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2004年01月26日 10:00

行政 : 民間法税制調査会が発足

 1月23日、(財)公益法人協会と(財)さわやか福祉財団は、政府が進める公益法人制度改革に対して、民間公益法人側の考え方を検討していくため、「民間法制・税制調査会」を発足させた。委員には、民法学者、税法学者ら計11名が参加している。

 

 民間法制・税制調査会は、公益法人制度改革について、対象となっている民間公益法人側の考え方について理論的な検討を行うことが目的。

 発起人は、太田達男氏((財)公益法人協会理事長)と堀田力氏((財)さわかや福祉財団理事長)の2人。2人は、昨年まで、政府の公益法人制度改革に関する委員会・懇談会の委員を務めていたが、政府の方針に反対していた。

 そのためかどうかは明確ではないが、昨年10月以降に、新たに組み替えられた新しい政府の検討会議(有識者会議や税制調査会)からは、2人ともメンバーから外された形となった経緯がある。

 2人は、政府が進める公益法人制度改革は、基本的に課税強化を前提として進められていると批判。民間法制・税制調査会で、理論面の検討を十分行うことにより、民間公益法人側が意見を述べる際の参考とすると同時に、広く国民的議論を巻き起こしていきたいとしている。

 民間法制・税制調査会のメンバーは11人。民法学者や税法学者の他、NPO法人関係の実務家も含まれている。シーズ関係者では、赤塚和俊氏(シーズのホームページの質問回答者)、雨宮孝子氏(シーズ顧問)、松原明(シーズ事務局長)の3名もメンバーに入っている。

 第一回目の会合は、1月23日、千代田区の銀行倶楽部で開催された。

 冒頭、太田氏が「調査会では、一つの意見をまとめるというのではなく、自由に忌憚のない意見を指摘いただいて、私たちの運動に生かしていきたい」と挨拶。その後、堀田力氏が座長に、山田二郎氏が座長代理に選ばれた。

 堀田氏は、「私たち実務にいる者が、専門家のお知恵をいただきたいという場なので、よろしくお願いしたい」と就任の挨拶をした。

 第一回目の議論は、一般的な非営利法人制度の可否や公益性と法人制度との関係をどう整理するかで、さまざまな意見がだされ、とりあえず委員のそれぞれの立場が表明されたところで終了した。

 調査会では、月に1回程度のペースで、まず法人制度の枠組みについて3月まで議論した後、税制などについても議論を進めていくとしている。また、その会議については、逐一、公益法人協会のホームページで公開していくとしている。

 民間法制・税制調査会のホームページは以下のURL。

 http://www.kohokyo.or.jp/non-profit/seidokaikaku/index01.html

 委員は以下のメンバー。また、発起人が1月21日に発表した設立趣旨は下記の通り。

民間法制・税制調査会委員名簿

(敬称略、計11名。※=座長)

赤塚和俊 公認会計士。
雨宮孝子 松蔭女子大学経営文化学部教授(民法)
太田達男 (財)公益法人協会理事長
大村敦志 東京大学法学部教授(民法)
片山直也 慶応義塾大学法学部教授(民法)
川端康之 横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授(税法)
神作裕之 学習院大学法学部教授(商法)
堀田 力※ 弁護士。(財)さわやか福祉財団理事長
松原 明 シーズ=市民活動を支える制度をつくる会事務局長
三木義一 立命館大学法学部教授(税法)
山田二郎 弁護士(元裁判官)、租税訴訟学会会長(税法)

公益法人制度改革に関する民間法制・税制調査会の発足について

平成16年1月21日

民間法制 ・税制調査会

設立発起人 堀田 力・太田達男

1 設置の目的―民の力が最大限発揮される制度を目指して

 政府内に昨年11月末、改革の具体的な内容を検討する「公益法人制度改革に関する有識者会議」が設置されたことはご高承のとおりです。スケジュールでは、税制を含めた基本的枠組みを平成16年末までに具体化、となっており、今後の検討がどのように行われるかがたいへん危惧されるところです。一部公益法人の不祥事が背景にあったためか、これまでの議論では、公益法人を一般の非営利法人として解消し、その上で、税制上の支援措置も限定、という考え方が優勢だったように思われます。

 しかし、一部不適正な法人を標準として制度の再構築を考えるのは視野狭窄というべきです。政府の力のみによっては解決できない、また政府の力では解決できない種々の問題が生起する現代社会にあっては、さまざまな民間の非営利公益組織が生まれ、社会のいろいろな分野でそれぞれ役割を果たしていくことが極めて重要となっています。NGO・NPOの活躍を見るまでもなく、これは国際的な常識といって差し支えないものです。長期的な視野に立ち、市民の力が最大限に発揮されるような制度、民間の非営利公益組織が生き生きと活動できるような制度こそ改革の理念とならなければならないと考えられます。

 民間法・税調は、まさにこの立場から公益法人制度改革の諸論点に関する検討を行おうというものです。

2 検討の方法―理論的検討を徹底的に

 検討に当たっては、理論面を最大限重視します。というのは、従来の議論では、必ずしも十分な理論的検討が行われたとは言い難いからです。顕著な例を税制の議論に見ることができます。昨年度末、提示され、結局は頓挫した改革方向案は、次のようなものでした。

――公益法人制度と中間法人制度とを一括りにした準則主義による新しい非営利法人制度を創設する。新しい非営利法人は会費や寄付金に係るものを含めすべての所得について原則課税とする。事業の内容や内部留保が一定水準以下など公益性があると行政が認めた法人は免税とするが、収益事業については課税(収益事業の範囲は拡大の方向)、利子配当等については基本財産の運用に係るものを含め一定の税負担を求めることも検討。

 税制に関する何らかの理論がここにあるとは到底見受けられません。ただあるのは、課税強化論のみです。非営利法人への原則課税論についてはそもそもすでに多くの識者から理論的問題が指摘されています。

 民間法・税調では、法制・税制上の主要論点(「制度の枠組み」「公益性の判断基準」「公益性の判断機関」など、また「法人税の原則(原則課税か原則非課税か)」「寄付金税制」など)について徹底的な理論的検討を行います。

3 検討結果は随時公表、国民的議論を期待

 各論点に関する検討結果は、随時インターネット(当サイト… http://www.kohokyo.or.jp/ )上で公表します。公益法人制度改革がどのような方向に向かうかは、今後の社会のあり方を考える上で重要です。

 民間法・税調では、ぜひ多くの方々に議論に加わっていただき、それぞれの立場から政府に対し有効な提言を行っていただければ、と考えています。

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