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制度ニュース

2014年05月27日 15:37

川田議員、参院で認定NPOのみなし寄付堅持を訴える

5月15日、参議院財政金融委員会で、結いの党の川田龍平参議院議員が、政府税制調査会において公益法人等への課税の見直しについて議論されていることについて質問し、特に、認定NPO法人等への寄付金税制やみなし寄付金の見直し議論がされていることについて、見直し対象に含めるべきでないとした。

これは、今年4月の政府税制調査会法人課税DG(ディスカッショングループ)での議論において、租税特別措置をゼロベースで見直すとしたことを受けたもの。認定NPO法人の寄付金税制だけを見直すことはほかの公益法人との公平性を欠くこと、みなし寄付金や損金算入の特例は平成24年に拡充されたばかりで実績を判断するには時期尚早であること、そして、公益法人等の税制の拙速な見直しは公益法人等の活動に大きな影響があるもので法人実効税率引き下げとは切り分けた議論が必要であること、を訴えた。


財務金融委員会で質問する川田龍平議員

財政金融委員会でのやりとりは以下の通り。

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○川田龍平君 結いの党の川田龍平です。今日は、日本維新の会・結いの党の会派を代表して質問をさせていただきます。
公益法人の課税への見直しについてまず伺います。背景説明はこちらで行いますので、簡潔な答弁をお願いいたします。
政府税制調査会の法人課税ディスカッショングループでは、公益法人等の課税の見直しについて議論が行われています。法人実効税率の引下げが最大の焦点となる中で、公益法人等に係る法人税制を見直す目的は何でしょうか。今回の見直し議論は税制上のイコールフッティングを図ることが目的なのでしょうか。あるいは、法人実効税率を引き下げるための代替財源を捻出するための見直しにすぎないのでしょうか。

○副大臣(古川禎久君) 政府税制調査会におきましては、法人課税の構造改革を行うとの観点から、御指摘の公益法人等に係る税制も含む現行税制の課題を幅広く御議論をいただいているところでございます。
その中で、公益法人等に係る税制につきましては、介護分野など営利企業と公益法人等が競合している分野において、経営形態間の課税の扱いに関しイコールフッティングを図るべきではないかとの意見があったものと承知いたしております。

○川田龍平君 公益法人等といっても、この現在議論となっている社会福祉法人のほかにも宗教法人、学校法人、NPO法人なども含まれるなど、範囲は大変広いものです。企業とのイコールフッティングといっても、公益法人等の社会において果たす役割から、全て企業と同じ条件にしてしまうのがいいとは言えないのではないでしょうか。拙速な見直しは公益法人等の活動に影響を与えるものであり、法人実効税率の引下げとは切り離して、法人類型や政策目的等を吟味して時間を掛けた慎重な議論が必要と考えますが、この公益法人等の課税の見直しを、いつ、どういうプロセスで行うつもりなのでしょうか。

○副大臣(古川禎久君) 先ほどもお答え申しましたとおり、公益法人等に係る課税を含む法人課税の在り方につきましては、現在、政府税制調査会におきまして議論を行っていただいている最中でございます。したがいまして、現時点におきまして具体的なプロセスについてお示しすることはできないということを御理解いただきたいと思います。

○川田龍平君 法人課税ディスカッショングループでは、公益法人等、協同組合等に係る法人税制の見直しの視点や公益法人等に対する課税の考え方と題した議論のたたき台となる資料が提出をされました。この中では、公益法人等を取り巻く環境が変わり、非収益事業とされる場合であっても一般の民間法人と競合する分野が生じているとして公益法人等の範囲を再検討すべきと指摘しています。
そこで、お尋ねしますが、社会福祉法人以外で公益法人等の非収益事業が民業圧迫として問題となっているケースはないと考えてよいでしょうか。もしあるならば、NPO法人と公益社団・財団法人のそれぞれについて、もしそのような問題となっているケースを具体的に教えてください。

○副大臣(古川禎久君) 五月九日の政府税制調査会におきましては、税制上、イコールフッティングを図るべき営利企業と競合している事業の一つの例としまして、社会福祉法人等によります介護事業が挙げられたというふうに承知をいたしております。
これ以外にこのような競合の事例があるかどうかということを含めて、今後ともこの公益法人等の事業の実態、これ、しっかり把握していくことが必要である、大事であるというふうに考えております。

○川田龍平君 現在、その今おっしゃった社会福祉法人の問題を中心に議論されていますが、社会福祉法人の問題を足掛かりにほかの公益法人等の課税を見直すことが懸念されております。ここでいう公益法人等の範囲を見直すとは、具体的には、今ある公益法人等のうちのどれかの法人を公益法人等から外すということも検討対象に含んでいるんでしょうか。範囲を見直すという言葉の意味を明確にしていただきたいと思います。

