NPO法人の法人税率、やや軽減へ
11月30日、参議院本会議にて、積み残しとなっていた平成23年度税制改正法案が可決・成立した。また、同日には東日本大震災の復興財源をまかなうための「復興増税法案」も可決・成立した。これに伴い、来年平成24年4月1日からNPO法人が行う収益事業に課税されている法人税率がやや軽減されることとなった。
ねじれ国会の影響で、平成23年度税制改正法案は与野党間で合意できる項目を分離させて成立させる形となっている。寄付金税額控除の導入などを含む新寄付税制関連や雇用促進税制等は、6月の段階で本体の税制改正法案から分離が行われ、成立。
本体に残された法人税の5%引き下げ等の改正内容は、「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」と「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための地方税法等の一部を改正する法律案」として再提出され、与野党間で修正協議が行われていた。10月28日に法案修正が行われ、30日の参議院本会議で成立した。
また、同日には、東日本大震災の復興財源をまかなうための所得税・個人住民税・法人税を時限的に増税する「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法案」と「東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源確保に係る地方税臨時特例法案」(復興増税法案)も成立した。
両法案の成立により、NPO法人の収益事業に課税されている法人税率は、本則税率及び特例軽減税率が引き下げられた後、特例税率の適用も3年間延長される。その上で、復興特別法人税として、3年間に限り一律引き上げされる。最終的には、現状の税率よりも、2%前後軽減されることとなった。新しい税率が適用となるのは、2012年(平成24年)4月1日以後始まる事業年度からとなる。
【改正前(平成23年度)の税率】
●年800万円超:★本則30%★
●年800万円まで:(本則22%)⇒★平成23年度末までの特例18%★
【改正後(平成24年度)の税率】
●年800万円超:(本則25.5%)⇒
復興増税×10%が付加(平成26年度まで)⇒★28.05%★
●年800万円まで:(本則19%)⇒(平成26年度末までの特例15%)⇒
復興増税×10%が付加(平成26年度まで)⇒★16.5%★
参考:平成23年度税制改正大綱 法人関連税制
◆NPO法人の法人税率を引き下げ
NPO法人が行う収益事業に対する法人税率は、中小企業など中小法人の法人税率と連動している。中小法人の法人税率(本則)が30%から25.5%へ引き下げられる。年800万円以下の所得に適用されている軽減税率は本則が22%から19%へ引き下げられる。今年度末までの特例による税率18%は、これを15%へ引き下げた上で、さらに3年間延長される。
◆法人の寄付金損金算入枠について一般枠が縮小・特別枠が拡大
法人の一般寄付金損金算入枠が半減される。一方で、認定NPO法人や公益社団・財団法人などに対する寄附金の特別枠は、拡充される。