行政 : 公取委「社福の税制見直しを」
公正取引委員会が設置した研究会は、11月20日、『社会的規制分野における競争促進の在り方報告書』を発表した。社会福祉法人などに限定されている介護サービスの経営主体に関する規制を緩和して、会社やNPO法人にまで広げることを求めた他、介護保険事業における社会福祉法人への税制優遇を見直すべきだとしている。
公正取引委員会の「政府規制等と競争政策に関する研究会」(座長:岩田規久男・学習院大学経済学部教授)が、11月20日、『社会的規制分野における競争促進の在り方報告書』を発表した。
この報告書は、国民ニーズの多様化に対応したサービス提供がよりいっそう行われるようにするため、今後競争原理を導入することが最も期待される介護、医療、労働の3分野について、その規制・制度のあり方について検討を行ったもの。
この報告書のうち、『介護サービス分野における規制の実態と競争政策の観点からの考え方』の「3 競争政策上の考え方」では、「介護サービスの分野において、新規参入を促進するとともに、多様なサービス提供主体間での公正な競争条件の確保を図ることにより、利用者のニーズにこたえた多様な介護サービスの提供を促進するとともに、競争を通じて効率的に介護サービスが提供できるようにしていくことが必要」としたうえで、次の6点について課題を整理している。
- 参入の促進
- 多様なサービスの提供や価格競争が有効に機能するための環境整備
- 利用者に対する積極的な情報提供
- 介護老人福祉施設の見直し
- 社会福祉法人等に対する優遇税制の見直し
- 医療型介護サービスの見直し
- 公正取引委員会の役割
「1 参入の促進」では、「施設介護サービスには、その設置・経営の主体が制限されているものが少なくないが、消費者利益の観点からは、このような制限を緩和し、株式会社、NPO等が既存事業者と対等な立場で多様なサービスを提供でいる環境を整備していく必要がある」としている。
「5 社会福祉法人等に対する優遇税制の見直し」では、介護サービス分野における公的な競争条件を確保する観点から、公的助成と税制上の格差是正を図るべきであると述べている。
とりわけ税制上の格差是正については、「介護保険事業に係る税制上の優遇措置を除外するなどを大幅な見直しを検討する必要がある」と提言している。
報告書は、以下のアドレスから入手できる。
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/02.november/021120.pdf