○副大臣(古川禎久君) 今般の政府税制調査会の議論では、公益法人等の範囲に関しまして、一旦公益法人等として整理された法人であっても、国民の信頼を得ていくためには引き続き公益性があるかを確認していく必要があるという意見があったというふうに承知をいたしております。
これは、もう御案内のとおり、平成二十年、公益法人制度の改革におきまして公益認定の仕組みが導入されました新公益法人ではなくて、この改革の対象外でありました学校法人などのいわゆる特別法に基づく公益法人等を念頭に置いた意見であったと承知しております。
いずれにしましても、現時点におきまして、公益法人等に係る課税を含む法人課税の改革の方向性が決まっているわけではございません。引き続き、政府税制調査会において幅広い議論を深めていただくことを期待したいと思っております。

○川田龍平君 この政府税調たたき台では、収益事業課税について、限定列挙されている収益事業の範囲を拡大すべきではないかと指摘もされています。これは、現在三十四業種ある収益事業の業種を更に増やすことを意味していると理解してよろしいのでしょうか。また、増やすとしたら、具体的にどのような事業を想定して議論をしているのでしょうか。

○副大臣(古川禎久君) この収益事業の範囲につきましては、先般の政府税制調査会におきまして、公益法人等の営む事業が営利企業と競合する分野について、イコールフッティングを図るため収益事業に加えることが必要との意見があったというふうに承知をいたしております。
いずれにしましても、申し上げておりますとおり議論を行っていただいておる最中でございまして、今後の改革の方向性がまとまっているわけではありません。引き続き議論を政府税調において深めていただきたいと、このように考えております。

○川田龍平君 この収益事業課税方式では、例えばNPO法人の本来事業であっても課税されることになってしまいます。収益事業の範囲を拡大するというよりも、地域活性化の重要な担い手であるNPO活動を促進するよう、アメリカやイギリスの制度にもあるように、NPO法人の本来事業を収益事業から外すなどの促進策がむしろ必要なのではないでしょうか。

○副大臣(古川禎久君) NPO法人は、その設立や業務運営につきまして、公の関与からなるべく自由度を確保するという仕組みとなっております。したがいまして、第三者機関によって公益性が担保されている公益社団・財団法人や、学校法人等のように行政庁による厳格な指導等のある公益法人等と同様の取扱い、すなわちNPO法人の本来事業を収益事業から除外する取扱いを講じるということは、必ずしも適当ではないと考えております。

○川田龍平君 このNPOを始め公益法人にとって、寄附金は財政基盤を強化する上でも重要な収入源です。このため、公益法人に対する寄附金に対して、寄附者に税制優遇措置が講じられるとともに、この公益法人自身においてもみなし寄附金制度が設けられているんです。しかし、この特定公益増進法人と認定NPO法人では、これらの措置が規定されている法律が異なっています。具体的には、学校法人等の特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入やみなし寄附金は法人税法で、認定NPO法人では租税特別措置法で規定されています。
租税特別措置法をゼロベースで見直すとなれば、認定NPO法人だけが見直しの対象となってしまい、公平性を欠くのではないでしょうか。

○副大臣(古川禎久君) 寄附金の損金算入ですとかみなし寄附金が法人税法上認められております公益社団・財団法人につきましては、第三者機関によって公益性が担保されており、学校法人等については行政庁による厳格な指導等が行われるのに対しまして、NPO法人につきましては、その設立や業務運営について公の関与からなるべく自由度を確保するという仕組みになっております。したがって、そういう中でこのようなNPO法人の活動を政策的に支援するために、認定NPO法人に関する税制につきましては租税特別措置法において規定をしているわけでございます。
いずれにしても、政府税制調査会において、このみなし寄附金制度については、御指摘の認定NPO法人に対する政策税制のみならず、法人税法上の制度についても過度な支援となっていないかといった観点から見直すべきだと、こういう意見があったものと承知いたしております。

○川田龍平君 この認定NPO法人のみなし寄附金や認定NPO法人に対する企業の寄附金の損金算入の特例措置は期限のない措置です。これは、本来なら法人税法に規定すべき内容でもあります。この機会に法人税法に書き込むという法改正を検討すべきではないでしょうか。

