行政 : 4野党の税制法案が審議入り
第154回国会で継続審議とされた、野党4党が共同提出したNPO支援税制法案が、11月14日から参議院財政金融委員会で審議されることが決まった。19日には質疑が予定されている。 法案では、認定要件の大幅な緩和が提案されている。
この法案は、第154回国会で民主党・共産党・自由党・社民党の野党4党が共同提出し、継続審議となったもの。認定NPO法人になるための要件の大幅緩和を求める内容で、今年3月25日に参議院に提出されていたものだ。
法案は、「特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案」「特定非営利活動の促進のための地方税法の一部を改正する法律案」の2本から構成されている。今回審議入りするのは「特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案」のみ。
11月14日から参議院財政金融委員会で審議されることが決まった。19日には質疑が予定されている。
この法案の特徴は、現行のNPO支援税制を規定している租税特別措置法から、NPO支援税制の部分を削除するとともに、新しいNPO支援税制を独立した法律で定めることとしていることだ。
また、認定要件の大幅な緩和、認定審査の中立性を担保するための第三者機関の設置、個人の寄附に関する地方住民税控除を各自治体が条例で定められるようにすることなどが盛り込まれている。
ただし、与党はこの法案には賛成しておらず、成立の見込みは立っていない。
要綱は以下の通り。
■特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案要綱
第一 法人税法の一部改正
一 一般寄附金の額の合計額に算入しない寄附金の額に、認定特定非営利活動法人等に対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金の額の合計額(特定公益増進法人に対する寄附金の額の合計額と併せて当該事業年度の損金算入限度額を上限とする。)を加えるものとすること。(法人税法第三十七条第三項関係)
二 一の「認定特定非営利活動法人等」とは、特定非営利活動法人又は民法法人のうち次に掲げる要件を満たすものとして、政令で定めるところにより特定非営利活動等促進委員会の認定を受けたもの(その認定の有効期間が終了したものを除く。)をいうものとすること。
1 当該認定の申請をした日の属する事業年度の前事業年度において、その受けた寄附金、会費及び補助金に係る収入の金額として政令で定めるところにより計算した金額が、すべての収入の金額から当該法人の主たる目的である業務に係る収入の金額を控除した金額として政令で定めるところにより計算した金額(以下「非本来事業収入金額」という。)のうちに占める割合が三分の一(最初の認定にあつては、五分の一)を超えていること。この場合において、当該事業年度において同一の者から受けた寄附金の額の合計額が非本来事業収入金額の百分の五に相当する金額を超えるときは、その超える金額は、当該事業年度において受けた寄附金の額の合計額に算入しないものとすること。
2 当該認定の申請をした日の属する事業年度の前事業年度において、当該法人の主たる目的である業務に係る支出の金額として政令で定めるところにより計算した金額が、すべての支出の金額として政令で定めるところにより計算した金額のうちに占める割合が三分の二を超えていること。
3 その理事、監事その他これらの者に準ずる者、社員、設立者若しくは当該法人に寄附をした者又はこれらの者と親族関係その他政令で定める特殊の関係がある者に対し、施設の利用、金銭の貸付け、資産の譲渡、給与の支給、理事等の選任その他財産の運用及び事業の運営に関して特別の利益を与えないこと。
4 次に掲げる事項を政令で定めるところにより公開していること。
イ 前事業年度において当該法人が受けた寄附金の総額その他収入に関する事項
ロ 前事業年度において、同一の者からの寄附金で、その額の合計額が十万円を超えるものについては、当該寄附金を支出した者の氏名又は名称及び住所
ハ 当該法人の主たる目的である業務に係る物品及び役務の提供に関する事項
ニ 理事等及び職員の報酬及び給与に関する事項
ホ 定款等、事業報告書、財産目録、貸借対照表、収支計算書及び役員名簿
5 当該法人につき法令に違反する事実その他公益に反する事実がないこと。(法人税法第三十七条第十項関係)
三 二の認定の有効期間は、当該認定を受けた日から同日以後三年(最初の認定にあつては、二年)を経過する日までの期間とするものとすること。(法人税法第三十七条第十一項関係)
