その他 : 介護保険、NPO法人は参入増加もシェア数%
2月25日、厚生労働省は「平成20年 介護サービス施設・事業所調査結果の概況」を公表した。それによると、訪問介護や通所介護、各種地域密着型サービス、居宅介護支援など行う介護サービス事業所の内、特定非営利活動法人(NPO法人)は事業所数としては増加するも、全体に占める割合(シェア)はいずれも数%台にとどまった。
「介護サービス施設・事業所調査」は、厚生労働省が毎年行っている調査。「全国の介護サービスの提供体制、提供内容等を把握することにより、介護サービスの提供面に着目した基盤整備に関する基礎資料を得ること」を目的としている。
調査対象は、介護保険制度における全国の関連施設・事業所全て。具体的には、介護予防居宅サービス事業所・地域密着型介護予防サービス事業所・介護予防支援事業所・居宅サービス事業所・地域密着型サービス事業所・居宅介護支援事業所・介護保険施設が調査対象となる。
平成20年(2008年)10月時点の、これら施設・事業所全240534ヶ所に対して、アンケート調査を実施。回答があった施設・事業所を集計した。
調査項目は、介護保険施設が開設主体・定員・在所者数・従事者数など、居宅サービス事業所が開設主体・利用者数・従事者数など。
今回公表された平成20年の結果を、各種介護サービス事業所の開設主体別で見ると、訪問介護や福祉用具貸与、小規模多機能型居宅介護などで「営利法人(会社)」がトップを占めた。通所介護や短期入所生活介護、認知症対応型通所介護では「社会福祉法人」がトップ。また、訪問介護ステーションや通所リハビリテーション、短期入所療養介護では「医療法人」がトップだった。
一方で、特定非営利活動法人(NPO法人)が開設主体である事業所は4441ヶ所に上った。しかし、全体に占める割合(シェア)では、訪問介護や通所介護、各種地域密着型サービス、居宅介護支援など、いずれも数%台にとどまった。
最近3年間の推移では、全体としてNPO法人の介護保険事業への参入件数は年々少しずつ増加傾向にあるものの、シェアでは大勢を占めるには至っていない状況だ。
その要因の一つとして、税制も考えられる。
現在、NPO法人が行う各種介護保険事業については、消費税は原則非課税となっているものの、法人税に関しては収益事業(医療保健業など)とみなされ所得に課税されている。一方、同じ事業を行っていても、社会福祉法人が行う介護保険事業は法人税法施行令第5条により収益事業から除外されており、非課税だ。
同じ事業を非営利法人同士が行っても、「社会福祉法人の場合は非課税⇔NPO法人の場合は課税」と不公平な状況が続いている。
参考ニュース「介護保険事業は主に『医療保健業』として課税」(2000/04/06)
/2000/04/行政-介護保険事業は主に「医療保健業」として/
参考ニュース「支援費は医療保健業で課税」(2003/09/30)
※障害者自立支援事業関連でも同様の問題
/2003/09/行政-支援費は医療保健業で課税/
法人税法施行令は下記ページを参照。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40SE097.html
●NPO法人が開設主体の介護保険事業所数(全体に占める割合)
平成18年/19年/【20年】
【居宅サービス事業所】
訪問介護:1190(5.7%)/1242(5.9%)/【1169(5.6%)】
訪問看護ステーション:50(0.9%)/57(1.1%)/【69(1.3%)】
通所看護:1070(5.5%)/1179(5.6%)/【1267(5.7%)】
【地域密着型サービス事業所】
認知症対応型通所介護:132(5.3%)/167(5.8%)/【194(6.2%)】
小規模多機能型居宅介護:25(13.4%)/83(8.6%)/【109(7.4%)】
認知症対応型共同生活介護:453(5.4%)/469(5.3%)/【484(5.2%)】
居宅介護支援事業所:819(3.0%)/937(3.3%)/【974(3.5%)】
今回の「平成20年 介護サービス施設・事業所調査結果の概況」の詳細は、厚生労働省内の下記ページを参照。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service08/index.html