内閣府、「手引き」改訂へ研究会をスタート
内閣府は、5月24日、「特定非営利活動法人の会計の明確化に関する研究会」をスタートさせた。NPO法人(特定非営利活動法人)の会計について、明確化を図り、市民・NPO法人・所轄庁の三者にとって分かりやすい会計の在り方を検討するもの。専門家や所轄庁、NPO関係者ら11名がメンバー。シーズ副代表松原も参加している。
この研究会は、以下の3つを踏まえ、NPO法人の提出書類の書式例等を示している「手引き」の改訂を検討することを目的としている。
1.NPO法人が「新しい公共」の担い手として市民社会で重要な役割を果たしていること
2.2010年7月20日に、民間主導で行政とも協力してNPO法人会計基準が策定されたこと
3.本年4月8日に『新しい公共』推進会議で報告された『情報開示・発信基盤整備の在り方について』において、会計を含むNPO法人の閲覧情報の標準化について提言がなされたこと
研究会は、概ね月1~2回のペースで全9回開催され、10月に報告が取りまとめられる予定。議事の効果的な進行のため、外部有識者からのヒアリングの実施や、代理者の出席も座長判断で可能としている。これまですでに2回の研究会が開催されている。
議事内容・構成員は以下の通り。
《議事内容》
【第1回 2011.5.24開催】
・委員紹介、座長選任
・会議の運営について
・NPO法人制度の概要等について
・NPO法人の会計処理の現状について
・「NPO法人会計基準」の経緯
・概要について
【第2回 2011.6.7開催】
・運営要領について
・特定非営利活動法人の会計の現状等について
・今後の進め方について
《構成員》(五十音順、敬称略)
会田 一雄 慶應義塾大学総合政策学部教授
梶川 融 日本公認会計士協会常務理事、太陽ASG有限責任監査法人総括代表社員
金子 良太 國學院大學経済学部准教授
川村 義則 早稲田大学商学学術院教授
小長谷藤兵衛 日本税理士会連合会公益活動対策部委員、小長谷会計事務所所長
小林 新二 静岡市生活文化局市民生活部市民生活課参事兼統括主幹
瀧谷 和隆 特定非営利活動法人エーピーアイジャパン代表
特定非営利活動法人NPO会計税務専門家ネットワーク事務局長
中尾 さゆり 特定非営利活動法人ボランタリーネイバーズ相談事業部長
中村 元彦 中村公認会計士事務所所長
松原 明 特定非営利活動法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会副代表理事
渡邊 勝美 東京都生活文化局都民生活部事業調整担当課長
研究会の議事の進行は、座長(川村義則氏)が務め、議事は原則公開とされ、一般の傍聴も可能。また、研究会における配付資料・議事要旨・議事録も、以下の内閣府のホームページで公開されるなどオープンに議論される。
内閣府ホームページ「特定非営利活動法人の会計の明確化に関する研究会」
https://www.npo-homepage.go.jp/data/report28.html
NPO法人会計基準協議会事務局を務めるシーズ・市民活動を支える制度をつくる会プログラム・ディレクターの丁(てい)は、「NPO法人にとって情報公開は生命線。2009年3月31日以来、1年4ヶ月をかけ、のべ3058名もの方が議論をし、民間主導・市民参加型でつくり上げたNPO法人会計基準だが、いよいよ本格的な普及の段階に入る。国がその策定の趣旨・プロセスを理解・尊重した上で、このような新しいかたちで連携して『手引き』の改訂を検討する研究会をスタートさせたことを歓迎し、議論をしっかり見守りたい。」とコメントしている。
6月15日には、NPO法人会計基準を盛り込んだNPO法改正案が可決・成立し、2012年4月1日より施行されることとなった。この研究会での議論により、内閣府の「手引き」が「NPO法人会計基準」に沿ったものに改訂され、「様式例」などが所轄庁ホームページで掲載されることで、NPO法人会計基準の全国的な普及が一気に進むものと期待される。
参考ニュース「【速報】NPO法改正案、全会一致で成立!」(2011/06/15)
https://www.npoweb.jp/2011/06/速報npo法改正案全会一致で成立!/