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その他ニュース

2010年05月26日 12:00

その他 : 改正貸金業法適用除外、NPOバンク存続へ!

4月26日、金融庁は「改正貸金業法に関する内閣府令の改正(案)」を公表した。その中で、いわゆるNPOバンクについて指定信用情報機関の使用・提供義務免除や総量規制の適用除外などが認められることが判明。5月7日、全国NPOバンク連絡会はリリースを発表、歓迎する意向を示した。

NPOバンクとは、主に市民からの出資を基に設立された非営利の市民金融組織のこと。

全国NPOバンク連絡会によれば、「NPOバンクは、市民が自発的に出資した資金により、地域社会や福祉、環境保全のための活動を行うNPOや個人などに融資することを目的に設立された『市民の非営利バンク』のことで、『金融NPO』『市民金融』」とも呼ばれているとのこと。「最初のNPOバンクは1994年に設立された『未来バンク事業組合』(東京都)」とされ、以後各地に続々と誕生。現在では全国でおよそ10強のNPOバンクが活躍しているようだ。

一般金融機関との違いと特徴は、NPOバンクが趣旨に賛同する市民・NPOから出資を募り、その原資で低利の融資を行うこと。さらに、非営利であり、基本的に小規模で、物的担保をとらないことなど。融資対象は、地域や社会の課題に取組んでいるNPOなどが中心。運営は専門家を含むボランティアスタッフによって低経費で賄っている。

融資先の審査には、出資者である市民が参加することも多く、目の見える形で融資出来る点も特徴といえる。

一般の金融機関から融資を受けづらいNPOなどに融資を行うなど、NPOバンクは地道な活動を進めていた。しかし、財産要件の引き上げなどを中心とした2006年の貸金業法改正議論で、存続の危機が訪れた。

参考ニュース 「貸金業法改正でNPOバンクが存立危機に」(2006/09/15)
/2006/09/行政-貸金業法改正でnpoバンクが存立危機に/

参考ニュース 「改正貸金業法、NPOバンク適用除外へ」(2006/12/20)
/2006/12/行政-改正貸金業法、npoバンク適用除外へ/

この際は、NPOバンク側の働きかけにより、改正貸金業法の採決では、NPOバンクの存続と新規参入が可能になるようとの附帯決議がなされ、財産要件問題などは解決に向かった。
※貸金業法施行規則(内閣府令)で「特定非営利融資法人(NPOバンク)」については、必要な純財産を500万円とする特例を新設して対応

しかし、改正貸金業法の完全施行(2010年6月)が迫るにつれ、新たな問題も浮上。
指定信用情報機関の使用・提供義務や総量規制の適用、貸付業務経験者の常勤役員の確保などがNPOバンクの存続を揺るがす問題として指摘されるようになった。

こうした状況を受け、NPOバンクのネットワークである全国NPOバンク連絡会は、昨年8月3日に緊急市民集会「社会起業家が消える!?~下支えしてきたNPOバンクの危機」を開催。問題提起を行うと共に、政府や与党、国会議員などへの働きかけを開始した。


(緊急市民集会の様子 問題を説明する田中優氏(未来バンク事業組合) 8/3)


(緊急市民集会の様子 アピールを行う木村真樹氏(コミュニティ・ユース・バンク momo)ら 8/3)

NPOバンクについては、政府の「新しい公共」円卓会議や民主党の「『新しい公共』づくりをめざした市民と民主党の政策形成プロジェクト」でも取り上げられるなど関心も高まっていた。

関係者の尽力の結果、今回発表された「改正貸金業法に関する内閣府令の改正(案)」にて、問題とされていた点について、NPOバンクを対象とする「特定非営利金融法人」分類の新設などにより、下記改善が図られ、存続が可能になった。

・貸付業務経験者の確保義務の免除
・指定信用情報機関の信用情報の使用・提供義務の免除及び総量規制の適用除外

改正案発表を受け、5月7日、全国NPOバンク連絡会は「NPOバンクの存続、ほぼ確実に ~しかし未だヤドカリ状態、「NPOバンク法」の制定が必要~」と題したリリースを発表。政府・金融庁の対応を評価し、歓迎すると共に、非営利・公益の市民金融が力強く発展するための基盤となる「NPOバンク法」の制定に向けて活動していくことを表明している。

