その他 : 社会的責任円卓会議、来春に協働戦略策定へ
5月12日、社会的責任に関する円卓会議(旧:安全・安心で持続可能な未来に向けた社会的責任に関する円卓会議)は「『私たちの社会的責任』宣言~『協働の力』で新しい公共を実現する~」を発表。円卓会議は来年春を目途に、協働戦略を策定する予定。
社会的責任に関する円卓会議(円卓会議)は、EU(欧州連合)をはじめとして、イギリスやフランス、ドイツなど西欧各国で進められている多様な主体が社会的課題を議論し、協力して問題解決に取り組んでいく仕組み(マルチステークホルダー・プロセス)をモデルにしたもの。
「安全・安心で持続可能な社会の実現に向け、広範な主体の協働を推進するとともに、組織の社会的責任を促進する環境を整備する」ための総合的な行動計画となる「安全・安心で持続可能な未来への協働戦略(協働戦略)」を策定するのが大きなポイントだ。
麻生政権下の平成21年(2009年)3月に第1回総会を開催。その後これまでに、総会3回、総合戦略部会4回、運営委員会12回を開催。
従来の審議会等との違いとして、事業者団体・消費者団体・労働組合・金融セクター・NPO/NGO・専門家・行政などの各グループが自ら委員を選び、参加しているのが特徴。政府も一参加者に過ぎず、他の代表と対等な立場だ。
NPO/NGOのグループとしては「社会的責任向上のためのNPO/NGOネットワーク(NNネット)」が2008年5月に発足。総会・総合戦略部会・運営委員会など円卓会議の場に、選出した委員を送り出している。
NNネットは他にも、社会的責任向上のための普及啓発と情報発信、民間非営利セクターからの社会的責任の向上に関する意見の集約と提言などを行っている。
参考ニュース「社会的責任円卓会議にNPO/NGOが提案へ」(2009/06/24)
/2009/06/その他-社会的責任円卓会議にnpo-ngoが提案へ/
参考ニュース 「SR(社会的責任)フォーラム開催」 (2008/10/22)
/2008/10/その他-sr(社会的責任)フォーラム開催/
円卓会議発足当初は2010年春に「安全・安心で持続可能な未来への協働戦略」策定を目指していたが、政治状況などの影響でスケジュールが大幅に遅延。
昨年夏の政権交代後は、しばらく会議が開催されない状態が続いていたが、2010年2月に仙谷由人「新しい公共」担当大臣(当時)との懇談を開催。再始動して、議論を再開。
5月12日に「『私たちの社会的責任』宣言~『協働の力』で新しい公共を実現する~」を発表。協働で取り組むべき中長期的テーマとして、以下の4点を挙げ、来春の協働戦略策定に向け、取り組んでいくことを宣言した。
「ともに生きる社会の形成」
「地球規模の課題解決への参画」
「持続可能な地域づくり」
「人を育む基盤の整備」
また、協働戦略策定に向けた試行プロジェクトとして、「地域版円卓会議」と「消費者・市民教育」2つのモデル事業に取り組むことが述べられている。
・「地域円卓会議」の全国的展開に向けたモデル開催
・協働のプロセスによる「消費者・市民教育モデル事業」の実施
合わせてそれまでの「安全・安心で持続可能な未来に向けた社会的責任に関する円卓会議」と長かった名称を「社会的責任に関する円卓会議」と短く改称した。
今後は4テーマごとにワーキンググループが設置され協働戦略が議論される他、2つの試行プロジェクトの事業展開もある見込み。6月に「新しい公共」宣言を発表し、締めくくりを迎えた「新しい公共」円卓会議やその後継組織との関係などを含め、今後の動向に注目したい。
社会的責任に関する円卓会議に関する詳細は、下記公式サイトを参照。
http://sustainability.go.jp/forum/index.html
「『私たちの社会的責任』宣言~『協働の力』で新しい公共を実現する~」については、下記PDFファイルを参照。(下部にも転載)
http://sustainability.go.jp/forum/meetings/files/documents/sr_sengen.pdf
社会的責任向上のためのNPO/NGOネットワーク(NNネット)のサイトは下記。ISO26000についてや円卓会議への参加について、詳しい情報が掲載されている。また会員も積極的に募集している。
問い合わせはNNネット事務局(NPO法人日本NPOセンター内)TEL:03-3510-0855 Email: office※sr-nn.net(※印を@に置き換え)まで。
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「私たちの社会的責任」宣言 ~「協働の力」で新しい公共を実現する~
平成22年5月12日
社会的責任に関する円卓会議
「社会的責任に関する円卓会議(以下、「本円卓会議」という)」は、経済・社会・文化・生活など、様々な分野における多様な担い手が対等・平等に意見交換し、政府だけでは解決できない諸課題を「協働の力」で解決するための道筋を見出していく会議体として、平成21 年3 月に設立されました。私たちは、本円卓会議を通じ、それぞれの組織の社会的責任を果たしながら、安全・安心で持続可能な経済社会を実現していきます。
私たちは、今、子育て支援などの身近な問題から地域コミュニティーの充実促進や地域経済の再生、雇用の確保、社会的格差の是正、そして、より大きな地球温暖化の防止など、様々な課題に直面しています。これらはいずれも、政府主導ではもちろん、それぞれの担い手の単独の取り組みでも、問題解決に必ずしも十分な成果をあげることができないものばかりです。関係する全ての担い手が、ともに支えあい、適材適所で役割分担を担って参画することが我が国の発展には不可欠です。また、こうした取り組みが、ムダなコストを生むことなく、課題を解決する本当の力、広い意味での「社会の資本」を形成し、将来世代にも責任の持てる持続可能な経済社会の創造に寄与すると考えます。
