行政 : NPO支援税制に関する提言(第一次)
平成11年12月1日
NPO議員連盟
はじめに
昨年12月1日にNPO法(特定非営利活動促進法)が施行されてから、本日でちょうど1年になります。
この間、全国で1005団体のNPO法人が誕生し、生き生きと動き出しています。
全国各地で、NPO法人の活躍がマスメディア等で報道されたり、地方自治体と企業とNPOとのパートナーシップづくりが進められたりしています。
私たち「自主自立はつらつと活動するNPO法人の活動を推進する」NPO議員連盟では、議員立法で生み出したNPO法が、このように国民に広く受け入れられつつある現状を大いに歓迎するものです。
しかし、NPO法人の活動が発展できる環境がまだ欧米並に整備されていないのも現実です。NPO法人が、さらに自主的な活力を強め、公益活動の一角をしっかりと担える足腰を作るためには、税法上の優遇措置を講じることが重要であります。これは、NPO法人からももっとも強く要望されていることであります。
NPO法の附則及び附帯決議では、2000年11月末までに、税制を含めて見直し結論を得、2001年11月末までに必要な措置を講じることとしています。
私たちNPO議員連盟は、この附則、附帯決議及びNPO法人からの要望を踏まえ、NPO法施行1周年を迎える今日、次のようなNPO支援税制に関する提言(第一次)を行い、その実現を力強く推進します。
NPO支援税制に関する提言(第一次)
I 新しい哲学の確立が必要
日本のNPO(既存の財団法人等も含む広義のNPO)税制を見るとき、極めて限定的にしか、優遇措置を認めていないことに気がつきます。諸外国例えば欧米に比べ明らかに哲学の違いがあると感じられます。21世紀に向けて豊かな活力ある日本社会を構築するためには、民間の自主性や創意工夫、そして民間の活動のさらなる充実が求められています。そのためにも税の控除等により、より多くの資源をNPOに委ねた方がより大きな公益が実現されるものだとの民間の活動に対するおおらかな楽観主義の哲学を確立することが必要です。私たちNPO議員連盟はその哲学の確立のため、素晴らしいNPO活動の実現を支援すると共に、その哲学に立脚した税制改革を実行していく決意です。
II NPO支援税制の確立
現在のNPO税制を次のように改革し、NPO支援税制を確立します。
- 認定NPO法人(仮称)への寄付金に係る所得控除及び損金算入制度の創設
- 個人の寄付金に係る所得控除
公益活動に見るべき実績(1年以上の実績)をあげたと認められたNPO(認定NPO法人(仮称))に対して個人が寄付した場合、一定の限度額(100万円)内の所得控除又は寄付金額の2割相当額の税額控除を認める。
- 法人の寄付金に係る損金算入
認定NPO法人(仮称)に対して、法人が寄付した場合、一定の限度額(500万円)内の所得控除又は寄付金額の2割相当額の税額控除を認める。
- 個人の寄付金に係る所得控除
- 認定NPO法人(仮称)にみなし寄付を認める
認定NPO法人(仮称)の収益事業の税負担を軽減するため、収益の40%以内をみなし寄付として認める。 - 認定基準の明確化と情報の公開
- 上記の認定の基準をあいまいなものとしないため、法令で明確に定め、且つ、その情報の公開方法を充実する。
- 不認定の場合にはその理由を文書で交付することとするなど、不服申し立てその他の手続きを取りやすい環境を整備する。
- 上記の認定の基準をあいまいなものとしないため、法令で明確に定め、且つ、その情報の公開方法を充実する。
- 認定機関
認定NPO法人(仮称)の認定は明確な認定基準により、適正な認定を公平に行いうる認定機関が行うこととする。 - 地方税の減免と不動産の寄付の取り扱いの検討
地方税の減免と不動産をNPO法人に寄付した場合のみなし譲渡所得課税の減免等について今後検討対象としていきます。
III 特定公益増進法人制度等の改革等
特定公益増進法人制度等の既存のNPO法人(財団法人、社団法人等)に適用される税制の改革、認定NPO法人(仮称)に適用される税制と既存のNPO法人に適用される税制との相互の関係については別途検討することとします。