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2004年の報告

2007年08月29日 15:22

認定NPO法人制度改正のための全国キャンペーン仙台

知らなきゃソンソン NPO支援税制学習会

  • 日時 2004年12月18日 14:10~15:50
  • 会場 仙台市青葉区中央市民センター 第1会議室

 秋からはじまった認定NPO法人制度改正のための全国キャンペーン。仙台では、いまにも雪が降り出しそうな冬空の下、地域のNPO関係者、国会議員・地方議員の方、行政関係者、企業関係者、マスコミ関係者など20名の参加を得て開催されました。

 最初に、今年9月末まで自由民主党の「NPO・NGO関係団体委員会」副委員長で、現国土交通大臣政務官(衆議院議員)の中野正志さんから、12月15日に発表された「与党税制改正大綱」に盛り込まれた認定NPO法人制度(NPO支援税制)改正の概要と、それに至る経緯を解説いただきました。

 参加者の自己紹介を行った後、講師の松原明さん(シーズ=市民活動を支える制度をつくる会事務局長)より、認定NPO法人制度改革について、お話をいただきました。以下、講演要旨。

●NPOの活動資金の現状 - 寄付金の重要性

 1998年にNPOに法人格を与える特定非営利活動促進法(NPO法)が施行され、さらに2001年には、一定の要件を満たしたNPO法人に税制優遇を行う認定NPO法人制度が制定されるなど、一定の制度整備が進む中で、NPOの活動は、その団体数、活動の実績ともに大きな伸びを見せている。

 その中で、NPOの活動に必要な資金のニーズも大きくなっている。一般に、NPOの財源は、大きく分けると以下のようになる。

  • 会費
  • 寄付
  • 事業収入
    • 料金収入 自主事業によるサービスの対価、介護保険事業など
    • 委託事業 行政からの委託事業、指定管理制度
    • 目的外事業
  • 助成金 民間支援財団から
  • 補助金 国・地方自治体から

 この中でも、NPO法ができて以来、もっとも急速に伸びているのが、事業収入。介護保険制度の導入によるところが大きいが、それ以外の自主事業も伸びており、同種の事業を行う企業などとの軋轢もでてきている。

 助成金、補助金や委託事業などの収入も伸びている。ただ、補助金や助成金は使途に制限があるほか、一定の補助割合があり、事業全体のコストをまかなえるものではない。また委託事業も、基本的には安いコストでの外注が多い。結果的に、このような資金が入れば入るほど、NPOの経営は苦しくなってくる、というのが最近の状況で、今後もこのような状態は続くだろう。

 一方、会費や寄付金といった資金源の伸びは、それほど大きくない。

 もともとNPOの活動は、サービス料金だけで間に合わない(=企業ではやれない)が社会的にニーズがあることを、多くの人の支援を受けて地域のために行うという本質があるはず。小さな団体でも、いろいろなネットワークとつながり、支援を受けて、大きな効果を出すことができるのがNPOの強みだろう。会費・寄付を集めることは、このような支援者を広げていく役割があり、それゆえに重要な意味を持っている。

 認定NPO法人制度(NPO支援税制)は、このような「NPOらしい活動」を支える寄付を広げるための制度的な仕組みとして導入されたものである。

●認定NPO法人制度。今回の改正点は?

 認定NPO法人制度は、2001年にスタートした制度。一定の要件を満たしたNPO法人に対して国税庁が認定を与え、法人と法人に寄付をした人に対して税の優遇を行うもの。

 参考

  • 国税庁HP
  • シーズHP

任意団体



特定非営利活動促進法(NPO法)

所轄庁(都道府県・内閣府)認証



NPO法人



認定NPO法人制度(NPO支援税制)

国税庁認定



認定NPO法人

 制度のスタートから3年が経つが、この制度によって認定を受けたNPO法人は、全国でわずか27法人。全国約1万9千法人の0.14%にとどまっている。これは、認定要件がとても厳しく、クリアできないことが原因。その改正を求める運動が進められている。

 認定を受ける要件には大きくわけて8つあり、いくつかの点が、今回改正された。

(1)日本版パブリック・サポート・テスト(PST)

