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2006年の報告

2007年08月29日 16:06

第3回日米ダイアログ「非営利組織のファンドレイジング」報告(大阪)

 2006年9月7日、ホテル阪急インターナショナル(大阪)にて、『第3回日米ダイアログ 非営利組織のファンドレイジング』(主催:駐大阪・神戸アメリカ総領事館/関西アメリカンセンター、特定非営利活動法人関西国際交流団体協議会、シーズ=市民活動を支える制度をつくる会、社会福祉法人大阪ボランティア協会 助成:国際交流基金日米センター、トヨタ財団)が開かれた。

 今回のドゥワイト・バーリンゲーム博士、リリア・ワーグナー博士、大西たまき氏の3名の来日の最後のプログラムとして開催されたもの。

 会場には、定員を超える約150人のNPO関係者、企業の社会貢献担当者、市民らが集まり、会場は熱気に包まれた。

 基調講演では、ドゥワイト・バーリンゲーム博士(インディアナ大学フィランソロピーセンター副学科長)が、成功するNPOの特徴として「(1)重要なミッション、(2)質が高く、評価の高い、適切なプログラム、(3)有能で意欲的なリーダーシップ、経営陣、及びスタッフ、(4)明確なコミュニケーションとアカウンタビリティ、(5)有能で熱心な理事からなるよく組織された理事会、(6)効果的な運営と強力な運営サポートシステム、(7)確実で多様な収入源を持つ健全な財務」の7つのポイントを挙げた。

 そして、ファンドレイジングのための教育課程や、専門家トレーニングの必要性、またアカウンタビリティについてもに言及した。

 続いて、リリア・ワーグナー博士(インディアナ大学ファンドレイジングスクール・ファカルティ)が、「ファンドレイジングは、適切な担当者が、適切な寄付者に対して、適切な内容と金額を適切なプログラムのために、適切なタイミングで適切な方法で依頼するもの。」と、ファンドレイズを成功させる6つのステップについて話した。

 また、ワーグナー氏はとして、自身が幼い頃エストニアから逃れてきた経験に触れ、「NPOが集めた寄付によって今の人生がある。ファンドレイズが私にしてくれたことが、私を今ファンドレイズの仕事をさせている。良いファンドレイジングに国境はない」と話した。

 その後、パネルディスカッションへと移り、基調講演に続いて、ドゥワイト・バーリンゲーム博士とリリア・ワーグナー博士、そして、大西たまき氏(インディアナ大学フィランソロピー・センター研究員)、早瀬昇氏(社会福祉法人大阪ボランティア協会事務局長)、小西ゆかり氏(松下電器産業株式会社社会文化グループ・グループマネージャー)がパネラーとなり、コーディネーターは出口正之氏(国立民族学博物館教授/特定非営利活動法人関西国際交流団体協議会理事)が務めた。

 パネルディスカッションでは、企業の社会貢献や日本のファンドレイズ、ファンドレイズの意味について、論点となった。

 小西氏は、「松下電器産業株式会社は、創業以来88年事業を通じて世の中の役に立つことを目指している。NPOサポートファンドを運営し、NPOと対等な関係を結んでいる。日本の企業はアメリカと比べてフィランソロピーでひけをとっていない。」と日本の企業の社会貢献について話すと、バーリンゲーム氏は、「企業とNPOが協働することは大事だが、双方はそれぞれ双方向の利益がある。企業とNPOが協働することで、互いにメリットがあることで、コーズリレイティッドの基本である」と述べた。

 大西氏は、日本でファンドレイズに関する調査を行った際、日本のNPOは助成金をファンドレイズととらえていなことに驚いたという経験を話した。そして、「日本に寄付文化がないと言われることやアメリカに比べて額が少ないと言われることには抵抗がある。」と述べた。

 早瀬氏は、今まで日本のNPOが、寄付を求めることにどれぐらい熱心になっているか考えてみると、「もらえたらラッキー」といった程度のもので、それほど頑張ってこなかったのではないかと振り返り、これからは「寄付は参加の形態」であるということを意識して、市民が社会活動に参加することをお手伝いしているのだと思う必要があると話した。

 ワーグナー博士は「ファンドレイズはただプロセスを経るだけでは出来るようにはならず、日本におけるファンドレイズの仕組みの確立は独自にしていかなければならないもの。ファンドレイズは決してテクニシャンになってはいけなくて、プロフェッショナルにならなければならない。」と述べた。「寄付者へのお礼の大切さを強調したい」と大西氏は延べ、「1回限りの寄付をもらうより10年続けて寄付をもらうことは貴重なことであり、その鍵は、感謝の心である。」と話した。

 出口氏は、「ファンドレイズはフレンドレイズ」という米国の好きな言葉があると紹介し、寄付を集めることは友人を増やすようなものだと締めくくった。

 パネルディスカッション後、会場とのダイアログが行われ、「日本には陰徳の文化があり、隠れた寄付をする」「アメリカには税の優遇があるが日本にはない」「アメリカでは、NPOへの期待とNPOの出した成果は、どうはかっているのか」といった質問が出され、匿名の寄付の事例やアメリカの税控除を利用する人は全体の3分の1にすぎないこと、日本の制度改革の現状などの議論が行われた。

 ダイアログ終了、場所を移して、懇親会が行われ、パネラーと参加者の交流が図られ、大いに盛り上がった。

2006.11.17

鈴木歩

【設立のご報告】
皆さまのご支援のおかげで、寄付文化の革新を目指す「日本ファンドレイジング協会」を、全国47都道府県の580人の発起人・360人の当日参加者の方と共に、2009年2月18日設立できました!
ご参加・ご支援ありがとうございました!

日本ファンドレイジング協会に関する今後の情報は、「日本ファンドレイジング協会オフィシャルブログ」をご覧ください!

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