行政 : 大分県、森林整備に支援券交付
大分県は、森林整備をするボランティア団体などに、「支援券」を発行する事業を8月から開始した。この支援券では森林組合が販売する道具や苗木を購入することができる。県民の自主的な活動を支援することで、「県民総参加の森林づくり」を推進する。
この事業の名称は、「緑のボランティア活動支援事業」というもの。
事業の目的は、次のようなものである。
『近年、地球温暖化が深刻な課題となっており、その対策が急務となっている。そこで、炭素吸収源として地球温暖化防止に果たす森林の役割を高度に発揮させていくことが必要であり、そのためには、林業関係者のみならず県民全体で森林の整備・保全を支える取り組みが重要となっている。
このため、県下各地で自主的に実施された「森林ボランティア活動による森林造成(植栽・下刈)」に対し、CO2の吸収量を買上げ、その額に見合う「緑のボランティア活動支援券」(以下「支援券」という。)を支給し、森林ボランティア活動を支援することにより「県民総参加の森林づくり」を推進する。』
大分県では、2000年に全国植樹祭が開催されたことを機に「県民総参加の森林づくり」が重要な施策目標として掲げられている。
さらに、森林の整備を担ってきた山村地域が過疎化や高齢化で活力の低下が問題となっている一方で、県民の環境問題への関心は高まりつつあり、自主的な森林保全活動や山村との交流を求める活動が活発化されてきている背景なども事業化にあたっては考慮されている。
具体的な事業のスキームは以下のようなもの。
まず、ボランティア団体などが、「緑のボランティア支援センター」に登録し、植林や下刈などの森林整備事業を実施。活動を証明する写真と同支援センターの登録証、申請書などを市町村に提出。提出された市町村は、現地調査や森林所有者に確認をし、県に報告する仕組みだ。
県では、活動場所の植生と面積に応じた「支援券」を発行する。この支援券で、大分県下の森林組合で販売している森林整備に必要な道具や苗木を購入できる。
券の有効期間は2年間。
交付額は、1haあたり、スギで35960円、ヒノキで21460円、広葉樹で48720円分などとなっている。これらは、森林・林業白書に掲載された樹種ごとのバイオマス量などを参考に、二酸化炭素の吸収量を試算し決定した。
県では、森林の果たす役割を具体的に金銭に換算することで、県民の森に対する意識が高まり、森林の整備が進むことを期待している。