行政 : 今日、NPO法施行5周年
今日、12月1日、NPO法は施行からまる5周年を迎える。施行以来、NPO法で認証を受けたNPO法人の数は、10月末時点で13777件。東京では、午後7時から「NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会」が、5周年記念のシンポジウムを開催する。
今日、12月1日、特定非営利活動促進法(NPO法)は施行からまる5周年を迎える。
NPO法は、1996年12月に、当時の与党3党(自民、社民、さきがけ)が議員立法の形式で「市民活動促進法案」という名称で国会に提出。
紆余曲折を経て、1998年3月19日に、「特定非営利活動促進法」という名称で、衆議院の全会一致で成立した。
同年3月25日に公布。12月1日に施行された。
この立法にあたっては、シーズをはじめとする多くの市民団体が各地で集会を開き、市民側の法案を提示、また国会議員と協議しながら立法を進めていったことから「市民=議員立法」とも呼ばれた。
シーズの松原明事務局長は以下のように5周年について述べている。
「90年代前半の急速に勃興しつつあった市民活動が抱えていた課題には、社会的認知や信頼性の不足、契約などの経済活動の基盤不足、寄附を中心とする資金源の貧弱さ、マネジメント(経営、人材確保など)の不足、一つのセクター(社会的部門)としての共通意識の欠如などがあった。
NPO法はそれらの課題を解決するための市民側からの大きなプロジェクトだったといえる。
1990年代の初めにはまだまだ社会的地位が確立していなかった市民活動に明確な社会的位置付けを与え、また、多くの新しい人々がこの活動に参加できる窓口を開いた。社会的認知も向上し、マネジメントに関する関心も高まってきている。法人化によって経済活動の基盤も大きく整備された。
これらの点で、NPO法をつくるというプロジェクトはここ10年間での市民側からの運動としては、もっとも成功したプロジェクトの一つとなったのではないか。
しかし、認定NPO法人制度がほとんど機能していないように、信頼性の獲得や資金源やマネジメントの強化といった問題はまだまだこれから取り組まれていかなければならない課題として残っている。
一方、NPO法人による犯罪行為や詐欺的活動、営利企業の隠れ蓑的な使われ方など新しい課題も出てきている。行政からの委託事業などの増加によって、独立性をどう保つかという課題も大きくなっている。さらに、公益法人制度改革などのように、NPO法の到達点を後退させかねないような動きも出てきている。
NPO法5周年という区切りを迎えて、明らかに、NPO法をつくるというプロジェクトは終わりの時期を迎えたといえるだろう。しかし、NPOや市民活動を強化することによって、社会全体の仕組みを市民主導の仕組みに切り換えていくというプロジェクトはまだ始まったばかりである。
なんとか離陸はしたが、まだまだ必死に上昇中というところだろう。気を抜くといつ失速してしまってもおかしくない状況だ。市民活動側は、新しい課題に対して新しい取り組みを積極的に展開していく必要がある。」
シーズも参加する「NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会」は、5周年を記念して、今日午後7時から東京の飯田橋で、「NPOの過去・現在・未来 ~NPO法施行後の課題を整理し、NPOの今後を展望する~」と題した5周年記念シンポジウムを開催する。
今日のシンポジウムでは、この5年間をふりかえり、現在の課題を洗い出すとともに、今後NPOはどのように発展していくべきかを考える。
「NPOの過去・現在・未来 ~NPO法施行後の課題を整理し、NPOの今後を展望する~」については、NPOWEBのイベント案内を参照のこと。
https://www.npoweb.jp/event/event_info.php?article_id=1391