シーズ、「認定NPO法人制度実態調査 報告会&セミナー」を開催
2014年7月3日(木)夜、NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会は、「認定NPO法人制度実態調査 報告会&セミナー」 ~政府・骨太方針発表 認定優遇はどうなる?~を東京都内で開催した。
シーズでは、立正佼成会一食平和基金の助成で、認定NPO法人制度の運用実態調査・普及事業を進めてきた。2012年4月に改正NPO法が施行され、認定NPO法人の所轄庁が、国税庁から所轄庁に移ってから2年が経過した。今回のセミナーでは、調査事業の結果、明らかになってきた認定制度運用の所轄庁毎の違いや課題について報告し、また、法改正への必要性を訴える材料にしていくとした。
まず、シーズ常務理事の関口宏聡が、認定NPO法人制度の運用実態調査アンケートの結果を報告した。調査では、審査の人員体制、審査期間、標準処理期間を設けているか、実地検査にかけている日数、審査において苦労している点、認定審査で時間を取られる事由等について回答を求めた。
調査の結果、明らかになったポイントは以下の通り。
・認定申請受理から認定の決定にかかった平均月数は、平均4.74カ月であり、78%の所轄庁が6カ月以内で認定が決定している。
・標準処理期間を設定している所轄庁が過半数あり、そのうちの91%が標準処理期間を6カ月と定めている。
・認定審査においての実地検査は平均1.53日間行っており、84%の所轄庁が1~2日だが、実績平均4日の県もあり、所轄庁によって検査内容の強弱に差がある。
・認定審査で特に時間がとられているのは、「PST計算において、寄付者名簿と寄付金の額を確認するのに時間がかかる」「帳簿を検算して、財務諸表が正しく作られているかの検算に時間がかかる」「帳簿を検算して、申請書類の数字が正しく作られているかの検算に時間がかかる」が上位3つの回答となっている。
法改正への示唆と今後の課題として、次のようなポイントを挙げた。
・標準処理期間は半数に設定されているが、申請法人の予見可能性を高めるためにも法定化が必要
・「仮認定の特例」延長や役員基準の緩和に賛同する所轄庁もあった
・申請書類の削減や様式の改善などに、審査現場からの貴重な声が得られた
認定NPO法人の実態調査の報告内容は別紙の通り。
認定NPO法人運用実態調査報告パワポ(PDFが開きます)
そして、後半、政府の骨太方針の発表などの最新情報を受けて、「租税特別措置法」の全面見直し・廃止・縮小の動きが、認定NPO法人の優遇にどんな影響を及ぼすのか。また、NPO法改正に向けたNPO議連の動きについて状況を共有し、参加者とディスカッションする時間を持った。
NPO法・認定制度の改正が、1.与党税調、2.政府税調、3.NPO議連で行われており、それぞれにおいて、以下の「あぶない」可能性がある。
1.与党税制改正大綱での「大綱」
2.法人税引き下げの余波を受ける可能性
3.NPO法見直しが放置される可能性
政府税調の6月の最終報告書によると、今回の改革の主な目的が2つであるとして、その2つ目に、「課税ベースを拡大し、税率を引き下げることで、法人課税を“広く薄く”負担を求める構造にする」とある。具体的な租税特別措置の見直しの方向性についても、「基準3:利用実態が特定の企業に集中している政策減税や、適用者数が極端に少ない政策税制は、廃止を含めた抜本的な見直しを行う」と、厳しい口調で最終報告に記載されている。
一方、6月24日に発表された政府の骨太方針「経済財政運営と改革の基本方針2014について」によると、地域の課題解決や活性化の重要な担い手としてNPOやソーシャルビジネスが位置付けられている。
シーズ代表理事の松原明は、NPOへの課税が強化されるのか、逆に育成が推進されるのか、政府の方針も方向性の不一致がみられる。所轄庁からも、認定制度をなくすなという声が聞かれる。秋の陣は、9月の国会が始まってからとなるが、認定NPO法人制度を後退させず、制度をより使いやすくしていく為に、運動をしていく。ぜひ引き続きの注目をいただきたいとして、閉会となった。
なお、シーズはこの事業を立正佼成会一食平和基金の助成を受けて実施しました。この場を借りて御礼申し上げます。