行政 : 税調会長「3法人一本化は問題」
政府税制調査会の石弘光会長は、3月14日、記者会見で、「社団・財団法人とNPOと中間法人は性格が全然違う」「それを十把一からげに非営利という形で税を仕組むというのは非常に問題」と語った。今回の公益法人制度改革からNPOをはずすべきという意見を述べるとともに、「公益法人と中間法人を括ることも分解の可能性がある」と指摘した。
政府税制調査会の石弘光会長は、3月14日、記者会見で、「社団・財団法人とNPOと中間法人は性格が全然違う」「それを十把一からげに非営利という形で税を仕組むというのは非常に問題」と語った。今回の公益法人制度改革からNPOをはずすべきという意見を述べるとともに、「公益法人と中間法人を括ることも分解の可能性がある」と指摘した。 政府税制調査会は、3月14日に基礎問題小委員会と非営利法人課税ワーキンググループの会合をセットで行った。また、3月18日には税調の総会を開催した。
3月14日と18日の会合後、税制調査会会長の石弘光一橋大学教授は、記者会見を開き、今回の公益法人制度改革に関して以下のような趣旨のコメントを語った。
■税調での議論の経緯について
- 3月11日の非営利法人課税ワーキンググループの会合が中止になったが、その理由は、内閣官房の行政改革推進事務局の方で、法人制度について見直しを行いたいということになり、ワーキンググループの作業を少し中断してほしいという申し入れを受けたことによる。
- ワーキンググループの作業は、行政改革推進事務局の法人制度の見直しが出来上がった段階で再開したい。
- 再開の時期は不明だが、行革事務局の作業がいつ終わるか次第である。行革事務局は「可及的速やかに」といっている。
- 大綱は4月にずれこむと理解している。
- われわれとしては、ここ1~2ヶ月でなにがなんでも明確な答えを出せというところまで切羽詰まっているとは考えていない。
■今回の非営利法人制度の内容について
- 公益法人とNPO法人と中間法人を一つにまとめて原則課税ということが言われていたが、土俵が崩れてしまった。
- 自民党が「NPO法人については非営利法人として最初から一括りとせず、新たな非営利法人制度の動向を見据えた段階で議論しよう」といっている。私もそう思う。
- 公益法人と中間法人とを一括りにして議論ができるかという問題も残る。これも今後分解の可能性がある。
- 社団・財団とNPOと中間法人、性格は全然違うし、成り立ちも、歴史的背景も、規模も全然違う。それを十把一からげに非営利という形で税を仕組むというのは非常に問題である。
- NPOなり、公益法人なり、ちゃんとした土台に基づいて課税の議論をしたいが、それを非営利というような新しい概念で括られたことや、その土台が狂ったということには、不満がある。
- 3つの法人を別々にして課税を議論するということはできる。
- 公益法人についてはいろいろな問題が出されているので、税がらみの話でまず行って、それが終わってから、NPOなり他のいろいろなものがくるだろうが、全体像がまだ見えてない。とりあえずは、公益法人を最初にやると理解している。
- 公益法人そのものについて、いろいろ問題も提起されているので、それはそれで十分議論をする価値がある。
- 宗教法人、学校法人、社会福祉法人、生協、農協を含めて、大きな括りがあって、第一歩としてこういうことをやるという位置付けなら議論しやすいが、今回は、3つだけ括って、あとは全然わからんよという形で始めたために、議論が混乱したのだと思う。
- その場合、NPO法人については、公益法人や中間法人と違い、条件を変えて少し税負担を弱めようという形で議論してきた。この議論はそのまま生きてくると考える。
- NPO法は、認定NPO法人を作って課税を緩めたばかりであって、むしろその方向性を追求したい。
政府税調の会長記者会見の記録は、以下のサイトで全文を読むことができる。
http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/zei3.htm
(このサイトの「非営利法人課税ワーキンググループ」の3月14日の座長会見録と、「題39回総会」の会長会見録)