認定NPO法人制度の改善を求める緊急集会・大阪
2002年11月25日(月)18:30~20:45、大阪ボランティア協会NPO推進センター主催で、標記の集会が開催された。
共催は、NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会、大阪NPOセンター、関西NGO協議会、関西国際交流団体協議会、NPO政策研究所、池田市公益活動促進協議会、市民活動フォーラムみのお、すいた市民活動を活発にする会、高槻市市民活動促進組織準備会、寝屋川あいの会、ひらかたNPOセンター運営協議会、淡海ネットワークセンター。協力が、シーズ=市民活動を支える制度をつくる会。トヨタ財団助成。
会場となったエルおおさか会議室には、定員を大幅に上回る約80名のNPO関係者が集い、認定NPO法人制度の改正を求める熱意を伺わせた。
■ 開会挨拶
はじめに、大阪ボランティア協会事務局長・早瀬昇から、次のような開会の挨拶があった。
NPO支援税制施行後1年過ぎたが、認定されたNPO法人は9法人のみ。実際は機能していない。今回のような集会はこれまで何度も開催してきているが、本日はバズセッションで一緒に議論しながら考えていきたい。
■ 現状説明
つづいて、シーズ・市民活動を支える制度をつくる会事務局長・松原明が、早瀬とかけあい形式で、現状説明をした。
今が政治上、税制見直しの時期である。与党三党の税制調査会が12月13日ぐらいには改正の結論を出す。今がまさに議論の山場だが、国会議員や政府に、きちんとした議論をしてもらうために各地で集会を開いている。
1998年NPO法(特定非営利活動促進法)がスタートし、2002年10月30日現在、8315団体が認証を受けている。これら団体の財政面をバックアップするために、2001年10月1日より「認定NPO法人制度」がスタートした。
しかし、現行の認定NPO法人制度には改善すべき点が多く、2002年11月1日の時点で認定を受けている団体はわずか9法人、全体の約0.1%にしか満たない。制度上の欠陥は明らかである。
具体的には、日本版パブリックサポートテスト、複雑な申請書類、地域性の要件、2年ごとの更新、共益性の排除等の認定要件が障壁になっている。こうした要件を緩和して、認定NPO法人制度をNPOの社会的な活動を促進するために実効性のあるものにしていくべきである。
■ 議員の方からのメッセージ
ここで、地元議員各氏から寄せられた、認定NPO法人制度改正に向けての決意を込めたメッセージが早瀬から紹介された。次の議員からメッセージが寄せられた。
谷畑孝衆議院議員(自由民主党)、山下栄一参議院議員(公明党)、藤村修衆議院議員(民主党)、山本たかし参議院議員(民主党)、吉井英勝衆議院議員(日本共産党)、植田むねのり衆議院議員(社会民主党)
■ Buzz Session
つづいて、参加者は、8グループにわかれて、各NPOの現状における問題点の整理及び今後の運動展開へ向けてなどをテーマにバズセッションを行った。セッションでは下記のような意見が出た。
- NPOに就職したいという学生も出てきているが、現在の給与水準では生活が困難。
- 財務省、国税庁の職員を呼んできて議論し合う機会を設けたらどうか。
- 弱者を代弁する機能を持つNPOでは支援者は寄付する際は匿名の場合が多く、また3,000円未満の場合も多い。ホームページからの寄付もある。多様な寄付のあり方についても検討してほしい。
- 行政委託や生涯学習講座事業(参加費徴収)等、パブリックなことをやればやるほど、認定されにくくなるというのはおかしい。アメリカ方式の採用を望む。
- NPOがいかに声をあげていくかが重要で、それぞれの立場でそれぞれの地域の議員に直接訴えることが必要。
- このキャンペーンの時期をもう少し早めにできたらよかったのでは。
- 広域性の範囲がよくわからない。
- 事業収入に頼らざるを得ない現状で、寄付金の比率を高めることは困難。寄付金が多く集められるような仕組みにしていかないと意味がない。
- そもそも政府側にNPOに対する不信感があるのでは。
- NPO職員の平均年収134万円では若者の就職はきつい。(福祉関係事業者所でも200万円ぐらい)
- 会費すら集まらないのに寄付はとても集められない。
- 税制のことについてNPO自身もあまり知らないのではないか。また自団体に関わってもらっている税理士等専門家においてもアドバイスなどほとんど無いのが現状。
- 国会議員への提言の仕方について、その秘書に伝えるだけでも効果があるし、だいたいの議員はホームページを開設しているので、そこへメールを送ることもできる。
- 皆で塩川大臣のところへ陳情に行こうという案もでた。
- ただ、この時期になってしまった今、できることとして、大阪関係の国会議員のリストがあれば、その議員へメールやファックスで要望書を添付して送ることはできる。
- これまで寄付してきた人達が実際に寄付しやすくなるというような声も必要では。
- NPO自身の声をあげること、それぞれの現状の制度に関する認識を伝えることが大切
- 本日の資料をもっとコンパクトに、問題点についても分かりやすくし、それぞれの立場から訴える文書をつくり、インターネットを活用して、メールとかでメッセージをもらった政党や議員に訴えていく。
- 国会議員における理解の浸透度はどの程度であるのか。
- 要望書について、要望している団体の固有名詞を出すべきでは。
- パブリックサポートテストについてアメリカ方式を導入したつもりが…という話があったが、結局違った方式となった。規制するようなムードが強いのかどうか。
- 制度改正することにより、寄付する市民がどれぐらい増えるのか。増やしたいのか。運動の到達点をどの程度に考えているのか。
- 集会や街頭署名運動などやるべきでは。
- 明日以降この参加者にどのように行動してほしいと思っているのか。
- 政策的に市民活動を推進していくんだという方針とこの認定NPO法人税制の現状とが矛盾しているんだということの論点を整理し、主張すべきでは。
■ 質疑応答
最後に会場参加者との質疑応答が行われた。松原と早瀬が回答した。
◆広域性の要件については実際はどの程度の広域なのか?
→ 市区町村を超える範囲であればいい。◆運動の到達点は?
→ アメリカでは寄付が8割で、企業と財団が1割ずつとなっている。そこまではいかないにしても、せめて半分を市民の手で支えてほしいと思っている。循環を変える必要がある。◆今回の運動について
→ この運動は昨年から行っている。集会も今年2回目だが、毎回来る人が違うからか今日出席した人のほとんどが知らなかったという情況。次回集会の際は同じ人に来ていただければ。また運動の一環で7,300のNPO法人にアンケートをとっているが、このアンケートに答えるのも運動へのおおきな参加のひとつ。アンケートの回答は5割はほしかったが、4割の回答であった。それでも大きなインパクトとなっている。◆政府・国会における認識はどうなっているのか?
→ 反対ではないが、NPOの理解がまだまだで、十分なコンセンサスが得られていないのが現状。国会でも議論してもらえるよう実態をメールや手紙で伝えていくことが必要。地元議員へは地元からの声が非常に影響がある。
報告:大阪ボランティア協会
編集:シーズ
2002年11月28日