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制度ニュース

2013年10月15日 16:08

シーズ、H26年度税制改正要望を提出

2013年10月11日、NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会(代表 松原明)は、NPO法人制度の平成26年度税制改正に関する要望書を自由民主党および公明党に提出した。この他のすべての各党にも順次提出していくこととしている。

2011年の認定要件緩和や税額控除制度の導入による大幅な改正により、制度活用が広がっており、制度施行から1年で、約250法人の認定NPO法人・仮認定NPO法人が誕生。旧国税庁認定法人の260法人と合わせると500法人を超え、ようやくNPO法人全体の1%を超えるようになっている。

しかし、NPO先進国である米国と比べれば、まだ、NPO法人の経済規模、雇用の面など十分な制度となっているとは言えない現状である。

要望書では、消費税の扱い、2000円の足切りの撤廃、損金算入限度額の拡大、本来事業非課税、年末調整の適用などを要望している。

要望書の内容(全文)は以下のとおり。
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NPO法人制度の平成26年度税制改正に関する要望書

2013年10月10日
特定非営利活動法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会

国会議員の皆様には、NPOへの理解をいただき、その発展のためにご尽力いただいていること、深く感謝申し上げます。

 2001年10月1日から、認定特定非営利活動法人制度(認定NPO法人制度)がスタートして、既に約12年が経過しました。この制度は、市民や企業が、NPO法人にいっそう寄附しやすくするよう税制上の支援を行うもので、日本社会において重要性を増すNPO活動を発展させていくために極めて重要な制度であると、期待しているところです。

この制度は、皆様のご尽力のお蔭で、2011年に認定要件の緩和や税額控除制度の導入などの大改正がされ、NPO法人の中でも、実際の活用が広がってきたところです。
 認定NPO法人・仮認定NPO法人の数は、制度施行後1年半にして約250法人と、旧国税庁認定法人の260法人と合わせて500法人を超え、ようやく4万8千のNPO法人の1%を超えるにいたりました。
 しかし、まだまだ、NPO先進国である米国と比べると、十分な制度とは言えない現状です。
 NPO法人は、経済規模も単純推計で1兆1千億円の年間事業規模があり、推計28万人の雇用を生み出しています。
 欧米では、NPOセクターは、トップクラスの成長セクターであり、雇用拡大の担い手となっています。

 日本経済と社会が一層、成長し、雇用の拡大をしていくために、また、国民が官に依存せず、お互いに助け合い・支え合いながら、社会参画を実現していくためにも、日本の寄附文化やNPOの成長基盤を飛躍的に発展させる必要があります。

 是非とも、添付の税制改正要望の実現をお願いいたします。

【要望事項】

1.特定収入に係る消費税制上の所要の措置
【消費税】特定非営利活動法人の課税仕入れに係る税額の計算上、不課税仕入れ額に相当する特定収入を調整計算の対象に含めないなどとすること。

※平成26年度の内閣府税制改正要望事項となっています。

【理由】
○ 現行、消費税の納付税額は、課税売上げに係る消費税額から課税仕入れに係る消費税額(仕入控除税額)を控除して計算することとなっていますが、特定収入(寄附金収入等の対価性のない収入)は総収入に占めるその割合に応じて、一部が課税仕入れに充てられるものとみなされて、そのみなされた課税仕入れに係る税額について仕入控除税額から控除される仕組みとなっています。
○ このため、助成金支出などの不課税仕入れに充てられる特定収入であっても、特定収入が増えるほど仕入控除税額からの控除額が多くなり、多額の消費税を負担することとなるという不合理な結果が生まれています。
○ 現行制度からは、影響金額が小さいと想定されてきたことを踏まえ、課税計算の便宜上、本来負担する必要のない消費税を公益法人等に負担させているものと考えられます。
○ しかし、寄附・助成活動の活発化をはじめとした不課税取引の増加、及び税率の上昇を見込むと、当該不合理は、可能な限り排除されるべきです。
○ このため、不課税仕入れに充てる特定収入については、課税仕入れに充てられるものとみなさないとすることなどにより、特定収入に係る不合理な取扱いを是正する必要があります。
○ なお、平成 25 年度税制改正において「公益社団・財団法人が受ける寄附金のうち、当該寄附金の募集要綱等(行政庁の確認を受けたものに限る。)においてその全額の使途が課税仕入れ等以外に限定されているものについては、消費税の特定収入から除外する」改正が行われています(消費税法施行令改正)。
○ 特定非営利活動法人について、当該規定と同様の整備をぜひお願いします。
○ なお、消費税の10%増税時には、特定非営利活動に係る消費税の非課税措置等、さらに抜本的な見直しをお願いいたします。

