その他 : 連絡会、参院選マニフェスト向け要望書作成
4月、NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会は、夏の参議院選挙でのマニフェスト(政権公約・選挙公約)に向けた「特定非営利活動法人(NPO法人)制度に関する要望書」をまとめた。特定非営利活動促進法(NPO法)・認定NPO法人制度の改正や寄附税制の拡充を要望するもの。今後、各党に要望書を提出していく予定。
NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会(以下、連絡会)は、1999年に設立された全国39のNPO支援センターの全国ネットワーク。NPO法改正や認定NPO法人制度の改正について、NPO側の意見をまとめたり、各地での制度改正の運動を展開している。シーズは世話団体の1つを務めている。
連絡会では、NPO議員連盟(NPO議連)や内閣府、財務省などに対して、NPO法や認定NPO法人制度に関する政策提言(アドボカシー)活動を行っている。衆議院・参議院選挙時においては、各党のマニフェストにNPOや市民活動に関する政策が盛り込まれるよう、要望活動も行っている。
昨年の衆議院総選挙では、6月~7月にかけて各党へ要望活動を実施。その成果もあり、ほぼ全党がNPO支援を公約へ盛り込んだ。公明党、民主党、社会民主党、日本共産党、新党日本、みんなの党は、支援税制や寄付税制によるNPO活動の促進も謳っていた。
参考ニュース 「マニフェスト向け要望書を各党に提出へ」(2009/06/15)
/2009/06/その他-マニフェスト向け要望書を各党に提出へ/
参考ニュース 「選挙公約にNPO法・税制改正を、各党へ要望」(2009/07/13)
/2009/07/その他-選挙公約にnpo法・税制改正を、各党へ要望/
参考ニュース 「衆院選マニフェスト、NPO関連政策を比較」(2009/08/19)
/2009/08/その他-衆院選マニフェスト、npo関連政策を比較/
総選挙の結果、民主党・社会民主党・国民新党による鳩山連立政権が誕生。民主党・社民党のマニフェストにNPO税制が盛り込まれていたことは、平成22年度税制改正で大きな追い風となった。
今回、連絡会がまとめた要望書は、7月実施が見込まれている参議院選挙の各党マニフェスト作成に対して、NPO側の要望を伝えるもの。
構成は、昨年の衆院選マニフェストに向けた要望書と同様で、前半が「現状と課題」、後半が「具体的要望事項」となっている。
前半では、成立から12年、施行11年を迎え、全国で4万法人を生み出したNPO法の意義と成果を強調。内閣府の世論調査結果を引用しながら、NPO・市民活動に対する国民の評価と参加意欲も指摘。
その上で、NPO法人制度については、社会情勢の変化への対応や信頼性の向上が課題と指摘。
NPO支援税制である認定NPO法人制度については、制度創設8年半を経過しても、認定NPO法人がNPO法人全体の0.3%と、ほとんどの団体が支援税制の対象となっていない現状を指摘した。
この現状に対して、認定NPO法人制度の更なる改革と共に、寄付の出し手側に関する寄付税制の大幅な拡充も必要であると訴えている。
具体的な要望事項としては、下記2点(計14項目)を挙げている。この内、昨年の要望書からの主な変更点は、NPO法人会計基準のNPO法への盛り込み、「仮認定制度」の導入、認定NPO法人制度の事後チェック方式への転換と情報公開の強化、寄付金控除での税額控除方式の導入の4点。
一.市民の自発性に基づき活動するNPOの社会貢献活動を支援し、より信頼性の高い制度にするため、特定非営利活動促進法(NPO法)の改正を行うこと
・民間主体で7月に策定されるNPO法人会計基準をNPO法に盛り込む。
※現在、策定が最終局面にあるNPO法人会計基準をNPO法でも位置付ける
二.支え合い・助け合いの地域コミュニティ活動や国際援助活動などを活性化するため、認定NPO法人制度の大幅な改正と寄付税制の大幅な拡充を行うこと