このため、私たちは、事業者団体、消費者団体、労働組合、金融セクター、NPO・NGO、専門家、政府といった広範かつ多様な担い手が、「協働の力」で問題解決に当たるための新しい公共の枠組み(マルチステークホルダー・プロセス)を構築しました。それが、私たちの「社会的責任に関する円卓会議」です。本円卓会議にあっては、政府も他の担い手と同じ一参加者として、対等な立場で議論し、自主的行動によって協働していくということを特徴としています。政府の下に民間が集うのではなく、政府が担い手の一人として参画するというこれまでの日本にはなかった画期的な仕組みです。
私たちは、この仕組みを通じて、新しい公共を担っていきます。多様な組織や多くの国民が参加し、協働することを通じて、責任ある行動や選択を行っていきます。
本円卓会議では、「安全・安心で持続可能な社会」を目指すうえで、協働で取り組むべき中長期的テーマとして、①「ともに生きる社会の形成」、②「地球規模の課題解決への参画」、③「持続可能な地域づくり」、④「人を育む基盤の整備」を掲げ、これらに関する行動計画を平成23 年春に協働戦略として策定し、その実現に向けてまい進していきます。
私たちは、今、これらの課題に取り組むことを宣言します。
社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト
1.役割
本円卓会議の役割は、安全・安心で持続可能な経済社会を実現するために、多様な担い手が様々な課題を「協働の力」で解決するための協働戦略を策定し、その実現に向けて行動することにあります。この役割を果たすために、現在、以下の担い手の代表等が参加しています(下図参照)。
本円卓会議では、役割を果たすために、次のような特色をもつ仕組みを採用しています。
第一に、審議会のように政府が議題設定を行うのではなく、本円卓会議では、担い手それぞれが課題を提起し、協働の力による解決方法や自らの役割について議論します。
第二に、政府は、一参加者として、他の担い手と対等な立場で議論します。他方、政府には、他の担い手とは異なり、本円卓会議が有効に機能できるような環境整備を行う役割もあります。
第三に、本円卓会議には、各セクターの担い手がボトムアップで選んだ代表が参加します。有識者が個人として発言する審議会や他のフォーラムとは異なります。この方式を採ることにより、本円卓会議での議論が各担い手に還元され、各セクターの担い手全体に広がっていきます。
本円卓会議が自らの役割を発揮することによって、安全・安心で持続可能な経済社会を実現していきます。
2.協働プロジェクト
本円卓会議は、現在、協働戦略を準備しています。平成22年度から23年度にかけて、次の2つの「第一歩としての協働プロジェクト」を試行し、これらを検証しつつ、新しい公共を実現するための協働戦略を策定します。また、本円卓会議の仕組みについてもさらに改良していきたいと考えています。
(1)「地域円卓会議」の全国的展開に向けたモデル開催
地域活動団体・NPOをはじめ複数の担い手が、行政と定期的に協議し、社会課題の解決について協働する実践例が、多数の地域で芽生え始めています。その取り組みのテーマも、介護や子育て、外国人の生活、地球温暖化など、地域の実情に即して多岐にわたっています。このような取り組みをさらに拡げるために、多様な地域の実践から学び、行動できる「地域円卓会議」を複数の地域でモデル開催します。
従来型の官主導のプロセスではなく、多様な担い手による合意形成の仕組みを通して、新たな関係により各々の担い手が社会的責任を果たすべく、新しい公共のあり方を共有・拡充していきます。その実現に向けて、政府をはじめ多くの地方自治体が積極的に参画されることを期待します。
○モデル地域と本円卓会議が連携し、多様な担い手の積極的な参加を促進。
○マルチステークホルダー・プロセスの意義の共有と啓発。
○地域の課題と実情に即した継続的な協働の実践を促進。
(2)協働のプロセスによる「消費者・市民教育モデル事業」の実施
安全・安心で持続可能な社会の実現には、製品・サービスの安全な利用法を理解し、社会や環境に配慮した責任ある消費行動と社会に働きかけができる人材が必要です。
そうした人材育成のための活動は、現在、学校教育以外にも、消費者団体、事業者(団体)、金融セクター、NPO・NGOなどによって行われています。しかし、これらの活動は、参加対象や目的が限定的で、相互のつながりや面的な広がりが必ずしも十分とは言えません。
それゆえ、実効ある取り組みとするためには、自ら参画して課題解決に取り組む責任ある人材を育むという共通の目的の下で、各担い手が、それぞれに持つ情報、問題認識、資源、経験を共有し、政府とともに、協働して取り組むことが求められます。
そこで、広範な担い手が一堂に会するモデル事業として、平成22年度中に、各担い手が行っている消費者・市民教育の事例や教材の紹介、出前授業や市民啓発活動など人材育成プログラムの実演、シンポジウムの開催や人材育成の相談などを実施することを提案します。そしてその検証を踏まえて、その後の継続的かつ全国的な取り組みにつなげていきたいと考えます。モデル事業の早期実現に向けて、関係省庁が連携し、積極的に関与することを期待します。
(以下省略)
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