シーズ、「認定NPO制度があぶない!?」を開催
2014年5月9日(金)夜、NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会(代表理事 松原明)は、税制改革緊急イベント「認定NPO制度があぶない!?」を東京都内で開催した。会場には定員を超す約130名のNPO関係者が駆けつけ、熱気ある議論が交わされた。
今回の緊急イベントは、政府税制調査会(以下、政府税調)が4月に「租税特別措置法」の全面見直し・廃止・縮小の方向性を打ち出したことを受けて開いたもの。政府税調の見直し検討では、認定NPO法人制度の税制優遇措置である、1)みなし寄付金、2)企業の寄付金損金算入特別枠、の2つが見直しの対象として挙げられている。これとは別に、与党では、平成26年度税制改正大綱(平成25年12月12日)の検討事項として、寄付金税制における税額控除制度の再検討をも打ち出している。
税額控除制度は、認定NPO法人等に寄付した個人が、寄付金を税額控除の対象とできることで、個人の寄付を促進し、NPOの募金を促進する制度である。
これら3つのメリットは、認定NPO法人の税制優遇措置の殆どともいえる。
イベントでは、シーズ代表理事の松原明と常務理事の関口宏聡が、政府の資料を読み解きながら、制度のメリットが見直されようという状況や現状での危機の大きさを解説、情報を共有した。
一方で、2012年に施行された改正NPO法の見直し期限が来年3月に迫っていることにも触れ、制度を守るという闘いと、制度を改善するという闘いが同時に展開されていく、難しい状況についても語られた。
説明を受けて会場からは、次のような意見が出された。
■政府税調等の動きに関して
「2011年の改正の成果を結論づけるには時期尚早である」
「制度が定着する前に変更の動きがあるのは、認定NPO法人が信頼されにくくなるのではないか」
「政府はNPOの活動を活性化する方向と理解しているが、今回の見直し案はそれに逆行するものだ」
「できたばかりの制度なのに見直しとは疑問である」
「認定NPO制度の理解を進めているところに、見直されたら、不条理だ」
「もうけを第一に追求していないNPOだからこそできることが豊かな社会づくりにつながっていると確信しているので、とても残念に感じる」
「企業並みに税制を改正する前提では、何のために社会貢献や社会の課題解決を推進するためにNPO法を作ったのかわからなくなる」
「寄付文化が育ちつつある日本社会の動きに対して逆光する流れを作らないで欲しい」
「寄付税制は認定NPOがメリットを受けるというよりも、むしろ社会にとって投資的な効果がある税制である」
■制度見直しの内容に関して
「法人税減税を補うための改正は許せない」
「みなし寄付金制度は、事業型NPOのためだけでなくよりNPOらしい活動をするために必要だ」
「改正されたばかりの「みなし寄付」などの制度が見直しと聞いて驚いている」
「NPO法人にとって収益事業は運営基盤を支えるために行っていることで、事業のフィールドが同じだからと税率を一緒にされるのは心外だ」
「企業の寄付がようやく拡大してきた段階で見直しになるのは影響が大きいので困る」
「企業にいる立場として法人寄付が損金として算入されることは必要である」「個人の寄付金の税額控除はぜひ残して欲しい」
「税額控除方式は継続して欲しい」
「税額控除がなくなると寄付集めの機運が後退してしまう」
「税額控除がなくなると事業及び寄付額の減少に直結する」
「認定NPOへの寄付で最大5割が戻ってくるというメリットは大きな追い風なのに。」
「みなし寄付制度を使いたくてやっと認定NPO法人になった。なった途端にイベントの案内をみて、力が抜けてしまった。」
■認定申請準備中の団体の声
「今から申請をすべく準備しているのに、メリットがなくなるなら認定の申請そのものを見直さなくてはならないと思うほどに困惑している」
「認定申請を行おうとしているときに今回のイベントの内容は非常にショックだった」
「認定を取るべく支援者に働きかけているが税優遇がなくなると寄付が集めにくくなる」
以上のように、集まった参加者からは、見直しの方向性を聞いて、怒りや不信の声が上がると同時に、制度継続の必要性について意見が上がった。
最後に、シーズ代表理事の松原は、「今後、状況の把握を行い、共有し、また必要な局面では、国会への要請なども協力することが出てくるだろう。この制度をよくできるのか、後退してしまうのか。ぜひみなさんの協力を頂きながら、今から秋に向けての議論に備えていきたい。こういった運動への参加は力になる。周りへの働きかけ、情報のフォロー、イベントへの参加、またご寄付などに協力をお願いしたい。この制度を守り、良くしていくことが日本社会を良くすることに繋がる。」と話して、今後も続くことが宣言されて、閉会となった。