・米国のような「仮認定制度」を導入し、NPO法人立ち上げを税制で支援する。
・市民による「事後チェック」方式へ転換し、認定NPO法人の情報公開を強化する。
・所得税の寄附金控除制度において税額控除方式(控除率:100%・一定の控除上限額あり)を創設し、所得控除方式との選択制とする。
連絡会では、今後各党への要望書提出・働きかけを行っていく予定。
とりまとめた要望書全文は以下の通り。
特定非営利活動法人(NPO法人)制度に関する要望書(PDFファイル)は下記URLを参照。
https://www.npoweb.jp/pdf/201004Manifesto.pdf
添付した特定非営利活動促進法の改正に関する要望書(PDFファイル)は下記。
https://www.npoweb.jp/pdf/NPOLaw20090614.pdf
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特定非営利活動法人(NPO法人)制度に関する要望書
NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会
特定非営利活動促進法(NPO法)は、議員立法として1998年成立・施行されました。現在では、全国各地で約4万の特定非営利活動法人(NPO法人/特活法人)が認証を受けています。福祉や教育、環境保全、国際協力、まちづくりなど様々な分野で活躍しています。
内閣府の世論調査では、国民の8割が「市民活動は大切である」と答えています。また、国民の4割が「ボランティアなどでNPOの活動に参加したい」と答えています。
地域コミュニティの再生や社会的弱者の支援、多様な公共サービスの提供などで、行政・企業と協働・連携しながら、日々、社会に貢献しています。今後の日本社会においても、NPOや市民活動はますます重要性を増していくと考えています。
一方で、急速に変化する社会問題や災害発生時の素早い対応のため、NPO法人には迅速な設立・運営が求められています。一連の公益法人制度改革なども踏まえ、NPOの健全な発展を促進するため、市民活動を支える基盤であるNPO法人制度をより使いやすく、透明性の高い制度へ改正していく必要があります。
さらに、内閣府の調査では、NPO法人の約7割が「活動資金が不足している」と答えています。しかし、NPO支援税制である認定NPO法人制度は開始後8年半を経た現在でも、認定を受けたNPO法人はわずか134法人、約4万あるNPO法人のわずか0.3%(2010年4月16日現在)に過ぎません。多くのNPO法人が認定NPO法人制度を活用し、より一層社会に貢献できるようインパクトのある抜本的な改革が不可欠です。同時に、日本の寄附文化を飛躍的に発展させ、個人や企業によるNPOへの寄付を促進するため、寄付税制の大幅な拡充も必要です。
こうした現状を踏まえ、貴党の政権公約(マニフェスト)作成に当たっては、是非とも下記、要望事項を盛り込んでいただき、また選挙終了後はその実現にご尽力くださいますようお願い申し上げます。
要望事項
一.市民の自発性に基づき活動するNPOの社会貢献活動を支援し、より信頼性の高い制度にするため、特定非営利活動促進法(NPO法)の改正を行うこと
1.法律の名称を「市民活動促進法」へ、法人の名称を「市民活動法人」へ変更する。
2.NPO法人の認証期間(現行4ヶ月以内)を2ヶ月に変更し、補正を可能にする。
3.運営に関する各種手続きを簡素化・迅速化する。
4.NPO法人のインターネット上の情報公開を強化すると共に、公開時の個人情報保護を行う。
5.民間主体で7月に策定されるNPO法人会計基準をNPO法に盛り込む。
6.その他、添付資料「特定非営利活動促進法の改正に関する要望書」を参照のこと
二.支え合い・助け合いの地域コミュニティ活動や国際援助活動などを活性化するため、認定NPO法人制度の大幅な改正と寄付税制の大幅な拡充を行うこと
1.「NPO法人の50%は認定が受けられる」制度へ抜本改正を行うと共に、「全都道府県に認定NPO法人が誕生する」よう、申請・審査・相談体制を充実させる。
