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NPOのファンドレイジング

2008年01月08日 10:52

地球のステージ

『地球のステージ』が国際理解へのきっかけになり、世界平和に理解のある人、行動できる人を増やしたい。

~「地球のステージ」後藤明子事務局長~

■『地球のステージ』の活動内容

 『地球のステージ』は、海外の医療支援活動を東ティモールとパレスチナにて行う一方で、国内では日本の人たちに国際理解を進めてもらうための国際理解教育活動をしています。

 この活動は、精神科医を務める代表の桑山紀彦の海外での医療支援の実体験を元につくられています。海外での活動報告を語りと映像と音楽という3つの表現方法のシンクロにより、『地球のステージ』として、公演しています。

 もともと桑山は、「いつのまにかボランティアシリーズ」というスライドを使った講演を行っていたのですが、96年に『地球のステージ』という、今の形式にたどり着きました。

 現在は「地球のステージ1」から「地球のステージ4」までの4部作になっております。地球のステージ1が原点になりますが、最初は「放浪編」で、若いころに世界を放浪して歩いたところから始まり、彼が医療支援ボランティアに入っていった経緯、次にフィリピンでの活動、そしてソマリアでの出来事へと章が続いていきます。語りの際には、現地の子どもたちなどの写真をスライドで見せ、その後で桑山が撮って編集したビデオを流しながら、自ら作詞・作曲した曲を、ギターによる弾き語りで演奏します。

 子どもから大人まですべての人に、世界と自分のつながりを意識してもらえるような国際理解を進めるためのプログラムです。

■ボランティアから事務局長へ

 私の仕事は、海外の支援活動を中心としながら日々の公演の映像担当として活動しています。2007年4月から事務局長を務めています。この仕事を始めたのは、もう11年前になるのですが、たまたま第16回目の『地球のステージ』を観て、「山形にもこういう活動をやっている人がいるんだ」と思って、ボランティアで関わるようになったのがきっかけです。企業に就職し、アフターファイブや土日にボランティアと活動していました。そのうちに『地球のステージ』が団体として設立されることになり、それを契機に私もスタッフとして本格的に関わることになりました。

 パレスチナのガザに日本人駐在員1人とローカルスタッフ1名がいます。また、この4月から東ティモールのバイロピテ診療所に女医さんを派遣しています。アメリカ人のお医者さんが院長を務めているのですが、彼が年に数回アメリカに帰る際、その間に医師を代診として派遣しています。そのため、医師の横のネットワークを使って、診療所に行くお医者さんの募集をしています。手を挙げてくれる方は多いのですが、日本には長く休めるお医者さんはあまりいなので、2週間単位くらいで派遣するという方法で行っています。

 国内では私のほかにもう2人職員がいて、日本国内のステージ活動の調整にあたっています。

■海外活動と国内活動をリンクさせたファンドレイズ

 地球のステージのファンドレイズは、海外の支援活動と日本国内の国際理解活動の2つをうまくリンクさせる形で行っています。

 海外での支援活動に基づいて国際理解活動プログラムを作り上げていきます。国際理解活動プログラムは、学校授業の一環として、市の国際交流協会での集まりで、その他国際理解の講座として、様々な団体から依頼を受けています。依頼をいただいた主催者から公演料をいただき、そのすべてを海外での支援活動に役立てています。あくまで国際協力の講座として行っていますので、観客の方から直接私たちが参加費をいただくという形式はとっておりません。そして、その活動報告をまた公演という形でみなさんにお見せして、その公演料でまた支援活動を行う・・・といったように、リソースをうまく循環させながらファンドレイズをしています。

■公演は行動へのきっかけに

 公演活動をする時、私たちが募金箱を置くことはありません。

 それは、『地球のステージ』を観たみなさんがもっと違うところに目を向けて、何か行動してもらうきっかけでありたいと思っているからです。

 感じたものをきちんと心に残して頂きたいという意味で、絵葉書1枚でも手元に残していただき、私たちの活動に賛同していただけたらと思います。絵ハガキのほかには、ステージの曲を収録したCD、パンフレット、語録集などがあります。

 もちろん、ご依頼していただいた主催者によっては、ご厚意で、ステージの出入り口などに募金箱を置いていただくことはあります。でも、自分たちで募金箱を設置することはありません。

■ファンの広がりとコミュニケーション

 この12年間で1500回ほど『地球のステージ』の公演を行ってきました。でも、今まで自分たちから「公演をしませんか」というような形で、宣伝や広報活動をしたことはないんです。ほとんどの場合、『地球のステージ』を見た方が、「次は自分が主催したい」と教育機関などに働きかけてくれて、口コミでここまで活動が発展してきました。

 これだけ公演の依頼があるのは、ステージの内容にご満足いただいているのだと思います。リピーターのファンも多く、多い人では何十回、何百回と来てくださっている方もいます。公演会のあとには、桑山やスタッフと直接対話できる機会を設けるべく、ちょっとの時間でも懇親会という形で直接やりとりをしたり、子どもたちとの質疑応答などを行えるようにしたり、みなさんとできるだけコミュニケーションをとるように心がけています。

 子どもたち、とくに小・中学生に見せたい、彼らに国際理解を深めてもらいたいという願いが、これまで活動が続いてきた原動力だと思います。これだけ長いこと公演を行っていると、「子どものころ『地球のステージ』を見て青年海外協力隊を希望するようになった」とか、中学校で見た子が大学生になって、主催してくれるケースがあったりします。そういった声を聞くことができると、この活動をしていて本当によかったと思える瞬間です。


<後藤明子事務局長のプロフィール>

 1997年より地球のステージのスタッフとして活動。損害保険会社、航空会社勤務を経て、2002年地球のステージNPO法人化を機に職員となり、2007年4月に事務局長に就任。現在は日々の公演活動とともに、パレスチナ自治区ガザ地区、東ティモールでの医療支援活動に従事。

<取材団体プロフィール>

団体名:

 特定非営利活動法人 地球のステージ

活動開始:

 1996年

法人設立年月:

 2002年(NPO法人)

スタッフ数:

 約5名

事業規模:

 約7千万円

ニュースレター:

 年4回

募金活動:

 適宜

団体ホームページ:

 http://www.e-stageone.org/

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