行政 : 民主党、NPOヒアリング実施
民主党は、3月14日、日本NPOセンターの山岡氏とシーズの松原から公益法人改革についてのヒアリングを行った。山岡氏は、公益法人改革を行革の観点からではなく、民間活動を促進するという視点ですすめることを、松原は、現在の乱暴な3法人類型一本化の議論ではなく、多様な市民活動を担保するような丁寧な制度づくりが求められていることを強調した。
民主党は、3月14日、日本NPOセンターの山岡氏とシーズの松原から公益法人改革についてのヒアリングを行った。山岡氏は、公益法人改革を行革の観点からではなく、民間活動を促進するという視点ですすめることを、松原は、現在の乱暴な3法人類型一本化の議論ではなく、多様な市民活動を担保するような丁寧な制度づくりが求められていることを強調した。 民主党は、3月14日、衆議院議員会館にて午前8時よりNPOヒアリングを実施した。これには、日本NPOセンター常務理事の山岡義典氏とシーズ事務局長の松原が出席、現在進められている公益法人制度改革に関する意見を述べた。
民主党は、3月5日に「NPO・公益法人改革プロジェクトチーム(以下、「公益法人改革PT」)」を立ち上げている。今回はその2回目の会合。
構成メンバーは以下のとおり。
座長:江田五月
副座長:石毛えい子、峰崎直樹
事務局長:中村哲治
事務局次長:武正公一、若林秀樹、松井孝治
このなかで日本NPOセンター常務理事の山岡氏は、以下のような意見を述べた。山岡氏は行政改革推進事務局内に設置されている「公益法人制度の抜本的改革に関する懇談会」のメンバーでもある。
「行政の縦割りをそのまま持ち込んだ主務官庁制による現在の公益法人制度はいろいろな制約があり、改革する必要があることは事実。NPO法についても法の附帯決議で将来民法改正によって非営利一般法が成立することを目指している。よって、公益法人制度改革が動き出したことは評価できる。
しかし、一般法をつくるにしても、その中で、「中間法人」制度を拡大したものと、「NPO法」の精神を拡充したものの2種類の類型を定めるべき。
現在、公益法人とNPO、中間法人の3法人しか議論の俎上にあがっていないが、本来であればこの2類型の後者の方に社会福祉法人や学校法人などが含まれるかたちで議論されなければならないだろう。
行革の観点からでしか進められていない現在の公益法人制度改革は問題。根本に戻って、民間活動をどのようなかたちで社会に定着させるのかという視点が必要だ。このままだと、本来改革の対象であった、行政から公益法人に金が流れる仕組みなどが何ら改善されないことにもなりかねない。」
続いて、シーズ事務局長の松原明は以下のような意見を述べた。
「シーズが把握しているだけでも、2月中旬以降、全国で20カ所以上の緊急集会がもたれている。NPOは、情報がほとんど公開されないまま、自分たちの運命を左右するような重要な改革が断行されようとしていることに大きな不安を抱いている。
NPO法が施行されてまだ4年半。1万を超えるNPOの多くは活動をはじめて1~3年。そのような団体に、突然ちがう制度の網をかけようというのは、いきなりはしごをはずされるような重大な事態だ。
シーズは、現在の公益法人、NPO法人、中間法人の3類型を一本化しようという方針については反対である。
そもそも、制度の趣旨も非営利性の程度もちがうこれら3法人が強引にひとつにまとめられようとしていることは大きな問題だ。民間の活動には多様性がある。この多様な活動をどう支えるのか、という視点が抜け落ちている。社会福祉法人や宗教法人などをセットにして改革すべきだという意見もあるが、それぞれ、制度の趣旨も活動の内容もちがうものだ。非営利法人という一般法をつくるにしても、その上で丁寧に類型化することが求められているのではないか。すべての非営利法人を一つの法人制度で括れるとは思えない。また、その多様な非営利法人の性格それぞれについて税制の議論をしていくべきだと考える。
税制に関しては、昭和25年のシャウプ勧告では、『法人は事業を遂行するためにつくられた株主の集合に過ぎない』として、日本では法人擬制説をとって法人税が整備されている。この考え方からは、『法人税は株主に支払われる配当に対する所得税の前どり』であるとみなされる。この原則は今どうなっているのか。政府は、利益の配当や残余財産の分配をしない法人に対する課税の根拠を、まず明確に確認する必要がある。
根拠も不明確なままに原則非課税から原則課税に変えるというのは乱暴な話だ。
現在のように、法人制度については行革推進事務局で、税制部分については財務省税調で、というバラバラな議論のすすめ方ではこのようなデリケートな問題を丁寧にフォローすることは不可能である。
このたび、とりあえずはNPO法人が改革の対象からはずされるかもしれないという話になりそうだが、『NPO法が発展的に解消される可能性が高い』といわれている以上、われわれは公益法人改革が真に市民社会を発展させる内容になるかどうか意見していくつもりだ。」
民主党は、このような意見を受けて、PT(プロジェクトチーム)としての対応を検討していくとしている。