行政 : 企業メセナ協議会「NPO税制の充実を」
企業メセナ協議会・研究部会は、7月、「芸術文化発展のための提言~変革の時代にこそ、創造力の活用を」をまとめ発表した。
「提言」では、今年10月に始まるNPO支援税制について、「認定要件があまりに非現実的」として、いっそうのNPOへの寄附金控除制度の充実を求めている。
社団法人企業メセナ協議会は1990年2月に発足した、芸術文化の強化をめざす初の民間企業の連合体。
その中に設けられた研究部会(部会長:加藤種男アサヒビール(株)環境文化推進部副理事)が、今回の提言「芸術文化発展のための提言~変革の時代にこそ、創造力の活用を」をまとめた。
提言では、まず、前文で、
『21世紀の日本が発展を遂げるため、さまざまな「構造改革」が進められようとしています。たゆまぬ変革の力となる創意工夫を生み出すのは「創造力」です。日本の構造改革も、創造力の源である「芸術文化」を置き去りにしては成し遂げられません。芸術文化は、「破壊的創造」そのものであり、芸術文化支援こそ、未来への重要な公共投資なのではないでしょうか。そのためには、長期的な視点にたった芸術文化における人材育成や雇用創出を含むさまざまな制度改革が必要と考えます。』
として、芸術文化支援のための制度改革の必要性を訴えている。
そして、その制度改革として以下のような3つの提案をしている。
【提案1】市民セクターとのパートナーシップのために
――NPO支援と法人・個人による寄付金控除の充実と拡大
◆NPO支援の必要(機動力と企業家精神への期待)
◆NPO法人をはじめとするする民間非営利セクターへの寄付金控除制度の拡充
【提案2】地域社会とのパートナーシップのために
――文化施設や地域の活性化のための人材育成
◆地域を活性化するマンパワー「アートマネージャー」の活動の場の提供
◆ソフト型公共事業
【提案3】民主導の芸術文化支援策を
――企業メセナ協議会の今後の活動
◆企業メセナ協議会の「助成認定制度」
◆企業メセナ協議会のコーディネート機能充実に向けて
このうち、提案1では、「NPO法人をはじめとする民間非営利セクターへの寄付金控除制度の拡充」という項目で以下のようにNPO支援税制の改正を求めている。
本年10月から特定非営利活動法人への寄付金控除制度が施行されますが、現状では、多くのNPOにとってその認定要件があまりに非現実的なことが問題となっています。企業のみならず市民一人ひとりが未来への公共投資に幅広く参画するためには、寄付先の選択肢が多彩で、身近に存在するNPO法人への寄付金控除がさらに拡張されることが必要です。
あわせて、民間非営利セクター全体の寄付金控除制度の充実が望まれます。
その他の提案としては、
- 地域社会とのパ-トナ-シップのために、文化施設や地域の活性化のための人材育成。
芸術文化は産業の創出に不可欠な要素とし、そこで今後は芸術や文化で人々をつなぎ、地域を活性化するコ-ディネタ-の養成。 - 民主導の芸術文化支援策を企業メセナ協議会の今後の活動。
行政より市民や企業、非営利団体などが力を合わせた、民主導の芸術文化支援の促進。
特に2000年度には、企業や個人が「企業メセナ協議会」を通じて行った寄付金総額は5億3千万円であり、これを今後とも「企業メセナ協議会」が独占すべきではなく、各団体に直接の寄付金控除が認められるべきとしている。しかし、すぐにこの制度改革が出来ないならば、今後もこの制度が民間寄付の増加に寄与するように、更なるサ-ビスを充実させたいとしている。
この提言の全文は、企業メセナ協議会のホームページ(http://www.mecenat.or.jp/new/new.html)で読むことができる。
詳細については、(社)企業メセナ協議会 03-3213-3397 にお問い合わせのこと。