行政 : 静岡県、NPOアドバイザーの認定制度
静岡県は、6月25日、「ふじのくにNPOアドバイザー試験」を実施すると発表した。NPO活動の経験者や県の講座修了者などのうち、試験を合格した者にNPOアドバイザーの資格を与えるというもの。県は、資格者にNPO活動のリーダーとなることを期待している。一方、行政がNPO活動者に対して、「お墨付き」を与えることにNPO側から危惧する声も上がっている。
静岡県NPO推進室では、これまで、NPO活動を側面から支援する人材を養成するために、NPO活動の実践者に対して「NPOマネジメント養成塾」や「NPO市民大学院講座」を実施してきた。
新しい資格制度は、このような人材に県認定のアドバイザーとしての資格を与えることで、意欲を高めてもらう一方、これからNPOを設立したい人や、NPO運営上で悩みをもつ団体が気軽に相談できるツールとして利用してもらい、さらなる地域社会の活性化につなげることを目的とするもの。
今回実施される「ふじのくにNPOアドバイザー試験」は、2次試験まであり、7月28日の第1次試験は、NPO活動やマネジメントに関する基礎的な知識を問う記述試験と800字程度の小論文。続いて8月6日に第1次試験合格者に対して面接を実施する。最終合格者は8月12日に発表される。
最終合格者には、静岡県知事名による「ふじのくにNPOアドバイザー」の資格を与える。
試験の対象となるのは、NPOの中核的指導者として3年以上の実務経験をもつ者(住所や活動範囲を静岡県内と限定していない)、または、同県主催の「NPO市民大学院講座」か「NPOマネジメント養成塾」の修了生。
このうち、NPO市民大学院講座の修了生には1次試験の記述試験が免除される。
合格者は同室内のNPO活動センターのホームページ上で、プロフィールや活動歴が紹介され、アドバイザーを求める団体が直接連絡をとれるようにする。活動経費について県が負担することはしない。
試験の詳細については、同県の以下のURLで見ることができる。
http://www.pref.shizuoka.jp/seibun/sb-07/siken.htm
一方、NPO側から、このような県の動きを危惧する声もでている。
静岡県のNPO推進懇話会の委員でもあり、浜松NPOネットワークセンター代表の山口祐子氏は、「NPO市民大学院講座の実施目的には、『県の協働パートナーたる人材を養成するため』と明記されている。県の養成する人材が、県の認定講師の資格を得て、NPO普及のために活躍する姿を健康なものとは考えられない。行政が育成した人材に資格を与えて、NPOに講師として派遣することは、そもそもNPOを行政の下位におく発想であり、NPO の自発性を損なうものである。行政とNPOはお互いの対等性と異質性を尊重すべき関係にある。行政がこのような発想を持って事業化していく姿勢に対し、早い段階で異議を申し立てる必要性を感じている」と述べている。