2.寄附金の適用下限額の撤廃
【所得税・個人住民税】寄附金控除の適用下限額(現行:2千円)を撤廃する

【理由】
○ 2011年の税制改正で、少額寄付者にとってメリットがある税額控除制度が導入されました。
○ しかし、2千円以下の少額寄附を対象外とする適用下限額(足切り金額、現行:2千円)制度があり、寄附者には分かりにくい制度となっています。少額寄附者のすそ野を広げていくためには、この適用下限額を撤廃するべきです。
○ 撤廃が難しい場合は、寄附金額が2千円を超えた場合は、寄附金の全額を控除対象とできる(マイナス2千円をしない)とするような措置とするようお願いいたします。

3.法人税の損金算入限度額の拡充
【法人税】法人寄附金の損金算入限度額を所得の10%までに引き上げ、現物寄附は全額損金算入可能にするなど法人向け寄附税制をより一層拡充すること
 
【理由】
○ 最近では「寄附付き商品・サービス(商品価格の数%をNPOなどに寄附するもの)」や企業によるNPOへの助成・寄附も盛んになってきています。しかし、企業等からNPOに対する寄附税制は、特に中小企業の場合、損金算入限度額に問題があります。例えば、資本金1000万円の中小企業が、年間100万円の利益全額を認定NPO法人に寄附したとしても、5万円しか損金算入できません。その結果、決算が損益0となっても25万円近い税金(税率25%と仮定)を納付しなければなりません。
○ また、現在の税法では、自社製品などの現物寄附に課題があり、認定NPO法人に寄附をした場合でも、損金算入限度額の枠内でしか損金として扱えません。一方で、棚卸資産を廃棄した場合は、全額が損金算入できるなど、寄附するより廃棄した方が得であるという矛盾があります。
○ 民間が民間を支える仕組みをより促進し、日本の寄附文化を大きく発展させるためにも、上記項目をお願いいたします。

【参考】現行と要望実現後の寄附金特別損金算入枠の比較
【現行】現状の特別損金算入枠 【要望】特別損金算入枠の拡充
算式 (資本金等の額×0.375%+所得金額×6.25%)×1/2 資本金等の額×0.375%+所得金額×10%
上限額実例※ 5万円 13万7500円
※資本金1000万円、所得100万円の中小企業の場合

4.認定NPO法人の本来事業非課税
【法人税】認定NPO法人の行う特定非営利活動事業は、法人税法上の収益事業に含めないようにして、認定NPO法人の自立的活動を支援すること。
 
【理由】
○ 民間による自立的な特定非営利活動を支えていくためには、寄附税制の拡充とともに、目的事業に関する非課税措置が欠かせません。
○ 現在の法人税法では、認定NPO法人の「特定非営利活動に係る事業」においても、収益事業34業種に該当する場合は、法人税が課税となっています。
○ 米国では、認定を受けたNPOに関しては、公益目的事業は非課税となっており、NPOのソーシャル・ビジネスの発展を促し、NPOセクターの経済成長の原動力となっています。雇用の拡大にも大きく貢献しているところです。日本でも、今後、ソーシャル・ビジネスを発展させていくためには、特定非営利活動に係る事業を非課税として、その成長を後押ししていくべきです。
○ 日本においても、新公益法人においては、公益目的事業は、法人税法上の収益事業に含めないとする非課税措置がすでに採られています。
○ ただし、「特定非営利活動に係る事業」を非課税にする場合、公益法人のような「収支相償」の原則(儲けを出してはいけないとする原則)などの規制は、認定NPO法人の成長を阻害するので、採用すべきではないと考えます。
○ 特定非営利活動に係る事業のうち、1.対価を得る特定非営利事業において、利益が出た場合に、2.不特定多数を対象とし、対価を得ない事業に対して、法人税と同等の金額の支出を定款で定めている等の場合(5年間の繰越控除を認める)において、収益事業を非課税とするなどして、認定NPO法人の成長を阻害しない方法で、営利法人とのイコールフッティングを図るべきです。

5.年末調整による寄附金控除を可能に
【所得税】給与所得者が年末調整で寄附金控除を行えるようにすること

【理由】
○ 現在は寄附金控除を受けるためには、給与所得者(サラリーマン)であっても確定申告することが求められます。一般の給与所得者が確定申告を行うことは敷居が高くなっています。税額控除導入による、寄附のすそ野の拡がりを最大化するためには、同時に利便性の向上も不可欠です。
○ 確定申告をしない給与所得者が寄付税制を活用して、いっそう寄附ができるようにするために、年末調整で、寄附金控除ができるようにお願いいたします。

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