2.米国のような「仮認定制度」を導入し、NPO法人立ち上げを税制で支援する。
3.事業型NPO法人等も認定を受けられるようにパブリック・サポート・テストの構造を変更するなど、現行の認定要件のより一層の緩和を行う。
4.市民による「事後チェック」方式へ転換し、認定NPO法人の情報公開を強化する。
5.みなし寄附金制度における控除限度額を所得金額の50%へ引き上げ、みなし譲渡所得を非課税にするなど税制優遇措置のより一層の拡充を行う。
6.所得税の寄附金控除制度において税額控除方式(控除率:100%・一定の控除上限額あり)を創設し、所得控除方式との選択制とする。
7.寄附金控除制度において、繰り越し・繰り上げ控除制度の導入や年末調整での適用を認めるなど寄附金控除の大幅な拡充・利便性向上を行う。
8.その他、一般のNPO法人に対する法人税免税点制度導入や現物寄付を全額損金算入可能にするなど、寄附税制の拡充とNPO法人税制改正を行う。
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NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会の詳細については下記を参照。
『NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会』とは
NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会は、特定非営利活動促進法(通称NPO法)に関する税制改革と法人制度改革について検討し実現する運動体として、全国のNPO/NGO支援団体28団体が参加し1999年6月8日に発足しました(現在39団体が参加)。
1999年10月に「NPO/NGOの優遇税制に関する提案」を発表し、2000年2月には賛同署名をNPO議員連盟に対して提出しました。また、2000年秋には、全国18ヶ所で集会を行い、各開催地で国会議員も交えて議論を重ね、その結果、2000年末に新しい「認定NPO法人制度」の導入が決定され、2001年の10月1日から施行されることになりました。
しかしながら、この制度の「認定」を受けるための要件が厳しすぎ、ほとんどのNPO法人が認定を受けられないということから、連絡会では2004年10月から11月にかけて、全国14ヶ所で制度改正を求めて講演会を実施。併せて2597団体(対象9689団体中)から署名を集め、同年11月に改正要望活動を行いました。また、2007年には「認定NPO法人制度の改正に関する要望書」を取りまとめ、与野党、各省庁に提出しました。
その結果、認定要件の一部が改正されるという一定の成果を得ることができました。しかしながら、未だこの認定要件は厳しく、認定NPO法人の数に顕著な増加は見られません。認定を受けているNPO法人の数は全体の0.3%と、早急な見直しが必要とされています。
また連絡会では、公益法人制度改革において、NPO法人の発展が阻害されることがないよう、全国のNPO/NGOとともに活動を展開しています。
【連絡会のこれまでの活動】
●1999年度
6月8日 拡大世話団体会議を開催、要望書をまとめ同時に連絡会を発足させ記者発表
7月~9月 連絡会参加団体の申し出により各主要都市で勉強会・討論集会を開催
10月15日 「NPO/NGOの優遇税制に関する提案」発表
11月 提案に基づく賛同署名運動開始
12月1日 NPO法施行1周年記念イベント「NPO法人の発展のために何が必要か」(東京)
●2000年度
2月16日 国会への賛同署名名簿の提出
9月~11月 NPO支援税制創設のための全国キャンペーン(学習会、決起集会など18ヶ所)
11月30日 NPO支援税制をつくる1000人決起集会
12月1日 国会要請行動、経済企画庁・大蔵省などに申し入れ
●2001年度
5月~11月 全国14ヶ所でNPO支援税制に関する勉強会を開催(決起集会も含む)
10月 NPO支援税制の改正要望を賛同署名運動と全国キャンペーン開始
