Step.7 感謝と報告
Step.7 感謝と報告
寄付をくださった方に対しては、お礼を差し上げるのは最低限のマナーです。寄付者にしてみれば、「自分の活動が役に立ったんだな」「感謝している人がいるんだな」と実感したいのです。感謝の気持ちをきちんと伝えるように心がけましょう。
また、支援者からの信頼や満足を高めるために不可欠なのが、「報告」。寄付したお金が、きちんと有効に使われたのか、寄付者は知りたいと願っています。
●7回のお礼
米国のファンドレイジング研究者の間では「寄付から次の寄付までの間に、7回お礼を言え」ということが言われています。ただし、7回同じように「サンキュー」と言う意味ではもちろんありません。「寄付してよかった」という満足感、「私は人の役に立てた」という貢献体験を、手を変え品を変えつつ、寄付者に与えるという意味です。
では、どんなことをすればいいのでしょうか。いくつか例を挙げてみたいと思います。
まず寄付を受け取ったら、領収書を送るという手段が考えられます。この領収書に、寄付に関する「約束」を再度提示しておくとよいでしょう。
プログラムが動き出したら、途中経過の報告が重要です。その時も、またお礼のチャンスです。
また、個別に電話して「ありがとう」と伝えるのもひとつです。寄付者から見れば「自分はわざわざ電話してもらえる存在なんだ」と実感します。「承認」という欲求が満たされ、満足感が増します。
「承認」という側面で言えば、NPOのニュースレターの中でプログラムを特集して寄付者の名前を紹介したり、イベントに招待したりすることも非常に有効でしょう。蓄積された寄付者情報をもとに、誕生日に「バースデーカード」を贈ったりすることも効果的です。
●信頼感を高める「約束」と「答え」
信頼度向上を達成するためには、寄付してもらう段階での、適切な「約束」が不可欠。また、この約束に対する「答え」を報告の中で提示することが必要です。
寄付を介しての、NPOと寄付者の「約束」とは何でしょうか?
まず「寄付の使いみち」が挙げられます。寄付を「何に使うのか」「何には使わないのか」という約束です。ほかにも、プログラムの履行期限や見込まれる成果などが考えられます。
こうした「約束」を、寄付を受ける際に明文化し、寄付者に提示しておくことが肝心です。そしてその「約束」に対する「答え」を正直に、報告とお礼の中で伝えるわけです。
約束を尊重し、約束に正直なNPOは信頼されます。
ここで注意すべき点がひとつあります。「約束」は諸刃の剣だということです。「約束」が不十分だったり、NPO側が「約束」について不誠実な態度をとったりすると、信頼感は失われてしまいます。
寄付はお金がからむため、ちょっとしたことが不信を招きます。そうならないよう、明確でわかりやすく、過不足のない「約束」を事前にしておくこと。特に「金額が足りず、プログラムが実施できなくなったときどうするか」「余ったときにどうするか」に注意を払いましょう。そしてそれにきちんと「答えること」が大切なのです。