○副大臣(古川禎久君) 申し上げておりますように、NPO法人につきましては、その設立や業務運営について公の関与からなるべく自由度を確保するという仕組みになっております。そうした中で、その活動を政策的に支援するために、認定NPO法人に関する税制については租税特別措置法において規定しているものでございます。
租税特別措置法はこうした政策的な支援などの特例措置を規定するものであって、期限の有無で租税特別措置法に規定するか法人税法に規定するかを決めているわけではないということを御理解いただきたいと思います。

○川田龍平君 この認定NPO法人のみなし寄附金については、国会に提出をされた租税特別措置の適用実態調査の結果報告の中で、適用総額が一億円、そのうち上位十法人の適用額の合計で九〇%を超えています。法人実効税率の引下げの財源確保のため租税特別措置のゼロベースでの見直しが進められるとのことですが、認定NPO法人におけるみなし寄附金は利用実績が偏っているように見られるかもしれませんが、平成二十四年に拡充されたばかりで、まだ実績を判断するには時期尚早ではないでしょうか。
このみなし寄附金については、認定NPO法人の財務基盤の強化にとって重要な制度であり、今回の見直し対象に含めるべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

○副大臣(古川禎久君) 租税特別措置につきましては、これ一般論としましてですけれども、税制改正の影響も含めて、その適用実態を踏まえて不断の見直しを行っていくことが重要だというふうに考えております。
他方で、税制の在り方を考える上では、法人税法上の公益法人等を対象としたみなし寄附金制度の在り方を見直すとすれば、これに倣って政策税制として設けられている認定NPO法人のみなし寄附金制度も当然影響を受けることになると思います。
いずれにしましても、引き続きこれは政府税調で幅広い観点から議論を深めていただきたいと考えております。

○川田龍平君 この政府税調たたき台では、非収益事業から生じる金融資産収益について、会費や寄附金収入とは異なり、公益法人等が事業活動の中で新たに発生した所得であることなどから一定の税負担を求めるべきではないかと指摘をしていますが、これは公益社団・財団法人も含めて、非収益事業の金融資産収益の非課税の撤廃、縮小を意味していると捉えてよいのでしょうか。

○副大臣(古川禎久君) 政府税調におきましては、金融資産収益については、会費や寄附金収入とは異なりまして、公益法人等が事業活動を行う中で発生した所得であるため、一定の税負担を求めるべきではないかという見直しの視点が事務局から示されているというふうに承知しております。
いずれにしましても、何度も申し上げますけれども、今議論を行っていただいている最中でございまして、現時点においてこの改革の方向性がまとまっているわけではございません。引き続き議論を深めていただくようにお願いをしたいと思っております。

○川田龍平君 いずれにしても、公益法人等の税制の拙速な見直しは公益法人等の活動に大きな影響を与えるものであり、法人実効税率の引下げとは切り分けて、法人類型や政策目的等を吟味して、時間を掛けた慎重な議論が必要です。
私は、前回の公益法人の税制検討で設置された非営利法人課税ワーキンググループのような特別委員会を設置することを大臣に提案いたします。そして、そこにNPO法人関係者にも参加していただき、法人ごとの性格等を熟慮して丁寧に議論を行うべきと考えますが、大臣の所見を伺います。

○国務大臣(麻生太郎君) これは、政府税制調査会におきましては、今、法人課税の構造改革を行うという観点から、この御指摘の公益法人に係る税制を含めまして、現行のいわゆる税制の課題を幅広く議論をいただいているところであります。
したがいまして、議論の中で公益法人に係る税制につきましていろいろ御意見がありまして、例えば、民間企業と競合する分野についてはイコールフッティングを図ることが必要といった御意見もあれば、公益法人等として整理された法人であっても、国民の信頼というものを得ていく上には、引き続き、公益性があるか否か、それが認められているか等々確認していく必要があるのではないかと。もうでき上がったらそのままずっとというのでは内容は変わってきますので、そういった必要など様々な意見が出されているところであります。少なくとも今の時点では、これらの種々の論点がいろいろな方から提示をしていただいている段階でありまして、改革の具体的な方向というものが今まとまっているというわけではございません。したがいまして、検討のためのプロセスについてお示しできるものではないというのが先ほど古川の方からも御答弁を申し上げているとおりであります。
いずれにしても、政府税制調査会におきまして引き続き議論を深めていく必要があろうと思っておりますので、今年はえらい税制の話が四月からやっていますけど、こんなの大体今頃、秋ぐらいからやっていたのが、今年はえらくみんな気合が入って四月ぐらいからやっておられますけれども、どうして今年だけこんな早いんだかよく知りませんけれども、いろいろな意味で税制の話をしていただくのは結構なことだと思っております。

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