NPO法人の事務所を、同じ所轄庁の管轄内で移転する場合、所轄庁にはどのような手続きが必要ですか。
NPO法人の事務所の移転の際には、まずその移転によって定款変更をしなければならないかをチェックすることが必要です。
たとえば、定款に「主たる事務所を東京都新宿区におく」としていた場合で、同じ新宿区内で移転した場合には、定款変更の必要はありません。そのため、所轄庁に対する法的な手続きは一切生じません。ただし、所轄庁には新住所を知らせておいた方が、その後の連絡などのためには良いと思います。
次に、所轄庁の変更がなくとも、定款の変更が必要な場合があります。定款に「主たる事務所を東京都新宿区神楽坂1000番におく」としていた場合は、神楽坂1001番に引越した場合であっても定款変更が必要です。
定款変更は、総会の議決事項ですからまずは総会を開催して、新しい所在地への引越しを議決します。
次に所轄庁での手続きをしますが、所轄庁の変更を伴わない事務所の所在地の変更は、定款の「軽微な事項」と呼ばれるものに該当します。NPO法第25条第6項は、「特定非営利活動法人は、軽微な事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なくその旨を所轄庁に届け出なければならない。」と定めていますから、所轄庁の「定款変更届出書」の様式を用いて届出をすることになります。
ちなみに、所轄庁の変更を伴う事務所の所在地の変更の場合には、総会で定款変更の議決をしたうえで、新しい定款の認証を所轄庁から受ける必要があります。新しい定款の認証のためには、2ヶ月間の縦覧を経て、その後2ヶ月以内の決定を待つことになりますから、最大4ヶ月を要します。
また、上記のいずれの場合の引越しであっても、法務局での変更登記は必要ですから、ご注意ください。