11月 NPO法人2077団体からの署名を取りまとめ、各党のNPO担当議員に提出
●2002年度
6月21日 NPO支援税制の改善に関する要望書を内閣府に提出
9月~11月 NPO支援税制の改善のための全国キャンペーン(学習会、決起集会など16ヶ所)
11月 NPO法人代表者3036名からの署名を取りまとめ、各党のNPO担当議員に提出
●2003年度
10月~12月NPO支援税制の改善および公益法人制度改革の勉強会を開催(10ヶ所)
12月1日 NPO法施行5周年記念シンポジウム「NPOの過去・現在・未来」(東京)
●2004年度
5月10日 「公益法人制度改革に関する「議論の中間整理」に対する意見」を内閣官房公益法人制度改革推進担当室に提出
9月10日 「公益法人制度改革の具体化に関する意見」を内閣官房行政改革推進事務局に提出
10月~12月認定NPO法人制度改正のための署名運動と全国キャンペーン(14ヶ所)
11月17日 NPO法人代表者2597名からの署名を取りまとめ、230人の国会議員に提出。
●2005年度
10月 「認定NPO法人制度の改善に関する要望書」を与野党、内閣府に提出
12月 緊急集会「変わるか?認定NPO法人制度」開催(東京)
●2006年度
11月~3月 地域学習会を開催(札幌、名古屋、神戸)
●2007年度
11月5日 「認定NPO法人制度の改正に関する要望書」をまとめ、与野党、内閣府等に提出
12月~3月 地域学習会を開催(札幌、青森、愛知、福岡)
3月18日 NPO法成立10周年記念フォーラム「語り合おう!これまでとこれから」開催
●2008年度
11月 「NPO法人制度の税制改正に関する要望書」を各党に提出
12月1日 NPO法施行10周年記念イベント「どうなる? NPO法人制度の未来~法人・税制の変革期を超えて~」開催(東京)
●2009年度
6月 衆議院総選挙のマニフェスト策定に向けた「特定非営利活動法人(NPO法人)制度関する要望書」をまとめ、各党へ提出
10月 認定NPO法人制度改正や寄附税制拡充を盛り込んだ「NPO法人制度の税制改正に関する要望書」をまとめ、内閣府・総務省・経産省に提出
連絡会の参加団体については、下記一覧を参照。
【NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会 参加団体】 (2010年4月現在)
計39団体(北から/50音順) ※:世話団体 *:地域幹事団体
NPO推進北海道会議(北海道)*
あおもりNPOサポートセンター(青森県)
せんだい・みやぎNPOセンター(宮城県)*
杜の伝言板ゆるる(宮城県)
茨城NPOセンター・コモンズ(茨城県)
群馬NPO協議会(群馬県)
さいたまNPOセンター(埼玉県)
NPO会計税務専門家ネットワーク(東京都)
NPO事業サポートセンター(東京都)※
国際協力NGOセンター(東京都)※
子どもNPO・子ども劇場全国センター(東京都)※
さわやか福祉財団(東京都)
シーズ・市民活動を支える制度をつくる会(東京都)※
チャイルドライン支援センター(東京都)※
日本NPOセンター(東京都)※
日本国際ボランティアセンター(東京都)
まちづくり情報センターかながわ(神奈川県)
アクションポート横浜(神奈川県)
くびき野NPOサポートセンター(新潟県)*
長野県NPOセンター(長野県)
ぎふNPOセンター(岐阜県)
浜松NPOネットワークセンター(静岡県)
パートナーシップ・サポートセンター(愛知県)
市民フォーラム21・NPOセンター(愛知県)*
大阪NPOセンター(大阪府)
大阪ボランティア協会(大阪府)※
関西国際交流団体協議会(大阪府)
アートNPOリンク(京都府)
市民活動センター神戸(兵庫県)
宝塚NPOセンター(兵庫県)
奈良NPOセンター(奈良県)
大和まほろばNPOセンター(奈良県)
岡山NPOセンター(岡山県)
ひろしまNPOセンター(広島県)*
NPO高知市民会議(高知県)
NPOふくおか(福岡県)
ふくおかNPOセンター(福岡県)
佐賀県CSO推進機構(佐賀県)
NPOくまもと(熊本県)*