休眠預金(口座)の活用に関心高まる
2012年前半、休眠預金(口座)を被災地復興やNPO支援に活用する動きが本格化した。休眠預金・休眠口座とは、長期間に渡って預け入れや引き出しなどの取引がなく、預金者と連絡がつかない預金や口座を指す。イギリスの「大きな社会(Big Society)政策」での活用を代表例に、韓国やアイルランドなど諸外国においては、休眠預金(口座)の資金を起業家支援の融資などに活用する事例がある。
こうした海外事例を参考にして、以前から休眠預金(口座)の社会的な活用については、新党日本の田中康夫衆議院議員が国会質問で取り上げたのを皮切りに、政府の新しい公共推進会議では坪郷氏や駒崎氏により、「休眠預金活用による市民公益支援制度」や「休眠口座基金」が提案されるなど、関心が徐々に高まっていた。
今回、急速に注目を集めたのは、政府の国家戦略室が、2月15日に初開催した「成長ファイナンス推進会議」にて、休眠預金(口座)の活用が検討課題とされたことが大きい。マスコミ等での報道も相次ぎ、休眠口座に関する問合せも増加した。こうした動きの中、民間側では、4月に「休眠口座国民会議」が発足し、シンポジウムも開催された。
5月8日には「成長ファイナンス推進会議中間報告」がまとめられ、公表された。中間報告では、休眠預金活用の基本的な方向性として以下の3点が確認されている「・預金者からの支払要求には応じる仕組みにする/・過去の休眠預金に遡って活用の対象とはしない/・しかるべき法的措置を講じる」今後、どのような形で制度構築がなされているのか、動向に注目したい。