 「総収入金額等に占める受入寄附金総額等の割合が5分の1以上であること」という要件。

 「多くの人に支えられていれば公益性がある」という論法であるが、事業収入が多いと認定が受けられなくなり、地域のための事業をがんばるほど不利という矛盾をはらんだ要件である。また、正会員からの会費が「寄付金」として認められていないため、正会員の会費が増えると認定が受けられなくなる、ということも問題。「正会員は総会の議決権を買っている、その対価だ」という論法らしい。また、匿名の寄付金や、1,000円未満の寄付金も寄付金に算入できない。

 PSTのモデルとなったアメリカの制度では、事業収入については団体の本来の目的に沿った事業であればその相当部分を分母の「総収入等」から引くことになっており認定に不利にならない。また正会員の会費についても、サービスの対価として支払われていなければ、寄付金として認められている。

 そもそも、PSTの「パブリック」の意味が、アメリカと日本では違っている。アメリカでは政府・自治体からの補助金・委託金も「パブリック」なものとして、分子・分母に算入できることになっているが、日本ではそうなっておらず、結果として「パブリック」テストでなく「寄付金テスト」になってしまっている。

 「NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会」では、今年の運動の中でこのPSTの改正を最重点項目として要望してきた(詳細はこちらを参照)が、残念ながら今回の税制改正では、PST改正はほぼゼロ回答となった。改正点は以下の1点のみ。

  • 「5分の1」の計算を、これまでの単年度主義から「直前2事業年度の平均」によって算定することになった。但し、各年度について10分の1の割合であることが必要。

(2)共益団体の排除等

 「会員等に対するサービス提供や、特定者の利益を目的とする活動などが主たる活動でないこと」という要件。「会員等」の中に、「反復的にサービスを提供する相手」も含むため、特に福祉系の団体に不利となっていた。

 今回の改正で、「会員等」の範囲から、単なる顧客は除くことになった。また要件の判定を2事業年度の平均により行うこととなった。

(3)運営組織・経理の適正性

 「特定の関係者によって団体の役員・社員等の3分の1を超える者が占められていたり、不適正な会計処理をしていないこと」等を定めた要件。

 今回の改正では、「関係者」とみなす親族の範囲を「6親等」から「3親等」に緩和する措置がとられた。

(4)事業活動の適正性

 「宗教活動や政治活動をしていないこと。全体の活動に占める特定非営利活動の割合や寄附金の使途、資金の運用などが適正であること」等を定めた要件。

 今回の改正では、「総事業費に占める特定非営利活動に係る事業費が8割以上」「寄付金の7割以上を特定非営利活動に充当すること」という要件について、直前2事業年度の平均により計算することとなった。

(5)情報公開

 「報告書等を毎年、国税庁に提出し、公開するとともに、社員等の求めに応じて開示すること」を定めた要件。今回は、緩和なし。

(6)不正な行為の禁止

 「法令違反や不正な行為がないこと」という要件。今回は、緩和なし。

(7)設立後の経過期間

 「申請時を含む事業年度開始日において、設立日以後1年を超える期間が経過していること」という要件。今回は、緩和なし。

(8)所轄庁の証明

 「所轄庁から『法令等に違反する疑いがない』旨の証明書の交付を受けていること」という要件。今回は、緩和なし。

 また、税制優遇の項目として、以下の1点が改正になった。

  • 寄付金控除の控除対象限度額を、総所得金額等の30%に引き上げる

    (現行25%)。

●今後の運動に向けて

 今回の与党税調の答申では、「・・・民間非営利活動の役割がますます高まっている。・・・認定要件の思い切った緩和や寄付金控除の控除対象限度額の拡充を図る」といっているが、主要な部分は来年に先延ばしになった格好である。

 ただ、「公益法人制度改革にあわせて抜本的検討を行う」という表現が入った。この「抜本的」にはPSTの改正も入ると解釈されており、来年に向けて期待が持てる表現となった。また、来年に向けて、公益法人税制の改革も並行して行われる。これはNPO法人の税制とリンクしているので大事。来年は「PSTの改正」と「公益法人税制」の2点から重要な1年になるだろう。

 以上の講演の後、フロアとの質疑応答、意見交換を行い、閉会となりました。

報告:せんだい・みやぎNPOセンター

2004.12.30

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