新寄付税制でどう変わる?!企業の社会貢献のかたちーパナソニック金村俊治氏インタビュー
2.太陽光発電システムから運動会まで!普段のCSR活動が生きた、パナソニックの震災支援
―震災が起きた直後から、パナソニックは復興支援活動に取り組んできたとお聞きしましたが・・・。
震災が起きてすぐ、社内に緊急対策本部を設置し、他の企業よりかなり早く、義援金と支援物資の供給を手配しました。震災の2日後には、義援金3億円、ラジオ1万、懐中電灯5万、乾電池50万個を被災地に送ることを決めました。追加で、グループ会社の三洋電機が作っている「ソーラーランタン」を4000個、また、「ライフイノベーションコンテナ」を南三陸に設置しました。これは、コンテナの屋根のところに太陽光パネルが設置してあり、太陽光を充電して貯めておけるというものです。これは本来、アフリカの途上国支援のために開発したもので、無電化地域に向け、まさに出荷しようとしていたところだったのですが、大地震が起きたので、すぐさま東北地域へと送り先を変更しました。現在も、南三陸の災害対策本部に使っていただいています。
また、労働組合や海外会社の社員たちも自主的に寄付を行い、トータルで4億円を寄付しました。また、過酷な環境下で使用するために作られた、耐久性に優れたタフブックというパソコンがあるのですが、神戸のパソコン工場が独自の判断で、NGOやNPOなど、現地ですでに活動している被災地支援団体に900台提供しました。
―もともと自社で積極的に社会貢献活動を行っていたからこその、動きの速さだったわけですね。
それ以外にも、弊社がもともと行なってきた社会貢献プログラムも活用できるだろうということで、「出前授業」のプログラムや、学校での支援活動、野外活動など、こどもたち向けの活動を、東北の学校に提供するなどしました。また、数社合同でやっている「運動会サポートキャラバン」というのがあります。
―運動会?!
東北地方には、被災して、運動会どころじゃないという学校も多数あります。そこに、運動会セットをトラックに乗せて運んでゆき、社員ボランティアと地域の人が一緒になって、運動会を開催したのです。
今後は、子どもたちを対象に、野球教室やバレー教室などを社員ボランティアが地域の皆さんと共に開催することを検討しています。
また、被災地にて支援活動を行う、社員ボランティアのプログラムを企画したのですが、社内で募集をかけたらあっという間に人数の枠がいっぱいになり、追加しないと希望者の数に追いつかないほどです。このように、社員が自主的に被災地支援に参加しています。
―社会貢献が、もともとパナソニックの企業文化になっているんですね!
パナソニックの経営理念は、「社会の公器」として社会に貢献すること。その事を、社員全員がみな心に留め、実践している。社会的存在として、自発的に社員一人ひとりが動く企業であろうとしています。私は、企業もNPOもそんなに変わらないと思っています。どちらも、ミッションがあり、それを実践している。CSRが流行る前から、社会貢献は当然のこととしてやっているので、いまさらの事ではない、という感じですね。緊急事態の時だけでなく、普段からそれを実行しているかどうかで、企業の経営理念がはたしてお題目なのか実を伴ったものなのか、その企業の真価が判断されると思っています。