認定NPO法人学習会(北海道)
11月15日(月)17:30~19:10、「かでる2.7」(札幌市中央区)にて、日本NPOセンター副代表理事の山岡義典さんを講師に「認定NPO法人制度学習会」が開催された。参加者55名。主催はNPO推進北海道会議・北海道NPOサポートセンター。
開催にあたり、道内選出の国会議員27名に出席の要請を行った。
当日の本人出席は、横路孝弘衆議院議員(民主)。
メッセージをくださった議員は、鉢呂吉雄衆議院議員(民主党国対委員長)、鳩山由紀夫衆議院議員(民主)、紙智子参議院議員(共産)、金田誠一衆議院議員(民主)、町村信孝衆議院議員(外務大臣 自民)、橋本聖子参議院議員(自民党道連会長)、小川勝也参議院議員(民主)、峰崎直樹参議院議員(民主)。
秘書が参加された議員は、北村直人衆議院議員(自民)、横路孝弘衆議院議員(民主)、小川勝也参議院議員(民主)、三井わきお衆議院議員(民主)、町村信孝衆議院議員(自民)、鳩山由紀夫衆議院議員(民主)。
集会での各氏の発言は下記のとおり。
■ 横路議員
公益法人制度改革について近いうちに有識者会議の結論が出て政府は通常国会に法案を出す。民法34条全面改正で原則課税、一応NPOは外すとなっているが、原則決めてしまうといつ何時波及してくるかわからない状況にあるので、党としても6月に中間報告出しているが皆さんと議論重ねながら通常国会の対応していきたい。
■ 山岡氏
認定NPO法人制度はとてもややこしく難しいがある意味いい面がある。従来は法律には一言書いて後は役所の裁量で決めていた。僕たちはこの税制優遇の仕組みを作るにあたって、誰が行っても認定条件が同じになるような仕組みを作ってと主張した。それは日本の行政文化からすると非常に異例なことだった。ところが、ものすごく厳しく我々の常識をはるかに超えたものになっていた。要件自身の水準が高すぎとても使い物にならない。
一回改正したが使い勝手がとても悪い。多くの人は、宝くじより厳しい、当てにしてもしょうがない。とかなりあきらめのムードが漂っているのも事実である。特に新しいNPO法人は何年か続けた延長線上にできたというより、取りあえず法人でもつくってみようというのが多い。作ったけどあまり活動していない。NPO法人制度を作った当初の我々の思いが、若干、最近のNPO法人からは消えているように思う。NPOとは何なのかを改めて考え、こういう制度がきちんと機能する社会を作っていくことが重要である。
制度を議論する前にNPOにとって資金源とは何かを解説する。
NPOの財源は政府や企業の財源と違い非常に複雑である。政府の財源は基本的に税金。税法によって強制的に法人から法人税を取り、市場では供給できない社会サービスを提供する。税制を動かす事によって行政の収入は決まる。企業の財源は基本的に売り上げ。ある物を売ったりサービスを提供した対価。
NPOの財源は実に多様である。
- 支援性財源―寄付、助成金、会費、サービス提供の対価ではない収入。
- 事業性財源―サービスを提供した見返りとして与えられる収入。
- 内発的財源―それぞれの団体ががんばれば確保できる。小口でたくさんあって安定的。団体のサービス水準の指標であり、活動に対する応援団の共鳴の産物でもある。
- 外発的財源―我々の外でいろいろな仕組みができることで得られる財源。大きい財源の可能性があるが不安定。
通常の活動で内発的な資金をしっかり積み上げつつ、時々、外発的な資金でプロジェクトをやることで団体は飛躍する。飛躍を通じ会員が増え、新しく提供するサービスが増える。この循環をつくり支援性の財源を豊にすることが重要である。どの財源でやっていくかによって活動のパターン、マネジメントの方法が違う。この点が今まで十分に議論されていなかった。様々な段階の助成金やサービスの提供があって、NPOは順次マネジメント能力を高めていく。
会費を総会での議決権への対価との判断に対し、では賛助会員を増やそうという意見もある。日本版パブリックサポートテスト(PST)はアメリカのPSTが参考にされた。アメリカのNPOは財団型が多く会費はほとんど賛助会費になっており議論の対象にならない。正会員は10名であとは賛助会員といった姑息なことはやりたくない。正会員になって総会に出て経営を支えてというのが本来の姿であろう。
PSTの考え方の背景、改める意味理由を理解したうえでしっかり見守っていく必要がある。
山岡氏の制度改正に関する要望項目の解説に続き、下記のような会場との質疑応答があった。
Q.劇場建設のため資金を集めているが、税金の控除にならないのかといわれる。当初寄付を集めその後は事業でやって行きたいと考えている。
A.この制度ではちょっとなじみにくい。今認定受けやすいのは個人の寄付を集めている海外支援団体、会計が単純で小規模な団体である。
つづいて、佐藤隆NPO推進北海道会議事務局長の「僕たちは皆さんに会費をお願いするが、出すほうは対価性を確認するというより気持ちの上ではほとんど寄付である。」という発言に喚起され、参加者からも会費の対価性をめぐって意見が相次ぎ、活発な議論が交わされた。
報告:北海道NPOサポートセンター 北村美恵子
2004.12.02