NPOの寄付集めを革新!3k×100を活かしきる、ソーシャルメディアの活用術ーイケダハヤト氏インタビュー
“同情”から“応援”へ!新システム「3k×100」が寄付の意味を変える
—3k×100の成立によって、「寄付」の意味はどのように変わると思われますか。
これは、僕も関心があるテーマですね。寄付は、これから先、応援の意味がより一層強くなってくるのではないでしょうか。
今まで、上の世代だと、同情だったり、かわいそうだから寄付するという感覚だったと思います。それに対し、僕らの世代だと、寄付はその団体を応援したいからする、という意味合いになってきます。その意味で、3000円という価格は、非常に刺さりやすい。「3000円だしてくれる応援者を100人集めれば、認定NPOになれる」というのは、すごくキャッチーで分かりやすい。シーズさんはすばらしい制度を作りましたね。
さらに、SNSを駆使するイノベーターだったりアーリーアダプター層は、ほとんどが若い人たちですので、それらのネットユーザーと「3k×100」のシステムは非常に親和性が高く、馴染みやすい。「応援してくれる人を100人集める」という文脈の中で、いかに3k×100を戦略的に使って、オンラインの寄付を集めるかが、これからのNPOの課題だと思います。
ーすでに新しい文脈にのっかってうまく寄付を集めている例というのはありますか?
たとえば、READYFOR(クラウドファインディングサービス)で話題になっていた、税所君という早稲田の学生さんのプロジェクトがとても面白いんですが、「最貧国ドラゴン桜」と言って、バングラデシュでyoutubeを使った教育システムをつくろうというプロジェクトです。
https://readyfor.jp/projects/14
これは、募集をかけていた当時READYFORの中で1,2位を争うほどに注目されていて、もうすでに目標額の20万円の、2倍もの寄付が集まっています。こんなふうに、普通の学生が40万円集められる、寄付の新しい形は、本当に画期的ですよね。
日米でこんなに違う、オンラインチャリティーの実情
ーでは、どうすればオンラインでうまく寄付集めができるのでしょうか?
まず前提として、オンラインの寄付集めの現状は、アメリカと日本で全然違うんです。アメリカの現状を知るには、こちらのサイトのインフォグラフィックがとても参考になります。
http://www.seojapan.com/blog/online-charity-infographic
これは、オンラインチャリティの現状を一枚にまとめたものなのですが、これを見ると、アメリカだと、オンラインのファンドレイジングはもうかなり主流になってきていることがわかります。
また、慈善団体のWEBサイトが主流である中、NPO向けのポータル寄付サイトからの寄付が18%、ソーシャルグッドSNSからは14%あったりと、ソーシャルチャリティーのパイも拡大しつつある。それに対し、日本では、ソーシャル寄付はまだ1%前後でしょうね。
また、インターネットを使って寄付した人の平均年齢も象徴的ですね。アメリカでは、オンライン寄付の平均年齢は38歳ですが、日本ではもっと若くなるでしょうし、寄付額はもっと少なくなると思います。このように、アメリカは寄付のウェブサービス整備されつつある一方、日本はまだまだ未整備なんですね。
僕自身、PLASの時にオンライン寄付集めに挑戦したことがあります。
「JustGivingJapan」http://justgiving.jp/
を利用したのですが、現在のPLASの寄付額は34万。わりとソーシャルメディアマーケティングを頑張っているPLASがやって、この額ですので、こういう効率のいいツールを使ったとしても、日本の現状では、ゼロベースでオンライン寄付のみを使って「3k×100」を達成するのは、けっこう難しいかな、と。
オンラインは入り口。オフで応援者の心をつかもう
—やはり、オンラインのサービスが未整備な中では、知名度がない団体だとすぐには難しいという事なんでしょうか?
実は、その解決策はもう見えているんです。寄付を集める場合は、オンラインを入り口にし、一旦オフラインに人を集めてから寄付を呼びかけると、一気にコンバージョンが上がるんです。
例えば、PLASのマンスリーサポーターを増やしたい時に、チャリティーパーティーを開催し、集客はオンラインでやって、そのパーティーに来てくれた方々に、マンスリーサポーターになってくださいと呼びかけたら、一気に人数が増えたんです。もちろん、来てくれる人ってもともとロイヤリティが高い人達なので、そこで営業をかけると快く了承してくれる事が多くて、そういう人びとを集めるフックになるのがソーシャルメディアなんだ、と。
Facebookは、イベント集客にめちゃめちゃ効きますね。
ですから、オンラインでロイヤリティを高めて、応援してくださる人びと日々コミュニケーションを取り、オフへの文脈を創るという動線が、今の日本では一番効率が良いのではないでしょうか。
もちろんこれは今の話なので、一年後はまた違ってくるかもしれません。
ー池田さんご自身が、プロボノとして「3k×100」を活用するとしたらどうしますか?
やっぱりオフラインからですね!
例えば「認定NPO法人になりたいので3000円持ってきてください」と呼びかける。来てくれた人には、そのイベントで、3000円払うだけのコンテンツをきちんと提供して、バリューをちゃんと出す。寄付してくださった人たちにも、対価をきちんと支払う(あげる)意識を持ちながら、寄付をいただくために努力すれば、きっと簡単に認定NPOは作れますね。