その他 : 年間2千円超で寄附金控除が利用可能に!
3月24日、参議院本会議で平成22年度予算案と税制改正関連法案、租特透明化法案が可決、成立した。昨年12月22日に閣議決定された税制改正大綱に基づき、所得税の寄付金控除適用下限額を2000円に引き下げることが決定。また、一部の租税特別措置(租特)について適用状況の報告が求められることになる。
政府は、昨年12月22日に、「平成22年度税制改正大綱~納税者主権の確立へ向けて~」を閣議決定。その中では、認定NPO法人制度の実績判定期間の特例延長や手続き簡素化などに加え、寄附金控除の適用下限額引き下げが盛り込まれていた。
認定NPO法人関連については、法レベルの改正でなく、租税特別措置法施行令・施行規則などの改正となるため、今回の提出法案には含まれていない。
参考ニュース「【速報】特例延長・手続簡素化などが実現へ!」(2009/12/23)
/2009/12/その他-【速報】特例延長・手続簡素化などが実/
通常、財政の収入と支出を決定する来年度予算案と税制改正関連法案は、一括して審議・検討がなされる。税制改正に関しては、財務省が2月5日に「所得税法等の一部を改正する法律案」を国会へ提出。
改正案には、大綱に基づき、寄附金控除の適用下限額(足切り金額)を現行の5000円から2000円へ引き下げることが盛り込まれていた。
前政権下の税制改正では、与党:税制改正大綱→政府:税制改正大綱→政府:税制改正要綱→政府:税制改正関連法案、という流れで年末から2月にかけて作業が進められていた。新政権下では、政府の税制改正大綱が閣議決定された後は、財務省による要綱の発表は無くなり、そのまま関連法案が国会へ提出される流れとなった。
また、新政権は複雑化し、特定業界への既得利権化しているとの批判もある租税特別措置(租特)を仕分けると共に、適用・利用実態を明らかにするために「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案(租特透明化法案)」も国会に提出していた。
租特透明化法案は、税収減につながる法人税の租特について、対象法人に適用額の報告を求めるもの。認定NPO法人制度も租税特別措置法に規定される租特であるため、報告対象となる可能性がある。対象となるかどうかは、施行令で判明する予定だ。
これら税制改正関連法案と租特透明化法案は衆参両院での審議・採決を経て、3月24日の参議院本会議で賛成多数で可決、成立した。
これにより、認定NPO法人や特定公益増進法人(独立行政法人、財団・社団法人の一部、社会福祉法人、更生保護法人、学校法人、公益社団・財団法人など)などへ、合計して年間2000円を超える額を寄付すれば、所得税の寄附金控除を利用できることになる。
対象となる寄附金は、平成22年(2010年)1月1日~12月31日の期間に寄附されたもの。
「所得税法等の一部を改正する法律」や「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」の詳細については、財務省サイト内、下記「第174回国会における財務省関連法律」ページを参照。
http://www.mof.go.jp/houan/174/houan.htm
所得税法等の一部を改正する法律案の寄附金控除適用下限額引き下げに関連する部分は下記。
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第七十八条第一項第二号を次のように改める。
二
二千円
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租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案の概要は下記。
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「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案」について
・目的
租税特別措置について、その適用状況を透明化するとともに適切な見直しを推進し、国民が納得できる公平で透明な税制の確立に寄与する。
対象とする租税特別措置
租税特別措置法に規定する措置のうち、特定の政策目的の実現のために設けられたものとする。
・適用実態調査の実施等
(1) 法人税関係特別措置(減収効果のあるもの)の適用を受ける法人は、適用額明細書を法人税申告書に添付しなければならない(平成23年4月1日以後終了する事業年度の申告から適用)。
(2) 財務大臣は、法人税関係特別措置について、適用額明細書の記載事項を集計し、措置ごとの適用法人数、適用額の総額等を調査する。
(3) 上記のほか、財務大臣は、租税特別措置の適用実態を調査する必要があるときは、税務署長に提出される調書等を利用できるほか、行政機関等に対し資料の提出及び説明を求めることができる。
・報告書の作成と国会への提出等
(1) 財務大臣は、毎会計年度、租税特別措置の適用状況等を記載した報告書を作成。内閣は、これを国会に提出する(翌年1月に開会される国会の常会に提出することを常例とする)。
(2) 行政機関の長等は、政策評価を行うため、財務大臣に対し、適用実態調査により得られた情報の提供を求めることができる。
・法律案の施行日
平成22年4月1日
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