行政 : 創業・ベンチャー国民フォーラムで提言
創業・ベンチャー国民フォーラムは、3月8日(金)、日本経済再生に向けて『「起業家社会」の実現のために』と題する提言を行った。「NPOやSOHOの活動の場となるコミュニティービジネスの市場を拡大するため、更なる規制緩和の促進を行うべきである」としている。
創業・ベンチャー国民フォーラムは、創業やベンチャー企業に対する国民の理解向上と起業家精神の発揮・高揚と、国民的議論の喚起、起業括性化のための普及・啓発、社会的諸制度改革に向けて政策提言を目的に、2年間にわたり全国各地で活動を展開してきた。
その集大成として「提言」を発表するための「提言シンポジウム」を、3月8日(金)に東京で開催し、提言を発表した。
この提言は、『「起業家社会」の実現のために~創業・ベンチャーを経済再生の中核に~』と題されている。
この提言書には、NPOに関しての提言も盛り込まれている。
まず、「風土・意識の改革」として、「創業支援のインキュベーションが身近に存在し、既存企業や研究機関からベンチャーへ人材が流動・定着し、NPOやSOHOが多く設立されることによって風土・意識の改革は促進される」としている。
さらに、「NPO・SOHOへの積極的支援と多様な創業形態の選択」として、「地域生活コミュニティーなどの地域エリアを対象としたコミュニティー型ビジネス等の創業、内職等から端を発しつつも、本格的なビジネスへと成長していく創業等は、身近な創業として、今後、大いにその増加が期待されるところである。この代表的な事業形態であるNPOやSOHOは、これらの創業と雇用創出の受け皿と考えられるが、これらへの支援は、官民ともほとんど行なわれていないのが現状である。
自主独立型、かつ自己実現型の人生の一環として、また、地域に根ざした多様な活動の拠点として、多くの国民が社会活動に参画するきっかけとなり得るNPO・SOHOの増加は、創業意欲の醸成が大いに期待できるものであり、特に地方自治体等における積極的支援が期待される。
また、NPOやSOHOの活動の場となるコミュニティービジネスの市場を拡大するため、更なる規制(官の規制、業界慣習等による民の規制)緩和の促進を行うべきである。
なお、このような創業の場合、社会的信用を重視する観点から株式会社形態のみを追い求める起業家が多いが、創業者は、資金調達を含め、創業実態に応じた創業形態として、企業組合、NPO、合資会社、有限会社等、様々な形態があることを充分に認識すべきである。」としている。
「ベンチャー企業インターシップ等の拡充」では、「民間NPOによるキャリア相談センターの設置」として「インターシップ制度の成功には、企業と学生をマッチングしていくコーディネーターが不可欠」とし、学生のキャリア形成のコーディネートをする民間NPO組織の「キャリア相談センタ-(仮称)」を全国的に組織し、ソフト面での支援が必要と盛り込まれている。
「制度インフラの改革」では、「新規企業等の物品・サービス等の優先購入」として、「省庁をはじめ自治体等は、物品やサービス等の購入にあたり、たとえば5年以内に設立されたベンチャー企業やNPO、SOHO等を納入業者に参入させ、これら新規業者に購入量の一定枠を設けることを検討する必要がある」とされている。
「創業・ベンチャー国民フォーラム」は、平成12年3月17日に設立。目的は、チャレンジ精神あふれる起業家が次々と生まれる国を目指して、教育、雇用、年金などの制度改革や、起業家を支援していくために必要な施策について、幅広く意見や英知を結集して政策提言に結びつけていくというものである。
そして、新事業の夢へ挑戦する人たちが、尊敬されるような風土づくり・雰囲気作りを目指すとしている。
メンバーは、会長が江崎玲於奈氏(芝浦工業大学学長)で、代表幹事が有馬朗人(前文部大臣)以下8名。
幹事として企業経営者・学識経験者・評論家、ジャーナリスト、作家・教育関係者・雇用労働関係者・マスコミ・ベンチャーキャピタル金融関係者・起業支援組織等44名で構成。事務局は、(財)社会経済生産性本部に置かれている。
提言の詳細は、以下の「創業・ベンチャー国民フォーラム」のホームページを参照。
http://www.js-venture.ne.jp