総会の委任状は、必ず書面でなければならないのでしょうか。電子メールやFAXで委任の意志を知らせてもいいのでしょうか。
NPO法では、総会の委任については民法第65条を準用しています。第65条は、次のような条文です。
民法第65条 (略)
2 総会に出席せざる社員は書面を以て表決を為し又は代理人を出だすことを得
3 前2項の規定は定款に別段の定ある場合には之を適用せず
上記の第2項にあるように、委任は「書面」で行うこととなっています。法務省民事局参事官室によれば、この書面には、現在のところFAXと電子メールは含まれないということです。(これらは、電子情報という扱いだそうです)
そこで、多くの方々は「第3項に『前2項の規定は定款に別段の定』を置いていれば、これは適用されないということだから、定款で電子メールやFAXで委任状を出しても良いことにすれば大丈夫ではないか」と考えられるかと思います。
この点について、同参事官室に聞いてみたところ、
「この第65条は、そうした電子情報がまだ存在するずっと以前に作られた条文であり、電子情報による委任状を想定していない。この第3項は、第2項の規定があっても、定款において『委任状による表決や、代理人を出すことはできない』などと規定することが可能という意味である」
ということで、やはり現在の民法では、電子メールやFAXで委任はできないということでした。
しかし、この問題については、2004年2月6日、政府のIT戦略本部が、NPO法人の総会の議決権行使についても、電子メールなどで行えるよう、平成17年度末までに法制上の措置を講じることを決定しています。そのため、この結果に期待したいと思います。