シーズとしても、今回の政府・金融庁の対応を歓迎すると共に、全国NPOバンク連絡会らの今後の活動に期待したい。

今回の「改正貸金業法に関する内閣府令の改正(案)」の詳細は、金融庁サイト内、下記ページを参照。
http://www.fsa.go.jp/news/21/kinyu/20100426-3.html

全国NPOバンク連絡会によるニュースリリース「NPOバンクの存続、ほぼ確実に ~しかし未だヤドカリ状態、「NPOバンク法」の制定が必要~」は下記ページ(PDF)を参照。
http://www.npobank.net/docs/news/20100502_NewsRelease.pdf

その他NPOバンクの概況や一覧、各種リリースなどは全国NPOバンク連絡会サイト内の下記ページを参照。
http://npobank.net/documents.html

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「改正貸金業法に関する内閣府令の改正(案)」

(5)NPOバンクに対する対応

(i)貸付業務経験者の確保義務の免除
・ 一定の要件を満たすNPOバンクについては、代替的な体制整備を要件として、初回の登録については、貸付業務経験者の確保義務を免除する取扱いを認める。
(規則第5条の3の2、第5条の4の2、第26条の25の2第2項、第26条の26の2第2号から第4号まで、第26条の27の2第2号から第4号まで、第26条の29の2)

(ii)指定信用情報機関の信用情報の使用・提供義務の免除及び総量規制の適用除外
・ NPOバンクの活動を支援する観点から、以下の要件を満たす貸付けを行う者として届出をしたNPOバンクの当該貸付けについては、
①指定信用情報機関の信用情報の使用・提供義務の免除
②総量規制の適用除外
とする。
(規則第1条の2の3、第5条の3の2、第10条の16の2、第10条の21の2、第10条の24の2、第10条の25の2、第26条の25の2第3項、第26条の26の2第2号・第5号・第6号、第26条の27の2第2号・第5号・第6号、第26条の29の2、第30条の12の2、第30条の14の2)

(i)以下の要件を満たすNPOバンクが行う貸付けであること
①非営利、②低金利(7.5%以下)、③貸出目的の公益性、④貸付内容等の情報開示 等
(ii)生活困窮者(注)向けの貸付けであること。
(iii)他の貸金業者等からの借入れ等の状況を把握する措置を講じること。
(iv)上記を踏まえた生活再建のための計画の策定を行うこと。
(v)上記計画の進捗状況を定期的に把握し、必要に応じ、生活再建が図られるよう、助言又は指導が行われること。

1.生活困窮者向けの貸付け
(i)以下の要件を満たすNPOバンクが行う貸付けであること
①非営利、②低金利(7.5%以下)、③貸出目的の公益性、④貸付内容等の情報開示 等
(ii)生活困窮者(注)向けの貸付けであること。
(iii)他の貸金業者等からの借入れ等の状況を把握する措置を講じること。
(iv)上記を踏まえた生活再建のための計画の策定を行うこと。
(v)上記計画の進捗状況を定期的に把握し、必要に応じ、生活再建が図られるよう、助言又は指導が行われること。
(注)生活困窮者とは、収入をもって最低限度の生活を維持するために必要な費用及び債務の弁済の費用を賄うことができない個人をいう。

2.特定非営利活動として行われる貸付け
(i)以下の要件を満たすNPOバンクが行う貸付けであること
①非営利、②低金利(7.5%以下)、③貸出目的の公益性、④貸付内容等の情報開示 等
(ii)特定非営利活動(注)として行われる貸付けであること。
(iii)他の貸金業者からの借入れ等の状況を当初より定期的に把握し、必要に応じ、借り手に対し、貸付残高が過剰とならないよう、助言又は指導が行われること。
(注)特定非営利活動法上の17事業(環境保全、福祉、まちづくり等)として行う活動を指す。
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