行政 : 子どものシェルター、都内に開設
家庭で虐待されたり、児童養護施設を出たが行き場のない子どもたちなどのためのシェルター「カリヨン子どもセンター」が、6月、東京都内に開設される。子どもを対象とした民間のシェルターは全国初。2月21日にはNPO法人化のための設立総会が開催された。
DV被害にあった女性のためのシェルターは各地で設置されはじめており、情報もいきわたりつつあるが、子どもを対象としたシェルターは全国でもはじめてだ。
今までは、親子関係のこじれや虐待などから家庭で安心して暮らせない子どもや、児童養護施設等を出て自立したものの、困難に直面し帰る場所を失ってしまった子どもが、危険から逃れ安心して将来のことを考えられる宿泊施設を伴った民間のシェルターはなかった。
公的な施設としては、児童相談所の一時保護所や児童養護施設等があるが、行政の施設であるために、子どもが自らその門をたたいて相談するには敷居が高かった。また、民間の子ども電話相談などに子どもからの緊急を要するSOSが入っても、子どもをすぐに引き受けられる場所もなかった。
このような状況を受けて、演劇による啓発活動や電話相談などで児童虐待問題に関わってきた弁護士らが、子どものための駆け込み寺ともいえるシェルターを都内に開設する。子どもが自分の意思で入ることのできる場所としても注目される。
シェルターを運営する「カリヨン子どもセンター」は、現在、NPO法人化に向け準備中。2月21日には設立総会を開いた。
同センターは、東京弁護士会と連携して、同会の電話相談窓口「子どもの人権110番」にかけてきた子どもを保護する仕組みをつくる。話を聞いた弁護士が必要と判断した場合などに、児童をシェルターに避難させる。必ず弁護士が関わることで、子どもに安心感をもってもらえることが特徴だという。
シェルターは一軒家で、秘密保持のため住所は非公開。5~6名程度が一度に入所でき、3人の専任スタッフが24時間対応する。
シェルターの入所期間は原則として1週間程度を想定。その間に、弁護士やカウンセラーなどが今後のことなどについて相談にのったり、行政と連携をとったり、必要に応じて両親との間にはいったりするなどの橋渡しの役目を果たしていく。
運営には弁護士のほかにも福祉関係者、カウンセラー、小児科医、精神科医など、子どもの虐待や精神面の専門家が多数関わる。
カリヨン子どもセンターの代表で弁護士でもある坪井節子さんは、
「虐待などさまざまな理由で家庭や施設から飛び出した子どもたちが、ひとりでも多くこのシェルターで心を落ち着かせ今後のことが考えることができれば、絶望から自傷他害行為を繰り返したりしていく現実を変えることができる。」
とシェルター創設への意気込みを語った。
シェルターは、人件費や不動産賃料、光熱水費や食費などで年間1000万円程度の運営費がかかる見込み。公的な補助を受けずに、寄付や会費でまかなっていくため、現在賛同してくれる会員・寄付を広く募集している。
カリヨン子どもセンター設立準備会は(電)03-3818-7400。
子どもの人権110番は、(電)03-3503-0110。現在は平日の午後のみ相談を受け付けているが、5月末からは相談時間を午後8時まで延長、土曜日の午後も相談を受ける体制に充実させる。
カリヨン子どもセンターのHPは以下のとおり。
http://www.h7.dion.ne.jp/~carillon/