その他 : 参院内閣委、全会一致でNPO法改正案可決!
6月14日、参議院内閣委員会では、超党派のNPO議員連盟が中心となって、議員立法による制定を目指す「特定非営利活動促進法の一部を改正する法律案」について、質疑・採決が行われ、全会一致で原案通り可決。また、6項目の付帯決議も併せて可決、明日15日の本会議で可決、成立する見込みとなった。
冒頭、荒井聰衆議院内閣委員長から改正案提案の趣旨、内容の説明が行われた。荒井委員長は、各地のNPO法人が「東日本大震災の被災地で活発に活動し、今後も活躍が期待されている」とした上で、NPO法人の約7割が財政上の問題を抱えているなどの現状を指摘。法律案はNPO法人の活動をより一層促進するための法整備を行うと述べた。
引き続き、牧山ひろえ参議院議員(民主党・新緑風会)、岡田広参議院議員(自由民主党党)、谷合正明参議院議員(公明党)の3氏が質疑を行った。概要は以下の通り。
●(1)認定の乱用防止対策
Q 認定NPO法人になれば寄付を集めやすくなる。「認定」という”お墨付き”の悪用を防ぐ制度設計になっているのか。
A 改正案では、透明性の高い情報開示の義務や所轄庁による監督権限も盛り込まれている。具体的には、監督権限としては公益法人と同様の規定を設けている。
また、附則には「施行3年後」の見直し規定もあるので、今後の状況を見ながら適切に見直す。
●(2)仮認定制度の経過措置
Q スタートアップ支援のための仮認定制度が、3年間の経過措置として、すべてのNPO法人が対象となっている(経過措置後は設立から5年以内が対象)。幅を広げすぎではないか。
A 今まで認定されたNPO法人は、約4万2000のうち、215しかない。これまでパイオニアとして頑張ってきたNPO法人にも3年間だけチャンスを与え、社会運動として大きなうねりにしたい。
●(3)会計基準
Q 現在は民間主導で策定した会計基準をベースに財務諸表が作成されている。今後、地方自治体が認定、監督を行うにあたって、国で統一的な会計基準を整備するのか、民間で策定した会計基準を追認するのか。
A 今年5月、内閣府に発足した研究会で民間がつくったNPO法人会計基準の成果を取り入れながら、新たな「会計の手引き」を本年秋頃までに策定したい。
●(4)寄付税制の優遇措置
Q 欧米のように「寄付文化」を広げるためには、今回の法改正を契機に、寄付が集まりやすい税制優遇措置をさらに検討するべきだ。
A 今国会で税制改正が成立すれば、所得税、住民税合わせて最大50%の税額控除が認められる。大幅な拡充だ。また、(認定NPO法人の)認定基準の大幅な緩和によって、3000円以上の寄付を100人以上集めれば税制上の優遇措置が受けられるようになる。寄付文化に大きな変化が起きるだろう。
●(5)地方財政措置
Q 認定事務が都道府県等に移管されるにあたって、適切な地方財政措置が必要だ。地方負担の総額はどのくらいか。
A 地方財政措置を要望していく。さまざまな支援のあり方を検討したい。地方負担の事務量はアンケート調査中で、現時点では全国で職員数113人程度と見込んでいる。
●(6)その他事業
Q NPO法人が行う、その他事業(バザーなど)が赤字を出している場合は、行政指導の対象になる場合があるが、過度ではないか。また、その他事業と本体事業の二つの会計の区分は、貸借対照表上まで区分する必要があるのか。NPO法人の側から見れば作業も繁雑だ。
A アメリカでいう「ノンプロフィット」は「配当を出さない」という意味。利益は出す。日本のNPO法人もその心意気でやってもらいたい。貸借対照表での区分については、法の規定ではない。分離しなくてもよい方法があるかどうか、内閣府の研究会での検討課題としたい。
質疑の後、採決が行われ、全会一致で改正案が可決された。
なお、改正案採決の後、大久保潔重参議院議員(民主党・新緑風会)から6項目の付帯決議案が提案され、全会一致で委員会決議とされた。
決議された附帯決議は以下の通り。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/current/f063_061401.pdf
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平成二十三年六月十四日
参議院内閣委員会
特定非営利活動促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。
一、国及び地方の関係機関は、本法の趣旨が適切に実現されるよう、緊密な連携協力を図ること。
二、本法の施行により、地方公共団体において新たな事務を担うこととなることに鑑み、当該事務の円滑な遂行に資するよう、所要の財政措置を講ずること。
三、新認定制度の施行に当たっては、本法の趣旨、国会における議論を踏まえ、特定非営利活動法人の自主性を十分尊重するとともに、可能な限り運用の具体的な指針を明らかにし、公正かつ透明な行政運営に努めること。
四、本法の施行により、我が国における寄附文化の健全な発展を促し、市民による特定非営利活動への参画が活発化するよう、法改正の趣旨が広く周知されるよう努めること。
五、本法の所管及びその施行について、責任ある推進体制となるよう十分な対応を講ずること。
六、附則第十九条の検討に当たっては、適切な検討が加えられるよう、新認定制度の施行状況の把握に努めるとともに、市民活動に携わる幅広い関係者間の連携協力を図ること。
右決議する。
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14日午後の参議院議院運営委員会理事会にて、明日15日の参議院本会議に上程される事が決定。NPO法改正案は、可決・成立する見込み。
※参考ニュース
「【速報】5・25緊急集会、NPO法改正案が公表」(2011/05/25)
/2011/05/525緊急集会npo法改正案が公表/
「NPO法改正案、各党の了承手続きが完了!」(2011/05/31)
/2011/05/npo法改正案各党の了承手続きが完了!/
「【速報】NPO法改正案、8日に国会提出へ」(2011/06/07)
/2011/06/npo法改正案8日に国会提出へ/
「衆院内閣委、全会一致でNPO法改正案可決」(2011/06/08)
/2011/06/衆院内閣委全会一致でnpo法改正案可決/
「NPO法改正案、全会一致で衆議院を通過!」(2011/06/09)
/2011/06/np法改正案全会一致で衆議院を通過!/