NPO法人日本IDDMネットワーク 岩永幸三さん
NPO法人日本IDDMネットワーク 岩永幸三さん
私たちNPO法人日本IDDMネットワークは、1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病、IDDM、小児期に発症することが多いため小児糖尿病とも呼ばれます)の患者や家族、医療機関、企業、行政等との連携を図りながら、患者や家族の心のケア等を行っている団体です。
1型糖尿病は、毎日数回のインスリン注射またはポンプ注入を生涯必要とする病気です。糖尿病患者の99%を占める2型(成人型)糖尿病とは原因も治療法も異なります。日本での年間発症率は10万人あたり1~2人と少なく、治療法の研究推進や病気の存在自体を知ってもらうことも大切な難病の一つです。
そのため、私たちは、①全国各地の地域患者・家族会の支援、②政策提言、③調査研究、④シンポジウムやテーマ別のセミナーの開催、⑤医療関係団体との連携、⑥IDDMに関する広報・啓発活動、⑦療育相談、⑧会報発行などを主な活動としています。
また、1型糖尿病を「治らない」から「治る」病気にするため、2005年から1型糖尿病研究基金を設立して、この病気の治療法を研究している方々へ研究費の助成を行っています。
団体のホームページはこちら
http://www5.ocn.ne.jp/~i-net/top.html
●1.ファンドレイジングの具体的な事例紹介
特定の病気に関する団体であるため、私たちのファンドレイジングはどうしても関係者に対するアプローチに限られてしまいがちです。しかしながら、支援者の拡大のためにもチャレンジを続けています!
・プロ野球阪神タイガースの岩田稔投手が1型糖尿病研究基金に「1勝10万円」寄付
・年間約30社の企業訪問を実施
・米国の財団からの助成金(国内の様々な助成金も頂戴しています)
・1型糖尿病お役立ちマニュアルパート1から4まで作成(累計31,000冊発行)
・難病・慢性疾患患者支援自動販売機の設置(伊藤園、コカ・コーラグループ各社とのタイアップ。100台設置が目標で、現在1台設置・・・)
・寄付つき自動車保険による寄付先に選定!(ドウゾ社とのタイアップ)
・1型糖尿病研究基金寄付グッズ(タンブラーとTシャツ)
・イベント時(年間約40回)の募金活動
●2.理事を中心に取り組む
理事会で資金調達の重要性について議論を重ね、3役(理事長、副理事長、専務理事)を中心に取り組んでいます。役員が全国に点在し、専任のスタッフが不在であることもあり、十分な対応はできていませんが、私達の活動を評価していただく企業が増えています。
●3.役員の意識改革を
役員の大半が、ファンドレイジングの意義を十分に理解できていない状況です。人によっては、「やれる範囲でやればよい」、「私達はボランティアなんだから」という発言もあり、団体のミッションを実現するにあたっては役員の意識改革が大きな課題の一つです。
次期役員には、「経営者」としての自覚を持ってもらい、社会変革に挑む活動を継続的に続けていきます。そのためにも、患者や家族にとどまらず、医療関係者、防災の専門家のほか企業の方にも関わっていただくよう準備をすすめています。また、有給職員を雇用し、病気を「治す」まで組織を継続させていく基盤づくりを行って行きます。さらに、患者や家族には何らかの「参加」(会費、ボランティア、寄付等“少しだけ”他の患者や家族のために参加)をすすめていきます。
活動初期(設立の契機は1995年の阪神・淡路大震災です)と比較すれば組織の規模は格段に大きくなりましたが、この2年はさらなる組織基盤の強化をかけたターニングポイントになるとの思いで資金調達に励みます。
役員は経営者であるという意識を共有し、ミッションの実現に向けて継続できる組織に成長して行きたいと考えています。
●4.教訓!
一所懸命はあたりまえ。良いことをやっているというだけでは、、、形ある“成果”を示すことで“信頼”が得られました。