行政 : シーズ II期目の活動に向けてGO!!
■シーズの今後の運動目標
シーズは、1994年にNPO法の創設を目標に設立されたプロジェクト団体である。NPO法をつくるためにだけ設立され、NPO法ができれば解散する計画となっている。
設立時の了解としては、1999年までの時限プロジェクトであって、99年時点で状況の変化がない限り、法律の成否にかかわらず解散する計画となっていた。
当初、シーズが目標としたNPO法の内容は以下の3点である。
- 市民団体が簡単に法人格の取れる法人制度の創設
- 市民団体に寄付をしたとき、その寄付金が個人や企業の所得控除となり寄付しやすくなる等の税制の整備
- 市民団体の活動情報を公開する制度の創設
このうち、今回の特定非営利活動促進法の成立で、1.と3.は、完全なものとは言いがたいが一応の成立を見た。2.については、法の付則や付帯決議で、2001年までに検討することとなった。
シーズとしては、目標の3分の2はなんとか達成したことになる。
シーズでは、この5月に会員団体による総会を開催。今後の運動方針について検討した。
総会の結論としては、NPO法の成立と付帯決議の内容からして、状況に大きな変化があったとして、1)税制優遇措置の実現、2)法人制度のフォローアップ、を活動の柱として、2001年まで活動を継続することとなった。
法人制度のフォローアップはもちろんだが、この3年間における税制優遇措置の実現がシーズの最後の運動であると考えて全力を尽くす所存である。
■シーズの性格
NPO法ができてから、シーズにはたくさんの質問や要望が寄せられている。
その一つとしては、シーズは法人化を希望する団体の個別相談に応じたりしないのか、ということがある。また、シーズの会員になれば、そのような個別の相談を受けれるのかということもある。
もちろん、会員団体とは個別の情報交換や連絡を行う関係上、相談的な内容を含むことはある。一定の相談も行うだろう。
しかし、シーズの本来の目的は、相談などの会員サービスにあるのではなくて、会員から委託されている立法化の作業を行うことにある。今後3年間を見通しても、税制優遇制度の成立が何よりも優先する課題となるはずである。
シーズのプロジェクトとは、必要なNPO制度をつくるために、全国の市民団体が運動へと参加できる場を作りだし、各団体の力をコーディネートするNPO立法運動のためのポイント(拠点)であると考えている。
シーズの作業能力は限られており、税制度の整備は法人制度の創設に比しても難しい問題が多い。シーズは、その力を集中する必要がある。
また、より多くの方と協力しあっていく必要がある。
それらの点をぜひ考えていただいて、今後も、ぜひともシーズの立法運動への支援をお願いしたい。
■税制優遇措置の実現可能性について
もう一つよく寄せられる質問に、税制優遇措置の実現の可能性はどれくらいあるのか、というのがある。
特定非営利活動促進法の附則に「見直し条項」があり、これが税制を含むといってもどれくらい現実性があるのか、附帯決議とはどれくらい効力があるのか、という質問である。「附則」や「附帯決議」は実効性がないのではという声もある。しかし、これらは、あまり意味のない質問のように思っている。政治の現状を見れば、政治上の約束などは実効性が担保されるような代物ではないことは明白である。
特定非営利活動促進法も、何度も与党3党の間で「次国会での成立を目指す」という約束が交わされたが、その通りになったわけではない。特定非営利活動促進法の成立は、それにこぎつけた市民と議員との運動と努力のたまもの以外の何ものでもない。
同じように税制優遇制度ができるとすれば、それは、この附則や附帯決議の効力によるのではなく、その制度の実現を求める市民と議員との運動と努力にもとづくしかありえないと考えている。
問われているのは、政治家や政党よりも、私たち市民や市民団体の方である。この3年間にどう私たちが運動を組み立てられるか、それが、税制優遇措置の実現の可能性である。
シーズでは、そのような観点に立って、再び税制優遇制度実現のための広範な取り組みを呼びかけるものである。
幸い、今回の特定非営利活動促進法成立の過程において、税制優遇措置の必要性は大きな議論になった。国会でも、その必要性を認識する声は大きい。
また、今後の社会のトレンドも、NPO活動の促進へと動いている。環境は十分あると考えている。
あとは行動を起こすことだ。