四 特定非営利活動等促進委員会は、二の認定を受けた法人についてその要件を満たさないこととなったと認められる場合、当該認定の申請に係る書類又は公開した書類に虚偽の記載があった場合その他政令で定める場合には、その認定を取り消すものとすること。この場合において、その認定が取り消されたときは、三にかかわらず、二の認定は、その効力を失うものとすること。(法人税法第三十七条第十二項関係)
五 認定特定非営利活動法人等である特定非営利活動法人(以下「認定特定非営利活動法人」という。)の収益事業から生じた所得に係る税率については、公益法人等の場合と同じ税率とするものとすること。(法人税法第六十六条第三項及び経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律第十六条関係)
第二 所得税法の一部改正
一 認定特定非営利活動法人が支払を受ける利子及び配当等については、所得税を課さないものとすること。(所得税法第十一条第一項関係)
二 居住者が特定寄付金を支出した場合には、特定寄付金の額の合計額(その年分の所得の金額の百分の二十五に相当する金額を超える場合には、当該金額)を所得から控除することができるものとし、現行の一万円の裾切りは廃止するものとすること。(所得税法第七十八条第一項関係)
三 二の特定寄付金の合計額に、認定特定非営利活動法人等に対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄付金の額の合計額を加えるものとすること。(所得税法第七十八条第二項関係)
四 三の「認定特定非営利活動法人等」とは、特定非営利活動法人又は民法法人のうち次に掲げる要件を満たすものとして、政令で定めるところにより特定非営利活動等促進委員会の認定を受けたもの(その認定の有効期間が終了したものを除く。)をいうものとすること。
1 当該認定の申請をした日の属する事業年度の前事業年度において、その受けた寄附金、会費及び補助金に係る収入の金額として政令で定めるところにより計算した金額が、すべての収入の金額から当該法人の主たる目的である業務に係る収入の金額を控除した金額として政令で定めるところにより計算した金額(以下「非本来事業収入金額」という。)のうちに占める割合が三分の一(最初の認定にあつては、五分の一)を超えていること。この場合において、当該事業年度において同一の者から受けた寄附金の額の合計額が非本来事業収入金額の百分の五に相当する金額を超えるときは、その超える金額は、当該事業年度において受けた寄附金の額の合計額に算入しないものとすること。
2 当該認定の申請をした日の属する事業年度の前事業年度において、当該法人の主たる目的である業務に係る支出の金額として政令で定めるところにより計算した金額が、すべての支出の金額として政令で定めるところにより計算した金額のうちに占める割合が三分の二を超えていること。
3 その理事、監事その他これらの者に準ずる者、社員、設立者若しくは当該法人に寄附をした者又はこれらの者と親族関係その他政令で定める特殊の関係がある者に対し、施設の利用、金銭の貸付け、資産の譲渡、給与の支給、理事等の選任その他財産の運用及び事業の運営に関して特別の利益を与えないこと。
4 次に掲げる事項を政令で定めるところにより公開していること。
イ 前事業年度において当該法人が受けた寄附金の総額その他収入に関する事項
ロ 前事業年度において、同一の者からの寄附金で、その額の合計額が十万円を超えるものについては、当該寄附金を支出した者の氏名又は名称及び住所
ハ 当該法人の主たる目的である業務に係る物品及び役務の提供に関する事項
ニ 理事等及び職員の報酬及び給与に関する事項
ホ 定款等、事業報告書、財産目録、貸借対照表、収支計算書及び役員名簿
5 当該法人につき法令に違反する事実その他公益に反する事実がないこと。(所得税法第七十八条第四項関係)
五 四の認定の有効期間は、当該認定を受けた日から同日以後三年(最初の認定にあっては、二年)を経過する日までの期間とするものとすること。(所得税法第七十八条第五項関係)
六 特定非営利活動等促進委員会は、四の認定を受けた法人についてその要件を満たさないこととなったと認められる場合、当該認定の申請に係る書類又は公開した書類に虚偽の記載があった場合その他政令で定める場合には、その認定を取り消すものとすること。この場合において、その認定が取り消されたときは、五にかかわらず、四の認定は、その効力を失うものとすること。(所得税法第七十八条第六項関係)
七 年末調整において対象となる給与所得控除後の給与等の金額から控除する金額として、寄付金控除の額を加えるものとすること。(所得税法第百九十条関係)
第三 地価税法の一部改正
一 認定特定非営利活動法人が有する土地等については、公益法人等が有する土地等と同様の課税を行うものとすること。(地価税法第六条関係)
