寄付税制拡充や新制度運用改善を要望中
8月9日、民主党政策調査会の内閣部門会議は、平成25年度予算及び税制改正に関する団体要望ヒアリングを開催した。シーズは、改正NPO法の普及等に関する予算充実と寄付税制の拡充等、新認定NPO法人制度の運用改善に関する要望書を提出した。
さらに、8月10日には、「新しい公共」を担当する中川正春内閣府特命担当大臣にも面会し、同様の平成25年度予算と税制改正、新認定NPO法人制度の運用改善を要望した。
民主党政策調査会の内閣部門会議ヒアリングは、来年度の予算・税制改正の内容を決めるのに際して、内閣府が担当する各種団体を集めて直接意見を聞くもの。ヒアリングには、国会議員と秘書、省庁関係者ら40名ほどが参加。シーズからは常務理事関口宏聡とチーフ・プロデューサー松原明、プログラム・アシスタント大庭勇が出席した。他団体では、沖縄県、公益法人協会、信託協会が呼ばれた。
シーズは、国民的な寄付の広がりから「寄付元年」とも言える2011年の寄付の盛り上がりを定着させるためにも、「寄附金控除の下限額撤廃」など、より一層の寄付税制拡充を要望した。また、東日本大震災を受け新設された認定NPO法人向け指定寄附金制度の拡充・延長や今後の大災害に備えた恒久化なども要望した。
【平成25年度税制改正要望 主要項目】
● 大規模災害時における寄付税制拡充の制度化
1.東日本大震災で新設された、救援・復興活動を行う認定NPO法人等向け指定寄附金の仕組みを、今後の大規模災害発生時にも迅速に発動するよう法人税法を改正すること
2.東日本大震災で新設された認定NPO法人等向け指定寄附金制度について、自治体からの条例個別指定(4号指定)で対象とする適用拡充を行い、適用期限も5年延長すること
● 寄附税制の拡充等
3.寄附金控除において年末調整での適用を認め、適用下限額(現行:2千円)を撤廃するなど個人向け寄付税制をより一層拡充すること
4.法人寄附金の損金算入限度額を所得の10%までに引き上げ、現物寄付は全額損金算入可能にするなど法人向け寄付税制をより一層拡充すること
● 認定NPO法人制度の改善
5.改正NPO法に基づく、新しい認定NPO法人制度において、仮認定申請の経過措置を3年間延長する他、運用の改善を行うこと
税制改正とともに、新制度の周知・活用が遅れている改正NPO法の円滑な施行に向けて、来年度の平成25年度予算で改正NPO法普及予算や被災地のNPO支援予算を確保することも要望した。
さらに、改正NPO法に基づく、新認定NPO法人制度の運用に関して、所轄庁が国税庁より厳しい運用を行うなどの問題が続出。期待されていた新制度の滑り出しが非常に低調であるため、早急な運用改善も強く要望した。
【新認定NPO法人制度等の運用改善要望】
改正NPO 法の円滑な施行に向けて、新しい認定NPO 法人制度等に関する緊急の運用改善を行うこと
●(基準6)事業報告書等の提出については、少なくとも今回の改正の経過期間(3年)は柔軟な運用を行い、やむを得ない一定の遅れは要件に抵触しないことを明確化する
●(基準7)法令違反については、「行政庁から法令に基づく改善命令等を受けた事実がある」「登記法令に基づく過料が科せられた事実がある」等、明確に定義付けを行う
●「資産の総額」の登記は、公益社団・財団法人や一般社団・財団法人では登記事項から削除されているため、組合等登記令を改正しNPO法人でも登記事項から削除する
●改正NPO法施行後6ヶ月以内(9月末まで)に行うことが義務付けられている「理事の代表権喪失の登記」手続きについて、期限を3ヶ月間延長する
各要望書の詳細な内容は、以下のPDFファイルを参照。
20120809民主党内閣部会税制改正ヒアリングレジュメ(資料1)
20120809平成25年度NPO法人税制改正要望書(資料2)