その他 : 新公益法人制度2年、移行完了まだ3%
12月3日、内閣府は2008年12月からスタートした新公益法人制度の利用状況を公表した。公表されたのは、新制度施行後2年分の移行認定・移行認可・公益認定の申請・処分件数など。旧公益法人(特例民法法人)からの移行が、相変わらず進んでいないことが判明した。審査待ち件数も大幅に増加している。
内閣府公益認定等委員会は、公益法人information内に「新公益法人制度における全国申請状況(速報版)(平成20年12月~平成22年11月30日)」を公表した。
この申請状況は概ね1ヶ月ごとに公表されているもの。本資料から、旧公益法人(特例民法法人)からの移行が、相変わらずほとんど進んでいないことや、審査待ち件数も大幅に増加していることが判明した。
参考ニュース「新公益法人制度施行1年、移行進まず」(2009/12/11)
/2009/12/その他-新公益法人制度施行1年、移行進まず/
●特例民法法人の移行申請・認定/認可状況
本資料によると、平成20年(2008年)12月から平成22年(2009年)11月までの2年間で、旧公益法人から公益社団・財団法人(新公益法人)への移行認定の申請は1400件となっている。この1年間で、1082件の申請があったことになる。
1400件中、実際に可否の判断がなされた(処分)件数は525件、その内、2件のみ移行が認められなかった(不認定)が、他の523件では移行が認められている。この1年間では、459件の処分があった。
参考ニュース 「公益認定等委員会、全国初「不認定」を答申」 (2009/12/04)
/2009/12/その他-公益認定等委員会、全国初「不認定」を/
移行認定の申請数は順調に伸びているものの、移行認定待ち件数も増えており、875件へ大幅に増加している。
また、旧公益法人から一般社団・財団法人(一般法人)への移行認可の申請は2年間で426件と、移行認定の約3分の1の件数にとどまっている。
426件中、実際に可否の判断がなされた(処分)件数は141件。こちらは、141件の移行認可が全て認められている。
移行認可においても申請数の増加により、移行認可待ち件数は285件へ増加。
認定NPO法人制度における審査期間の長期化と同じような事態が、新公益法人制度でも発生している模様だ。
移行認定・移行認可の申請・処分状況(1年単位)は以下の通り。
2008年12月~2009年11月/2009年12月~2010年11月/【累計】
◆移行認定(旧公益法人→公益社団・財団法人)
移行認定申請:318件/1082件/【1400件】
移行認定処分:66件/459件/【525件】※内2件は不認定
移行認定待ち(11月末時点):252件/875件
◆移行認可(旧公益法人→一般社団・財団法人)
移行認可申請:86件/340件/【426件】
移行認可処分:16件/125件/【141件】
移行認可待ち(11月末時点):70件/285件
旧公益法人(特例民法法人)は新制度施行後5年以内に移行認定・認可の申請をしなければ、解散したとみなされるため、多くの法人は移行申請を行うものとみられる。
しかし、昨年の結果同様に、まだまだ多くの法人は新制度運用の様子見をしており、実際の申請は行っていないようだ。
移行に関して処分を行ったのは、全国で45都道府県・内閣府に増加したが、2年を経過しても3県(岩手県・山口県・宮崎県)で認定・認可が行われていない。岩手県と宮崎県においては、一般社団・財団法人からの公益認定を含めても1件も処分がない。
移行の申請は全都道府県・内閣府で最低1件が行われている。
●進まない申請・処分の現状
移行認定・認可に関しては、全国に約2万4千法人存在する旧公益法人(特例民法法人)の内、申請があったのは計1826件、割合にして7.6%に過ぎない。
処分件数ベースでは計666件、割合にして、たったの3%である。
単純に計算すれば、2万4000法人が、5年間の移行期間内で全て移行するには、平均して年間4800件の申請がなければいけない。現状はそれに遠く及ばない。
今後も申請が進まず、申請時期が後方にシフトしていくと、4年目・5年目に申請が集中し審査がパンクしかねない。更なる審査期間の長期化も懸念され、危機的状況が予想される。
公益法人協会が中心となって、認定・認可手続きの迅速化・簡素化を要望している。さらなる対策が必要不可欠であろう。
参考ニュース「公法協、新公益法人制度の運用改善を要望」(2009/12/21)
/2009/12/その他-公法協、新公益法人制度の運用改善を要/
●公益認定の申請・認定状況
一方、一般社団・財団法人から公益社団・財団法人になるための公益認定の申請は、平成20年(2008年)12月から平成22年(2009年)11月までの2年間で88件となっている。この1年間の申請は34件だった。
新制度スタート後1年間の申請は、54件だった。認定NPO法人制度はスタート後1年で申請件数が18件であったため、公益認定の申請件数はかなり好調と言えたが、2年目は申請件数がかなり落ち込んでいる。
参考ニュース 「支援税制初年度の申請は18件」 (2002/10/17)
/2002/10/行政-支援税制初年度の申請は18件/
公益認定申請の88件中、実際に可否の判断がなされた(処分)件数は64件、その内、1件のみ認定が認められなかった(不認定)が、他の63件の公益認定は全て認められている。公益認定は認定待ち件数は少ない。
公益認定の申請・処分状況(1年単位)は以下の通り。
2008年12月~2009年11月/2009年12月~2010年11月/【累計】
◆公益認定(一般社団・財団法人→公益社団・財団法人)
公益認定申請:54件/33件/【88件】
公益認定処分:16件/48件/【64件】※内1件は不認定
公益認定待ち(11月末時点):38件/24件
一般社団・財団法人新設数:5639件(2010年8月まで累計)
20010年8月までで、公益認定の対象となる一般社団・財団法人は5639法人が設立されている。
新設の一般社団・財団法人数に対する公益認定による公益社団・財団法人数の割合は、1%と認定NPO法人を大きく上回る。申請数で計算しても1.6%となり、0.4%の認定NPO法人を大きく上回る結果となっている。今後の動向に引き続き注目したい。
参考ニュース「一般社団・財団法人、設立堅調5千法人突破」(2010/11/15)
/2010/11/その他-一般社団・財団法人、設立堅調5千法人突/
シーズでは、今後も新公益法人制度の運用状況を報告していきたい。
今回の公表内容は、公益法人information内の下記ページにて確認できる。(URLは短縮サービスを利用)
http://bit.ly/fnooAw