寄付金控除年末調整化は検討事項に
12月10日未明、政府は「平成24年度税制改正大綱」を閣議決定し公表した。認定NPO法人制度や寄付税制関連には大きな改正項目はなく、「寄付金控除の年末調整対象化」や「寄付金税額控除対象公益社団・財団法人等に対するPST要件」は検討事項として盛り込まれている。
政府の「税制改正大綱」は、政府として翌年度の税制改正法案の内容を決定するもの。内閣府に設置されている「政府税制調査会」が毎年12月中にまとめている。今年度は、ねじれ国会や東日本大震災の影響をはじめ、今後、税と社会保障の抜本改革のなかで、大がかりな税制改正が予定されていることもあり、全体的に小幅の改正となった。
平成24年度税制改正大綱のNPO関連内容
NPOや寄付関連については、昨年の平成23年度税制改正にて大幅な改正が行われたこともあり、今回の税制改正大綱では改正項目はほとんどない。
しかし、シーズやNPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会をはじめ、公益法人や学校法人からの要望も多かった「寄付金控除の年末調整対象化」等については、今後の検討事項として明記された。
併せて、公益法人や学校法人から要望があった、寄付金税額控除が適用される公益社団・財団法人や学校法人等に課せられているパブリック・サポート・テスト(PST)要件の撤廃についても今後の検討事項とされた。
シーズは引き続き、寄付金控除の年末調整での適用実現にむけての活動を行なっていく。
なお、今回の大綱にも盛り込まれている「東日本大震災復興支援税制」については、後日詳細に報告する。
■平成24年度税制改正大綱
【第2章 平成24年度における主な取組み】
8.市民公益税制
平成23年度税制改正においては、「新しい公共」によって支え合う社会の実現に向けて、特定非営利活動法人(以下「NPO法人」といいます。)をはじめとする、市民が参画する様々な「新しい公共」の担い手を支える環境を税制面から支援するため、税額控除の導入など画期的な改正を行いました。
今後は、制度の周知徹底に努め、寄附者や寄附を受ける法人において円滑に制度が定着していく取組みを進めていく必要があります。
また、これまでの累次にわたる制度拡充の効果検証を行った上で、寄附税制について、寄附文化醸成にも資するよう、必要に応じて見直しを検討していきます。
平成23年度税制改正では、「新しい公共」の担い手となる法人への草の根の寄附を促進するため、認定NPO法人や一定の要件を満たす公益社団法人、公益財団法人、学校法人、社会福祉法人及び更生保護法人に対する寄附金について、所得税において新たに税額控除を導入しました。
税額控除の対象となる法人について、「新しい公共」を推進する観点から、どのような法人が対象に馴染むのか、他の寄附税制との整合性を踏まえ、税額控除の導入の効果検証を行った上で、対象法人の見直しを検討します。
また、認定NPO法人以外の法人への寄附に係る税額控除については、草の根の寄附を必要とする「新しい公共」の担い手として、市民との関わり合いが強く、かつ、運営の透明性が確保されている法人を対象としていますが、どの程度の数の法人が税額控除の対象となっているかの実績や、要件を満たすことができない法人の状況等を検証し、各法人の規模や特性を踏まえた要件等の見直しについて検討を行います。
なお、寄附金控除の年末調整対象化について、源泉徴収義務者の負担や不正行為防止の必要性を踏まえ、引き続き実務的・技術的な観点から実施可能であるかどうかの検討を行います。検討に当たっては、源泉徴収義務者等の意見を十分に踏まえる必要があります。
【第3章 平成24年度税制改正】
7.検討事項
〔国税〕
(1)寄附金控除の年末調整対象化について、源泉徴収義務者の負担や不正行為防止の必要性を踏まえ、引き続き実務的・技術的な観点から実施可能であるかどうかの検討を行います。
なお、検討に当たっては、源泉徴収義務者等の意見を十分に踏まえる必要があります。
●参考ニュース
シーズ、民主党内閣部門ヒアリングで要望(2011/09/27)