その他 : 鳩山首相、寄付金の50%税額控除を提案
4月9日、政府は「新しい公共」円卓会議の第5回会合を開催。市民公益税制PT座長の渡辺周総務副大臣が、8日の税制調査会で了承された中間報告内容を説明した。鳩山首相からは寄付金税額控除制度の具体的な提案があった。
「新しい公共」円卓会議は、「『新しい公共』という考え方やその展望を市民、企業、行政などに広く浸透させるとともに、これからの日本社会の目指すべき方向性やそれを実現させる制度・政策の在り方などについて議論を行うこと」を目的に設置、1月27日に初会合を開催した。これまでに4回の会合を行っている。
メンバーは座長の金子郁容氏(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)をはじめ、経営者や研究者、NPO/NGO関係者など19名。内閣総理大臣や副総理、内閣官房長官、内閣府特命担当大臣(「新しい公共」担当)が出席する。
参考ニュース「政府の『新しい公共』円卓会議が発足」(2010/01/29)
/2010/01/その他-政府の「新しい公共」円卓会議が発足/
参考ニュース「新しい公共円卓会議、NPO・寄付税制を議論」(2010/03/08)
/2010/03/その他-新しい公共円卓会議、npo・寄付税制を議論/
参考ニュース「『新しい公共』円卓会議、資金面の支援を議論」(2010/03/24)
/2010/03/その他-「新しい公共」円卓会議、資金面の支援/
円卓会議会合の前日、4月8日に平成22年度第1回税制調査会で「市民公益税制プロジェクト・チーム中間報告書」が提出・了承された。これを受け、今回の円卓会議では、まず市民公益税制PT中間報告について座長渡辺総務副大臣が説明を行った。
参考ニュース 「【声明】市民公益税制PT中間報告を歓迎!」(2010/04/09)
/2010/04/その他-【声明】市民公益税制pt中間報告を歓迎!/
参加した委員は中間報告の内容を高く評価。
福嶋浩彦委員(前我孫子市長)は、「自治体が条例で個人住民税の控除対象にできるのは、本当に大きな前進。」と高く評価する一方で、「ただ、実際の制度設計のときに、自治体にとってもNPOにとってもハードルの高い形で制度設計されないように、よろしくお願いしたい。」と具体的制度設計について注意を求めた。
大西健丞委員(公益社団法人Civic Force代表理事)は、「鳩山総理自らが非常に強いイニシアティブを発揮されているので、我々NPO、NGOとしては非常に期待している。是非その精神を結果に出していただければ本当に感謝の極みだ。」と感謝と期待を述べた。
中間報告を受けて、鳩山首相は全体を「大変大きな進歩」と評価。導入される予定の寄付金税額控除制度については「市民の草の根の寄附に対して、政府も同じ割合でマッチングするというようなことで、1対1というのがいいのではないかと思っている。」「所得税額の、4分の1まで、25%までそれを可能にするというのが一つの方向かなと思っている。」と発言。「税額控除率50%で控除限度額が所得税額の25%」という具体的数字に踏み込んでの提案があった。
認定NPO法人以外の社会福祉法人や学校法人への税額控除適用についても検討するよう指示した他、税額控除制度導入の時期については2011年1月からの適用を可能にするようスピード感を持って取り組むよう指示した。
また、NPO側には、税額控除導入で、これまで以上に活動の内容や透明性が問われるとして、質の向上などを求めた。
全体的な制度設計についても、市民やNPOの意見も聞きながら、迅速に進めるよう指示した。
「『新しい公共』円卓会議」については、内閣府サイト内、下記ページを参照。会議資料の入手や会議動画の閲覧が可能。
http://www5.cao.go.jp/entaku/index.html
市民公益税制プロジェクト・チーム中間報告内容に関する鳩山首相の発言は下記の通り。
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○鳩山内閣総理大臣 今、渡辺座長からお話がありましたように、政府税調の中の市民公益税制のプロジェクトチーム、大変10回にわたって迅速に議論を進めていただいて結論をお出しいただいたことを、私は非常にうれしく思っています。ありがたく思います。
今回のPTの報告は幾つか大きな点があると思いますが、税額控除というもの、ある意味で長年にわたる皆様方の御要望に対してというか、私も全くそのとおりだと思いますが、大変踏み込んだ結論を出してくれたということが1点。
それから、認定NPO法人の制度に関しまして、いわゆる仮認定制度の導入などというようなことによって認定の間口というものを相当広げないとだめだということになりまして、これで相当広がると私は大いに期待をしております。いわゆる事後チェックのような形になろうかと思っておりますが、そういう制度を導入するということが認められていくと、これも大変大きな進歩だと思います。
更に今お話がございましたように、NPOに関してはむしろ政府よりも地方団体の方が、より身近でよく理解をしているということもあるわけでありますから、そういった方々の判断を尊重するということも認めていただいた。この3点は、大変大きな進歩だと思います。
そこで、特に税額控除に関して、これは市民の皆さん、NPOの皆さん方とも相談をしながら、最終的に結論を出してまいりたいと思っておりまして、自分自身の思いとすれば、市民のある意味での草の根の寄附に対して政府も同じ割合でマッチングするというようなことで、1対1というのがいいのではないかと思っております。
市民に対して全部政府が面倒を見るというのも、最初考えなかったわけではないのですが、それは必ずしも市民の皆さんの草の根の寄附の思いというものが伝わらない。むしろ、市民1に対して政府も1でマッチングをするというようなフィフティ・フィフティがよかろうという判断がありまして、そのように是非していただきたいと、私の方からあえて具体的にそのことを申し上げてまいりたいと思います。
所得税額のどのぐらいまでというものがひとつあると思いますが、4分の1まで、25%までそれを可能にするというのが一つの方向かなと、そのように思っておりまして、これも迅速さが必要だ。新政権において、のろのろとやっていたのではNPOの皆さん方もお困りだと思います。私はやはり速度が必要だということで、来年の1月にこれが動き出せるというようなスピード感を持って臨んでいただきたいと、このようにまずお願いをしておきます。
それから今、渡辺副大臣の方から最後に言及がありましたけれども、NPOよりも前に社会福祉法人とか学校法人の皆さん方に対する寄附というものがあったわけであります。したがって、こういった方々、社団、財団、あるいは学校法人、今、申し上げたような社会福祉法人、こういったところに対する寄附税制の在り方、やはり同じような税額控除というものも私は当然認められるべきではないかと思っております。
今、ハンディをどうつけるかみたいな議論がありました。果たしてそういうハンディが必要なのかどうかということも私にはまだ必ずしもわかりませんで、ハンディが要るのかなと、むしろそのぐらいには思っておりますが、是非ここも早急に検討して、同じときに適用されるように御努力を願いたい。したがって、あとまた何回か、迅速に会議を開いていただきたいと思っておりまして、具体的なそういった制度設計を是非急いでいただきたいと、改めてお願いを申し上げておきます。
また、あえて申し上げれば、NPOの皆さん方もこういう寄附税制に関して大きく前進をするという状況になれば、当然そのNPOの活動自体が問われるということを国民の皆さんに、皆さんの税金がこういうふうに使われているんだという話になるわけですから、当然責任というものも更に大きくなるという御理解の下で質の向上などにも努めていただくことを、是非この場を借りて申し上げておきたいと思います。
私からは、以上です。
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