H22年度、企業の寄付金約7000億円
3月21日、国税庁は平成22年度分「会社標本調査~税務統計から見た法人企業の実態~」の結果を公表した。それによると、株式会社など企業の寄附金総額の推計は6,957億円で、前年度比27,3%増。その内、認定NPO法人や特定公益増進法人への寄附金は807億円で、2,1%減だったものの、指定寄附金は2,459億円で、42,5%の大幅増となり、寄附金総額は昨年度の5,467億円を大幅に更新し、過去最大となったと思われる。
「会社標本調査」は国税庁が昭和26年(1951年)度分から始まり、以後毎年実施している標本調査。
日本の法人企業について、「資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて租税収入の見積り、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料とすること」を目的にしている。今回が第61回目。
休業及び清算中の法人や一部の一般社団・財団法人を除く、「内国普通法人(株式会社(旧有限会社を含む)・合名会社・合資会社・合同会社・企業組合・相互会社・医療法人など)」が対象。公益法人や特定非営利活動法人、協同組合、任意団体等は含まれない。
一定の抽出率で調査対象を抽出し、集計。その結果から、全体を推計する形式。集計数値は法人税の確定申告書等に基づいている。平成22年度の標本法人数は、約115万社(1,156,652社)だった。前回の調査から、国税電子申告・納税システム(e-Tax)の電子データ利用を開始したため、標本数が大幅に増加している。
今回の調査対象となる事業年度は、平成22年4月1日から平成23年3月31日までの間に終了した事業年度となる。
会社標本調査には、「寄附金」についての項目があり、企業(内国普通法人)の寄附金総額や業種別内訳、営業収入あたりの寄付金額などを把握することが可能。
今回発表された平成22年度分結果によると、日本の企業の年間寄付総額は推計で6,957億円で、前年度の5,467億円に比べ、27,3%の大幅増となった。
その内、指定寄付金(国・地方公共団体や共同募金会などへの寄附金)が2,459億円で、前回に続き、42,5%の大幅増となった。これは2011年3月11日に発生した東日本大震災への義援金や活動支援金によるものと考えられる。一方、特定公益増進法人や認定NPO法人への寄付金は807億円で、2,1%の減少となった。
また、寄付金全体の内、損金算入された金額は4,235億円(61%)、損金不算入金額は2,722億円(39%)となっている。
寄附金支出額はかなり変動があり、一定した傾向は見られないが、ここ2~3年は増加傾向。
業種別で見ると、「運輸通信公益事業」が1,098億円と突出している。
【平成10年度分からの寄附金支出額/前年度比増減】
平成10年分:4,938億円/-14.0%
11 :4,830億円/- 2.2%
12 :4,701億円/- 2.7%
3 :4,785億円/1.8%
14 :5,092億円/6.4%
15 :5,377億円/5.6%
16 :4,532億円/-15.7%
17 :5,032億円/11.0%
18 :4,756億円/-5.5%
平成18年度分:4,507億円
19 :4,785億円/6.2%
20 :4,940億円/3.2%
21 :5,467億円/10.7%
22 :6,957億円/27.3%
※平成18年度が重複しているのは調査対象事業年度の変更に伴うもの
寄付関連以外の注目される結果では、欠損法人(いわゆる赤字法人)が全体の7割超(72.8%)となり、3年連続で7割を超えている。また、法人数が初めて減少(前年度比1.2%減)したことも挙げられる。
平成22年度分「会社標本調査」の詳細は、国税庁サイト内、下記ページを参照。
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/kaishahyohon2010/kaisya.htm
●参考ニュース「H21年度、企業の寄附金ここ10年で最大」(2011/05/13)
/2012/04/h22年度、企業の寄付金約7000億円/
●参考ニュース「H20年度、企業の寄附金支出額は約5千億円」(2010/03/19)
/2010/03/その他-h20年度、企業の寄附金支出額は約5千億円/