Step.6 資源の獲得
Step.6 資源の獲得
すばらしい寄付メニューができ、届けたい相手にその依頼が伝わっても、寄付の方法が難しければそこで尻込みしてしまわれます。
「寄付しようと思ったけど面倒だから後回しにしよう」、などと思われないように、便利な寄付の方法を用意したいものです。
寄付の方法には、口座への振込みのほか、自動引き落とし、クレジットカード決済、オンライン決済などの方法があります。コストがかかる場合もありますから、それぞれの方法を比較検討して、出来る方法を取り入れましょう。
●寄付者の属性と決済方法
寄付の決済方法は現在、非常に多様化しています。現金、郵便振替、銀行振り込み、自動引き落としなど、以前から存在していたものに加え、ITを活用したものも浸透してきています。
「寄付者にとって、できるだけ簡単な方法にする」
「寄付したいときに、すぐ寄付ができる仕組みをつくる」
この2つが決済方法を考えるときの大原則。2つ揃ってはじめて、寄付を安定した財源にすることができますが、多様化すれば100%うまくいく、というわけではないことに注意が必要です。
決済方法にはそれぞれメリット、デメリットがあります。手数料や事務量の問題も考えつつ、寄付者に合った決済方法を利用しましょう。どんな属性(性別、年齢など)の人々が多く寄付してくれそうかを見極めると、効果的な決済方法を決めることができます。
●郵便振替
現在、最も多く使われている決済方法は「郵便振替」です。振替用紙に「名前」「住所」「電話番号」を書く欄があり、そうした寄付者情報を合わせて得られるのが大きなメリットだと言えます。多くの寄付者にとって馴染みがあり、簡単な寄付方法のひとつでもあります。
一方、同じような決済方法として「銀行振り込み」がありますが、こちらから得られる寄付者情報は「名前」だけです。しかもカタカナ書きで、寄付者情報として活用できるものではありません。お礼をして、関係を拡大していくこともできません。
とはいえ、郵便振替も万能ではありません。最大のデメリットは「郵便局でしか振り込んでもらえない」ことです。「寄付したいときに、すぐ寄付ができる仕組み」ではないため、郵便振替だけで、安定的な寄付を実現することはできません。
●IT決済
安定的な寄付を実現するための大きな武器が、最近登場した「IT」。中でも有力なのが、クレジットカードや電子マネー、コンビニエンスストアでの決済を通じて、ホームページから募金できるようにするシステムです。
こうした決済方法は、安定的な寄付を実現するだけではありません。年配の寄付者が比較的多いNPOにとっては、若年層を取り込む手段ともなります。昼間忙しく、郵便局や銀行に行くことのできない壮年層も寄付が可能になります。
また、2004年にスマトラ島沖地震が発生した折、発生日が12月26日という年の瀬でしたが、インターネット募金のシステムを完備したところは、金融機関が閉まる年末年始も資金を集めることが可能でした。こんな利点もあったのです。
●ネット募金
インターネット募金を導入するには、大きく分けて2種類の方法があります。ひとつは決済代行会社を利用するもの、もうひとつが、レンタルサーバーに付帯しているインターネットショップ開設サービスを利用するものです。ただし、インターネットショップ開設サービスを提供していないレンタルサーバー会社も多いので、事前の確認が必要です。
まず、決済代行会社を利用する方法についてご説明します。
そもそも決済代行会社とは、クレジットカードや、コンビニエンスストアなどを通じた決済を代行してくれる会社です。初期費用として無料から数万円程度、維持費(月額)として数千円かかります。
メリットは、ホームページ上の決済ページを用意してくれることです。また、お金の回収や、クレジットカード会社との加盟店契約も代行してくれ、NPO側の事務量を大幅に軽減してくれます。
一方でデメリットは、ホームページの維持費とは別に、決済代行会社への支払いが発生することです。維持費としては数千円ですが、その他の費用が発生することもあり、こうした費用が寄付額に見合ったものであるか、検討が必要です。また、ホームページ上においても、決済画面以外のページは自前で用意しなければなりません。
次に、レンタルサーバーに付帯しているインターネットショップ開設サービスを利用する場合の最大のメリットは、決済代行会社を利用するより割安だということです。また、ホームページ開設から募金決済まで、すべて1社でまとめることができるのも大きな魅力です。自前で一からページを作成することも、面倒なクレジットカード会社との加盟店契約も必要ありません。
ただ、本来はインターネット「ショップ」を開設するためのサービスですので、送料や配達日を尋ねるページがあります。サービスの仕組みに組み込まれているので、NPO側でこうしたページを省略することはできません。これがデメリットです。
また、クレジットカード会社との契約は不要でも、審査は受けなければなりません。
●決済方法の選び方
決済方法が多様化すると、一番問題になるのは「事務量」です。
クレジットカード決済、コンビニエンスストア決済、電子マネー…。すべて入金日が異なります。お付き合いする会社の数が増えますし、決済スタイルもさまざまになります。
こうした事務量の増加に対応できるだけのマンパワーが、自分のNPOにはあるのかどうか。人を増やすのであれば、増加する人件費に見合うだけの寄付が得られているのか、得られる見込みがあるのか。そうしたことを熟慮する必要があります。
また、手数料も問題です。
郵便振替や銀行振り込みでも、寄付者が手数料に躊躇して募金をやめるという問題がありました。しかし、いったん募金してもらえれば、募金額はすべてNPOの収入になっていました。
ITを使った決済は違います。基本的に「内税形式」です。クレジットカード会社は募金額の数%、電子マネーだと10%程度、手数料を持っていきます。その分、募金は目減りします。
さらに注意が必要なのは、コンビニエンスストア決済です。この場合、募金一件当たり、一律315円の手数料がかかります。つまり315円以下の募金だと赤字になってしまうということです。あとで個別にお礼をすることを考えると、なお赤字幅が広がってしまいます。
自分のNPOの身の丈に合い、寄付者にも便利な決済方法の組み合わせを考える必要があります。