二 認定特定非営利活動法人で政令で定めるものは、帳簿を備え付けてその年の課税時期において有する土地等の地目、面積、所在地その他財務省令で定める事項を記録し、かつ、その帳簿を保存しなければならないものとすること。(地価税法第三十三条関係)
第四 租税特別措置法の一部改正
一 特定非営利活動法人に対する財産の贈与又は遺贈で、その贈与又は遺贈が公益の増進に著しく寄与することその他の政令で定める要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたものについては、所得税法のみなし譲渡の規定の適用については、その財産の贈与又は遺贈はなかったものとみなすものとすること。(租税特別措置法第四十条関係)
二 居住者又は居住者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令で定めるものが国若しくは地方公共団体又は特定非営利活動法人若しくは民法法人の行う教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定める活動に無償で人的役務を提供し、居住者が当該人的役務の提供のために通常必要と認められる交通費、宿泊費その他の費用として政令で定めるものを支払ったときは、当該支払った金銭を特定寄附金とみなして寄附金控除の規定を適用するものとすること。(租税特別措置法第四十一条の十八第一項関係)
三 居住者が国若しくは地方公共団体又は特定非営利活動法人若しくは民法法人の教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定める活動に係る要請を受けて自己又は自己の親族と政令で定める特別の関係を有しない者を無償で自己の居住する家屋に、政令で定める期間以上滞在させた場合には、当該滞在のために通常必要となる費用の額として政令で定める額を特定寄附金として支出したものとみなして、寄附金控除の規定を適用するものとすること。(租税特別措置法第四十一条の十八第二項関係)
四 居住者が特定寄付金を支出した場合においては、その合計額の百分の五十に相当する金額(その金額が当該年分の所得税の額の百分の二十五に相当する金額又は十二万円のいずれか少ない金額を超える場合には、当該いずれか少ない金額)を、その年分の所得税の額から控除するものとすること。(租税特別措置法第四十一条の十八の二関係)
五 認定特定非営利活動法人等が支出した寄附金の損金算入限度額は、当該事業年度の所得の金額の百分の五十に相当する金額(当該金額が百万円に満たない場合には、百万円)とするものとすること。(租税特別措置法第六十八条の三の十一関係)
六 認定特定非営利活動法人等の各事業年度における政令で定めるところにより計算した収入の金額が三百万円に満たない場合には、当該事業年度における当該認定特定非営利活動法人等の収益事業から生じた所得に対する各事業年度の所得に対する法人税を免除するものとすること。(租税特別措置法第六十八条の三の十二関係)
七 相続又は遺贈により財産を取得した者が、当該取得した財産を取得後相続税の申告書の提出期限までに認定特定非営利活動法人等に贈与した場合には、当該贈与者又はその親族等の相続税又は贈与税の負担が不当に減少すると認められる場合を除き、当該贈与した財産の価額は、相続又は遺贈に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入しないものとすること。(租税特別措置法第七十条関係)
八 現行の認定特定非営利活動法人に係る所得税、法人税及び相続税の特例措置を削るものとすること。
(租税特別措置法第四十一条の十八、第六十六条の十一の二及び第七十条第十項関係)
第五 施行期日等(附則関係)
一 この法律は、平成 年 月 日から施行するものとすること。
二 その他所要の規定を整備するものとすること。
■特定非営利活動の促進のための地方税法の一部を改正する法律案要綱
一 認定特定非営利活動法人に係る道府県民税の利子等の非課税
認定特定非営利活動法人が支払を受ける利子等で所得税が課されないものについては、道府県民税の利子割を課することができないものとすること。(第二十五条の二関係)
二 個人の住民税に係る寄附金控除
個人の道府県民税及び市町村民税に関し、条例で定めるところにより、特定非営利活動法人等に対する寄附金を寄附金控除の対象とするものとすること。(第三十四条及び第三百十四条の二関係)
三 施行期日等(附則関係)
1 この法律は、平成 年 月 日から施行するものとすること。
2 その他所要の規定を整備するものとすること。
※このニュースは、11月13日に掲載しましたが、「参議院」と書くべきところを、誤って「衆議院」と記述しておりました。要綱等の一部も修正しました。謹んでお詫びいたします。(2002.11.14.)