認定NPO法人ACE 岩附由香さん
認定NPO法人ACE 岩附由香さん
●児童労働から子どもを守るNGO ACE(エース)
遊ぶ、学ぶ、笑う。そんな「あたりまえのこと」が、児童労働によって出来ない子どもが、世界に2億1800万人います。児童労働の約7割は農業分野で、インドではコットン畑に40万人以上の子どもが働き、西アフリカではカカオ畑で働く子どもが24万人とも言われています。
ACEはインドとガーナで地域住民の参加型で子どもが危険な労働をせずに学校に行けるように支援しています。またより多くの子どもを救うために、日本のODAによる児童労働・基礎教育への援助の強化による子どもを救う政策の実現と、企業の社会的責任(CSR)を通じてビジネスのやり方を変え関わる児童労働を0にするよう、政府と企業に働きかけています。
さらに、市民が身近なモノから世界の児童労働と自分のつながりを考え行動に移せるよう、フェアトレードの推進、市民への教育、啓発を行っています。
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●1.「しあわせへのチョコレート」プロジェクト
ACEではカカオ産業の児童労働に取り組むために、「てんとう虫チョコ」を販売しています。てんとう虫の形をしたチョコレートが4粒入ったパッケージを販売し、500円のうち200円が現地支援のための寄付になる、社会貢献できるチョコレートとして意識啓発を兼ねたファンドレイズを行っています。
もともと、カカオ産業の児童労働に取り組むことは決まっていましたが、チョコレートを使ったファンドレイズを知ったのは、他団体の方に「チョコレートを使ってすごくうまくファンドレイズをしているところがあるよ」と教えていただいたのがきっかけです。そこで早速、その実施団体であるJIM-NETさんに話を聞きにいきました。幸いにも、JIM-NETさんも快く教えてくださり、「まねさせていただきます」と、開始したのがこの「てんとう虫チョコ」です。
●2.大きな反響に驚き、喜び、青ざめ
1年目は1000個の予定で販売したところ、メディア掲載などが相次ぎ、最終的に1年間で8000個以上のチョコレートが売れました。やはり、バレンタインというチョコレートが話題になる時期にあわせて効果的にPR(新聞、雑誌、TVなど)が出来たことが、大きな要因だったと思います。
さらに驚いたのはこのチョコレートを詰める作業のボランティアを募集したところ、これまでになかったほどの反応があり、1回の作業日に20人以上の方が参加してくださるなど、かなりの反響がありました。作業としては単純作業ではあるのですが、チョコレートという身近なものの威力を感じました。
嬉しい反響も続々とありましたが、バレンタインの時期には在庫がなくなり、職員全員でチョコをパッグに詰める作業をしたり、発送作業をしたり、他の業務をよそにチョコ漬けの日々でした。
●3.体制づくりの重要性
慣れない発送作業で発送内容を間違えたり、入金チェックが漏れていて発送が滞っていたものがあったりなど、お叱りを受けるケースもありました。
販売の心構え、体制の確立の必要性を感じ、2年目はその対策を練りました。チョコをパックに詰める作業は障がいを持っている方々が働く作業所に依頼し、発送作業もそちらからしていただくという連携体制をとりました。
また郵送やメール便で送っていた郵送方法を、宅急便に統一しました。送料の単価があがってしまうので、4パックを1単位として販売する方法に切り替え、2000円以上の購入としました。
2010年はおかげ様でそれほどの混乱もなくバレンタインシーズンを終えましたが、残念ながら目標数の売り上げをバレンタインシーズン中に達成することが出来ませんでした。メディア掲載が少なかったこと、卸販売、委託販売など大口の購入が営業不足もあり目標達成できなかったことに要因がありそうです。
●4.教訓
「先達に学び、アレンジし、日々改善!」
他団体から教えてもらえるような関係を築いておくことが前提。日々改善を重ね、進化させていくことが重要。