行政 : 堀田氏、経済企画庁に新聞紙上で不満表明
さかやか福祉財団理事長の堀田力(ほった・つとむ)氏が、5月29日付け、
神奈川新聞のコラム欄で、「優遇措置なぜ主張しない」というタイトルで、経
済企画庁国民生活局長宛の公開書簡を発表して、NPO関係者の間で話題になって
いる。
現在、経済企画庁が所管する国民生活審議会は、その下に「NPO制度委員会」
を設け、NPO法の見直しに向けて検討を進めている。堀田氏はその委員の一人。
現在、7月の中間報告に向け、中間報告書を作成しているが、その中間報告書
案に対して、堀田氏が公開書簡の形を借りて不満を表明したものだ。
「拝啓 金子国民生活局長殿」で始まるこの公開書簡は、「公開で書面を差
し上げるのは大人げないかとためらいましたが、」「委員の一人である私がこ
んなことを書くのは情けないのですが、」という断りをつけた上で、中間報告
書案の問題点についてこう書いている。
・ 委員の間にはNPOの認証制度を届出制度に変えるべきだという意
見があり、認証に当たる所轄庁の八割以上が同じ意見であるのに、報
告書は、「届出制導入は困難」と主張しています。その論旨は、何人
かの委員が指摘したように、矛盾しており、その頑固な態度は、経済
企画庁が認証権限を手離したくないためではないかと邪推したくなり
ます。
・ この中間報告書は、そのうち公表される由ですが、どう読んでも、
「これではNPOに税制上の優遇措置など認めるわけにはいかない」
と思ってしまうシロモノです。なぜ優遇措置を認めなければならない
のかについて、説得力のある提言と理由がほとんど述べられていない
からです。(中略)委員会の中には、優遇措置に反対の方もおられる
でしょうが、大半の委員は賛成であり、ただ、どのような要件で認め
るかにつき意見に違いがあるにすぎないというのが私の認識です。
また、審議会の進め方や報告書のまとめ方についても堀田氏は、以下のよ
うに問題点を指摘している。(文中の「あなた」は金子局長のこと)
・ 中間報告書案の骨子を経済企画庁事務局が示した時、私は驚いて
「これは委員の意見の大勢と違う。起草は委員の方ですべきだ」と主
張したにもかかわらず、無視されたままで、報告書案が出来上がりま
した。私は、あなたの部下の中村審議官に対し、「これでは経済企画
庁の意見を書いた報告書ではないですか」と言ったら、彼は「審議会
の報告書とはそういうものでしょう」と言い、「異論があれば、どん
どん発表してください」とのお勧めでした。
・ 審議の仕方にもいろいろ問題がありますが、一つ言えば、あなたは
発言しすぎです。自分と異なる意見が出たらすぐ局長が反論する委員
会は、私が知るかぎり、例がありません。
一体、国民生活審議会の「NPO制度委員会」では、どのような議論がなされて
いるのか、かなり疑問をいだく指摘がされている。
経済企画庁のNPO税制への後ろ向きな姿勢は、自由民主党のNPO特別委員会で
も議員の間から、批判や不満の声が出ており、また日経新聞でも、5月23日
の朝刊で「視界不良のNPO税制」というタイトルで、経済企画庁や大蔵省の後ろ
向きな姿勢を報道している。
国民生活審議会や経済企画庁の姿勢がどうなのか、今後公表される中間報告
に注目が集まっている。
なお、経済企画庁では、ホームページ上で、国民生活審議会の委員や議事録
の要旨を公表している。
※ 出典:神奈川新聞朝刊 2000年5月29日(月)