その他 : センター試験でNPO法人が出題、やや難か?
1月16日に行われた大学入試センター試験(センター試験)第1日目、公民の中の政治経済の試験で、特定非営利活動法人(NPO法人)について単独で出題された。他にも現代社会で企業の社会的責任(CSR)やフェアトレード、フィランソロピー、消費者団体訴訟などが問題文・選択肢で述べられた。
大学入試センター試験(センター試験)は、独立行政法人大学入試センターが実施する試験で、国公立大学と私立大学の多くがこの試験の結果を入試に利用している。そのため、受験生や高校・予備校に対する影響力はとても大きい。
センター試験では、公民(現代社会・倫理・政治経済)において特定非営利活動法人(NPO法人)や特定非営利活動促進法(NPO法)、社会貢献、ボランティアなどに関する問題文や設問、選択肢が多い。ここ数年は、ほぼ毎年のように掲載が続いている。
昨年のセンター試験では、現代社会で「企業の社会的責任・社会貢献」や「社会起業家」について出題があった他、選択肢で「フェアトレード」が登場。英語でもフェアトレードに関する問題文が出題された。
参考ニュース「センター試験でNPO法が出題」(2008/01/30)
/2008/01/その他-センター試験でnpo法が出題/
参考ニュース「大学受験、NPO関連知識は必須」(2006/01/26)
/2006/01/行政-大学受験、npo関連知識は必須/
参考ニュース「センター試験にNPOと地域通貨」(2005/01/18)
/2005/01/行政-センター試験にnpoと地域通貨/
参考ニュース「センター試験で、NPOの問題」(2004/01/20)
/2004/01/行政-センター試験で、npoの問題-2/
今年もこの傾向は続き、2010年1月16日に行われたセンター試験では、NPO関連で下記のような出題があった。
●政治経済「特定非営利活動法人(NPO法人)について」
第4問 問題文
企業は、財・サービスの生産を主とする経済主体である。しかし、その形態は社会との関係において多様化しており、活動も変化している。
・・・日本では、法人企業の多くは、会社企業、つまり会社法などに規定された各種の会社となっている。しかし、農業協同組合や消費生活協同組合なども、組合企業という法人企業の一つである。また最近では、特定非営利活動法人(NPO法人)として活動している法人企業もある。
営利企業に限っても、その活動に変化が見られる。利潤を上げようとするあまり、企業の行動は、環境を破壊したり、消費者に損害を与えたりすることもある。そのため、企業も社会の一員として責任を担うべきであるという、企業の社会的責任(CSR)という考え方が登場してきた。こうした状況下で、日本の企業も社会的存在であることを自覚しながら、環境や消費者への配慮、コンプライアンス(法令遵守)、男女共同参画の推進などを重視するようになってきている。・・・
問4 下線部(=特定非営利活動法人(NPO法人)引用者注)についての記述として最も適当なものを、次の1~4のうちから一つ選べ。
1.特定の政党を支持することを目的として設立できる。
2.国や地方公共団体と協働して事業を行うことができる。
3.公企業の民営化によって設立されなければならない。
4.法人格は民法に基づいて付与されなければならない。
正解:2
※1.はNPO法で禁止され、不可。比較的分かりやすい。3.は民営化により設立する必要はないが、高校生には引っかけになり得る。4.も同様に「民法」という単語に惑わされる受験生も多そうだ。やや難しいかもしれない。
●現代社会「企業の社会的責任(CSR)について」
第1問
問5 下線部(=地域で取り組むべき問題 引用者注)の一例として、環境問題がある。日本の環境政策に関する記述として最も適当なものを、次の1~4のうちから一つ選べ。
3.企業には、住民による環境保全活動を支援することが、企業の社会的責任(CSR)の一環として、法律で義務付けられている。
●現代社会「ボランティア・フェアトレードについて」
第3問
問3 下線部(=社会参加 引用者注)に関連して、社会参加に関する事象や考え方についての記述として最も適当なものを、次の1~4のうちから一つ選べ。
3.日本では、労働者はボランティア休暇を取得できることが、労働基準法に明記されている。
4.障がいのある人もない人も共に生活する社会を目指すフェアトレードの考えに基づき、建物や製品にユニバーサルデザインが導入されている。
●現代社会「フィランソロピーについて」
第5問 問題文
・・・消費者は、こうしたトラブルの解決に向けて企業と交渉することが必要である。だが、そのような当事者の努力によってもトラブルが解決されなかったり、類似のトラブルが頻発したりするような場合、社会的な対応も求められる。そこにはいかなる主体がかかわり得るだろうか。以下のようなケースが考えられる。
まず、国などの公的機関が主導して、消費者の利益を保護するルールを作り、消費者保護の仕組みを整えることがあり得る。1968年制定の消費者保護基本法や1994年制定の製造物責任法(PL法)はその好例である。また、第三者である民間機関が、消費者全体の利益の実現のために情報収集やトラブル防止の活動などをすることもあり得る。消費者契約法は、国の認定した消費者団体に、企業の不当な行為をやめさせるよう裁判を起こすことを認めている。・・・
問2 下線部(=企業 引用者注)に関する記述として適当でないものを、次の1~4のうちから一つ選べ。
3.企業が行うフィランソロピーとは、慈善活動・社会貢献活動のことであり、福祉、地域興し、災害救援などの活動を支援することが含まれる。
●現代社会「適格消費者団体・消費者団体訴訟について」
問8 本文では消費者問題に対する、当事者以外による社会的な対応について三つのケースが挙げられていた。近年の日本における代表的な消費者問題として、「銀行、消費者金融会社、クレジットカード会社などからの多額の借金を抱えて返済できなくなること」がある。この間題への対応として本文の三つのケースに該当しないものを、次の1~4のうちから一つ選べ。
4.国の認定した消費者団体が、貸し手側である企業に対し、消費者の利益を不当に害する契約条項に関して、差止請求の裁判を起こす。
●現代社会「NGOについて」
第6問 問題文
・・・世界的な金融・経済危機に立ち向かう上で、経済のグローバル化が持つ功罪を踏まえ、弊害を和らげる努力がこれまで以上に求められている。そのためには、各国政府や国際機関、さらにNGO(非政府組織)などが、資金や技術、人材育成の面で一層協力することが必要であろう。そのなかで日本が貢献できることは少なくないはずである。
今回の大学入試センター試験の問題・解答は、読売新聞サイト内、下記ページを参照。
http://nyushi.yomiuri.co.jp/10/
正式な問題・解答は独立行政法人大学入試センターサイト内、下記ページを参照。
http://www.dnc.ac.jp/center_exam/22exam/22seikai.html