行政 : 改革特区でNPO活動拡大へ
政府は、4月17日、地域を限って規制を緩和・撤廃する構造改革特区の第一弾認定を発表した。NPO関連特区としては、NPO法人への農業経営の容認を行う千葉県等や須玉町(山梨県)、NPOによる福祉輸送サービスの拡大を行う大和市、枚方市、岡山県、熊本県等が認定された。
構造改革特区の申請は、4月1日からスタートして、4月14日までに111の団体から129件の計画が申請されている。
このうち、政府は、4月17日に、構造改革特別区域法や基本方針に照らして「熟度が高い」とした者57件を認定したもの。
政府が4月17日に公表した資料から分かる限りでは、NPOの活動の拡大を目指した特区構想として以下の6件が今回認定されている。
1.都市農村交流関連
■NPO活動推進特区
申請地方公共団体名:千葉県、大網白里町
特区の概要:NPO法人が遊休農地を活用した農業参入を通じて、農地の保全・有効利用の確保、農産物の栽培や農作業を通じた教育、環境保全活動等の多様な農地利用のニーズに対応した都市住民と農村との交流など、NPOの活動領域の拡大と新たな農業生産システムの構築を図り、農業分野でのモデル的なNPO活動を実証する。
今回申請される規制の特例措置:農地貸し付け方式による株式会社等の農業経営への参入の容認
■増富地域交流振興特区
申請地方公共団体名:須玉町(山梨県)
特区の概要:高齢化・担い手不足による遊休農地の増大、交流人口の低迷等の深刻な課題を抱える増富地区は、秩父多摩甲斐国立公園の西の玄関口として素晴らしい自然景観を有していることから、NPO法人の参入を求め、農業や国立公園での都市農村交流プログラムを展開することにより、交流人口を効果的に増大させ集落機能の維持と地域経済の活性化を図る。
今回申請される規制の特例措置:農地貸し付け方式による株式会社等の農業経営への参入の容認。国立、国定公園の特別区域におけるイベントの容易化。
2.生活福祉関連
■みんなで進める地域福祉特区
申請地方公共団体名:大和市(神奈川県)
特区の概要:要介護高齢者など移動制約者のアクセスフリーの実現という地域的課題を、市民と行政による協働事業として解決していこうという、自立的地域づくりを推進していくことにより、民間活力による地域福祉の充実を図る。
今回申請される規制の特例措置:NPOによるボランティア輸送の有償化
■福祉移送サービス特区
申請地方公共団体名:枚方市(大阪府)
特区の概要:本市においては、福祉施設等を市域の特定の地域に集中させることなく、バランス良く配置しているが、これらの施設を有効に機能させるために、NPOによる福祉移送サービスを拡大し、移送サービスのニーズと供給のミスマッチの解消を図る。
今回申請される規制の特例措置:NPOによるボランティア輸送の有償化
■福祉移送特区
申請地方公共団体名:岡山県
特区の概要:高齢化の進展に伴い今後増加する移動制約者のための新しい移動支援策として、タクシーではカバーできない部分をボランティア輸送により補完することにより、誰もが自らの意思で自由に行動できるバリアフリー社会の実現を目指す。
今回申請される規制の特例措置:NPOによるボランティア輸送の有償化
■福祉コミュニティ特区
申請地方公共団体名:熊本県、宇土市、三角町、不知火町、城南町、富合町、松橋町、小川町、豊野町、中央町、砥用町
特区の概要:障害児・者、高齢者、その家族など誰もが、少ないコストで、身近な地域でより多くの福祉サービスを受けられるような地域を目指し、指定通所介護事業所において障害児のデイサービスを実施するとともに、障害児・者及び高齢者等に対する低廉な移送サービスを実施することなどにより、地域福祉の充実等を図り、もって当該地域の活性化を図る。
今回申請される規制の特例措置:指定介護事業所等における障害児等のデイサービスの容認。NPOによるボランティア輸送の有償化。
なお、57件の概要は、以下のホームページで見ることができる。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou2/kouhyou/030417/030417nintei.html