新寄付税制でどう変わる?!企業の社会貢献のかたちーパナソニック金村俊治氏インタビュー
3. NPOの組織づくりを根本から応援する、キャパシティビルディング支援活動
―パナソニックが力を入れている「キャパシティビルディング支援活動」とはどんなものなのでしょうか?
弊社のNPOサポートファンドが行っているキャパシティビルディングというのは、「組織基盤強化」を応援するプログラムです。
市民活動・NPOが持続的に発展していくには、組織運営の基盤をしっかり据えることが重要なのではないかと考え、2001年に発足しました。
具体的には、NPOの抱える経営課題ーお金が無い、人がいない、などを解決するために、組織を診断し、問題点をあぶり出し課題を深堀りした上で、その解決策を考え出し、実行することをサポートします。
従来のNPOの助成プログラムだと、事業自体を応援するプログラムがほとんどですが、人件費がつかないのと、単年度で終わってしまう事が多く、毎年獲
得に苦労しているNPOが多いと聞きます。そんな不安定な状態を打破し、NPOの
持続的な発展を支援できるプログラムとは何か?を考えて作りました。
―大企業のCSR活動において、NPOのキャパシティビルディングに重きを置いているのは、結構珍しいことではないですか?
そうですね、ここまでとんがっているのは弊社だけではないかと思います(笑)。とんがり過ぎたのではないかと少し心配です。
そもそも、NPOに限らず企業や行政も同様ですが、自分たちが抱えている課題を突き詰めて考えていないことが多いんです。どんな人びとを活動のターゲットにするのか、とか、なんのためにお金をどこからいくら集めるのか、とか。
私たちは、抜本的なことにまでさかのぼって課題を深堀りすることをすすめています。ミッション、ビジョンを見直すことになることもあります。
実際に、今までに助成した98%の団体が、組織運営上の課題が解決したと答え、70%が事業が改善、成果が出たと答えています。
今年度からは、NPOがより戦略的に社会課題を解決できるようになる事を目指し、自己変革と持続性を伴いながら成長できるよう、組織診断助成、キャパシティビルディングの2段階のプログラムになりました。(2011年度は8月1日まで、参加団体を募集中 応募はこちら)こういうことを必要だと思ってくれている団体がどこまであるのか、重要さが伝わっているかどうかが不安ですが、できるだけ多くの団体に広まればいいですね。
―なぜパナソニックは、そのように本質的な、NPOやNGOにとって本当に必要な支援活動ができるのでしょうか?
やはり、経営理念や企業文化があるのではないでしょうか。目先の事で終わらせるのではなく、見えにくいところ、つまり活動の基礎的な土台作り、人づくりが大事だと、社員がみな思っているので。お金を渡すだけの支援活動と違って、成果も見えにくいし、時間もかかるけれど、それでもやる、それは、パナソニックの企業文化ですね。
―これから、どのようなNPO支援活動を行っていきたいですか?
まずは、まだまだキャパシティビルディングの重要性というのが知られていないので、それを伝えてゆきたいと思います。おつきあいできる団体は限られてきますが、ノウハウは参考になると思いますので、積極的に紹介し、もっと多くのNPOに普及させてゆきたいです。
もちろん、最終的には、弊社のプログラムで応援した団体の活動が、プログラムの成果として大きく発展し、社会課題の解決につながらないと、やってる意味がない。ですので応援した団体には、業界の中でもキーとなるような活躍をしてほしい。弊社のプログラムを通じ、より多くのNPO・NGOが、たくさんの成果を社会にもたらして欲しいですね。
―ありがとうございました。