行政 : NPO法は発展的解消?公益法人改革
政府の行政改革推進本部は、8月2日、公益法人制度の改革を目的に「公益法人制度の抜本的改革に向けて(論点整理)」と題する報告書を発表した。民法34条に基づく公益法人制度を、新しい「非営利法人」制度に変革し、NPO法もこの制度の中に発展的に解消される可能性が高いとしている。
政府の内閣官房行政改革推進本部事務局(本部長・小泉純一郎首相)は、運営、指導監督、ガバナンスなどでさまざまな問題が指摘されている公益法人制度を抜本的に改革するために、今回の報告書をまとめた。
今回の報告書では、民法の公益法人制度にかわる新しい「非営利法人制度」のあるべき姿として、次の5点があげられている。
・簡便な方法で法人が設立できる。(簡便性)
・「公益性の判断」がされる場合は、その基準ができるだけ客観的かつ明確な形で示されている。(客観性)
・民間の自主性を尊重する観点から、法人の設立や活動への行政の関与が最小化されている。(自律性)
・法人運営やその活動の姿が広く国民に分かりやすいものとなる。(透明性)
・時代の変遷や活動内容の変化に応じ、法人の位置付け等が柔軟に見直される。(柔軟性)
この上で、改革の方向性として2つのパターンを示している。
◆改革パターン1
・現行の公益法人および中間法人という類型を「非営利法人(仮称)」という一つの類型にまとめる。
・法人格の取得は登記のみによることとする。
・公益性の判断については、ア、イ、ウのいずれかの方法による。
ア 公益性の判断は行わない。
イ 定款に公益の要件を定めれば、非営利公益法人を称することができる。
ウ 公益性の判断を行政庁の認証で行う。
◆改革パターン2
・非営利法人のうち公益性を有するものは「非営利・公益法人(仮称)」という類型とし、非営利非公益の法人は、「中間法人(仮称)」という類型をとる。
・法人格の取得方法は、「非営利・公益法人」については、行政庁の認証による。「中間法人」については登記による。
なお、いずれのパターンにおいても、「現行のNPO法は民法の特別法としても独特の存在であるので、新たな基本制度の中に発展的に解消される可能性が高い」とされている。
政府は、現在この論点整理について、パブリックコメントを9月10日まで求めている。
このパブリックコメントを参考に、政府は、今年度中に「公益法人制度等改革大綱(仮称)」をまとめる予定。それに基づき民法などの改正法案を準備していくとしている。
「公益法人制度の抜本的改革に向けて(論点整理)」は、以下のホームページで全文を読むことができる。
またパブリックコメントも提出することができる。
http://www.gyoukaku.go.jp/koueki-public.html