援者が選択される月額は3,000円。初めての寄附は一番小さな月額から、という心理が働くのかもしれません。

また、新聞広告を出すだけで寄附が集まった時代は1998年頃まで。現在は広報活動によるウェブサイトへの誘導や情報発信なども積極的に行っていますが、新規獲得のNO1は既存支援者からの口コミによる紹介であり、この方面への働きかけがとても重要であるという認識に至りました。

●2.その課題解決に向けたチャレンジ
昨年の夏、支援者サポート部門ではひとつの新しい試みを行いました。3,000円の寄附額で支援を始めて2年以上が経過し、活動国の子ども(チャイルド)と積極的に交流されている支援者約7,000名宛てに、「月額アップ」や「交流するチャイルド数の増加」をお願いしたのです。まずは読んでいただけるように、封書ではなく、「シーリング往復ハガキ」を使用しました。

表面はシンプルに、大きなプランのロゴと、「もっと多くの子どもたちの笑顔を見たくありませんか?プラン・ジャパンからのお願いです」というメッセージだけのデザインとし、本文では交流を待っているチャイルドが数多くいること、プロジェクトを継続的に実施するため、もっとたくさんの支援が必要であることを訴えました。

また、欧米のプラン支援国での寄附総額や人口と日本のそれらを対比したグラフを掲載し、国際協力への関心と行動力について、「日本の支援者ができることがまだあります。次のアクションを考えてみませんか」と訴えました。

●3.チャレンジの中でおこったエピソード
初めての試みということで、支援者からの反応は様々でした。

寄附金の増額やチャイルド数の増加を快諾された方には、さっそく手書きのお礼状を送りましたが、そのことをわざわざ支援者同士の交流会で話題にしてくださった方もありました。また、応じることは出来ないが、別のかたちで広報協力をしたいとか、知り合いを紹介しますと言ってくださる方も。

しかし、「こういう催促のようなものは、個人の気持ちや善意を尊重していない」、「そもそも寄附金が集まらないのは、事務局の努力が足りないのではないか」といったご意見もあり、職員の努力不足を支援者に転化するのかという苦言でした。

真摯にお話を続けていくなかで最終的には「頑張ってください」と応援メッセージをいただくまでになりましたが、改めてメッセージングやコミュニケーションの難しさを実感した次第です。

●4.チャレンジの結果
1年以上経過した今でも、時々思い出したかのように返信ハガキが届きます。きっと、「いつか追加しよう」と、ハガキを手元にずっとおいていてくださったのだなあと、しみじみ嬉しくなります。

結局、これまでに158名の方がお返事をくださいました。私たちの支援者総数は70,000人を超えますので、積極的に事務局とコンタクトをとってくださる方以外の支援者全員と直接コミュニケーションをとることは極めて困難です。

年4回の機関誌と1回の報告書、そしてチャイルドからの手紙やイベント開催、スタディツアーなどでプランの活動を支援者に報告していますが、より支援の実感をしていただくために直接的なコミュニケーションの必要性を強く感じており、今後も同様の働きかけを続けていきたいと考えています。

支援者と私たちが同じ思いを持つ「パートナー」関係にあること、そして活動を支えてくださることへの感謝の気持ちを伝えることが、結果的に団体に対する支援者の信頼やロイヤリティを高めるのだと、この機会を通じて学びました。

●5.教訓!

支援者と共感の機会を出来るだけ多く持とう!

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